2018年03月25日03時40分掲載  無料記事
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検証・メディア

極右組織名誉顧問・石原進をNHK経営委員長に推薦するよう圧力をかけた自民党関係者とは?

  2016年8月の週刊金曜日にNHK経営委員長に昇格した石原進・日本会議福岡名誉顧問(当時)に関することが書かれていて興味深い。石原氏はNHK経営委員だった期間も原発再稼働を強硬に推進する政治的発言を繰り返しており、NHK経営委員長には最も不適格な人物と言っても過言ではなかった。 
 
  ところが、この石原進氏がNHK経営委員長に選出された経緯に関して、安倍政権サイドからNHK経営委員に圧力があったとの報道がある。それが以下の週刊金曜日の2016年8月の記事だ。 
http://blogos.com/article/187439/ 
 「またこれとは別に経営委員会と経営委員に対しても、一部の新聞で経営委員が『政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた』と発言したと報じられた問題について、経営委員としてそうした働きかけに『どう対処したか』の回答を求めている。」 
 
 ところがNHKは回答を拒否したという。 
 
  日本会議福岡の名誉顧問をNHKの経営委員長に据えるために自民党関係者がNHK経営委員に圧力をかけていたとしたら、まさに政権の報道への露骨な政治介入であろう。このことは2001年に放送されたNHKのETV特集「戦争をどう裁くか」の第2夜「問われる戦時性暴力」に対して、安倍晋三内閣官房副長官(当時)と中川昭一経済産業大臣(当時)が圧力をかけて番組を大幅に改変させたことを想起させる。 
 
 ここで一度、過去5年間の安倍政権とNHKの関係を簡単に振り返ってみよう。安倍政権は2013年10月にNHK経営委員に歴史修正主義者で特攻隊の賛美者である百田尚樹氏や長谷川三千子氏ら極右文化人を投入した。「百田さんは大阪市生まれ。同志社大学中退後に放送作家となり、人気番組「探偵!ナイトスクープ」などの構成を手がけた。「永遠の0(ゼロ)」「海賊とよばれた男」などの著作で知られ、安倍晋三首相とも親交がある。」(産経)。その後、百田氏は露骨な政治見解をメディアに発信し続け、NHK経営委員という立場によってその過激な見解が全国に向けて発信され続けた。また長谷川三千子氏も「日本の男女は<しかるべき年齢>で結婚して子供は2〜3人産むべきだと産経ニュースのウェブサイト(正論)で発言している」(日刊ベリタ)。長谷川氏は埼玉大学名誉教授で、日本会議の代表委員である。長谷川氏は女性にとって子育てこそ大切な任務であり、それを妨げる男女雇用機会均等法は諸悪の根源だから廃止せよ、と言ったことをNHK経営委員になってからもメディアで発言してきた。 
 
  百田氏と長谷川氏がNHK経営委員に抜擢されて間もない2013年12月に当時、NHK経営委員だった石原進氏らがNHKの会長に推薦したのが政府べったりの人物・籾井勝人氏だった。籾井氏は翌年1月の就任記者会見で「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」と宣言した。これが戦後、戦争を煽ったことへの反省から出発したNHKの大きな転換点となった。以後、政府批判を控えるようになったNHKは軍事力の増強と戦争のできる国づくりを目指す安倍政権にとっては連戦連勝に欠かせない宣伝装置となって行った。安倍政権には過去に何度か危機が訪れたが、その都度、NHKが安倍首相を援護射撃するかのような報道をしてきたのだ。 
  さらに2016年にはNHK経営委員長に石原進・日本会議福岡の名誉顧問が選出された。日本会議は改憲を目指す圧力団体であり、安倍内閣の大半が日本会議のメンバーである。また石原氏は圧力団体である「原子力国民会議」の共同代表でもあり、NHK経営委員の立場だったが、原発再稼働をしなければ日本の産業は死ぬなどと訴え続けていた。さらに石原氏は川内原発再稼働のために九州の料亭で安倍首相と会食までしていたとされる。 
  こうした空気の中でNHKのニュースが政府見解を解説するものに転じていった。NHK局員のメンタリティが周囲の空気に同調しやすく圧力に屈しやすい、ということがこのようなジャーナリズムの衰退を生んだ原因だった。さて、本題に戻れば、こんな強烈な政治主張を持った石原進・日本会議福岡名誉顧問をNHKの全体を睥睨するNHK経営委員長に据えさせようと圧力をかけた自民党関係者がいたなら、それはいったい誰だったか、ということである。この件も是非、今国会で証人喚問して調べて欲しいものだ。 
 
 「NHK経営委員会の石原進委員長(JR九州相談役)は12日、最高裁判決で受信料制度を合憲とする初判断が示されたことについて『(NHKが)契約収納活動をやりやすくなったからどんどんやるという印象を絶対に持たれてはいけない。公共放送について分かっていただいたうえで受信料を払ってもらうことが大事だ』との見解を述べた。」「石原委員長は『受信料契約の法的義務が明確にされたのは、NHKにとって大変ありがたいこと』とも述べた。」(毎日) 
 
  NHKは公共放送なのか、安倍チャンネルなのか。そこがまさに問われている。 
 
 
※Youtube 【長谷川三千子】時代が安倍氏に追いついてきた[桜H24/10/4] 
https://www.youtube.com/watch?v=_vWit2zefSI 
 
南田望洋 


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