2018年04月02日20時57分掲載  無料記事
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人体も社会もむしばむ新しい公害「香害」 日本消費者連盟『香害11番―香りの洪水が体を蝕む』 

 新しい公害として深刻な影響を生んでいる問題に香害がある。化学物質過敏症の一つと考えられているが、洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭スプレー、シャンプー、整髪料、制汗剤など身の回りにあふれている商品でさまざまな症状を引き起こす。その症状は多岐に渡り、人によってさまざまだが、例えばめまい、吐き気、くしゃみ、頭痛、脱力、喉の痛みや腫れ、セキや喘息発作、目のチカチカ、胸が締め付けられる、皮膚の痛みやかゆみなどを訴える人が多い。(大野和興) 
 
 
 今あげた商品は、体臭を除去するということでテレビで大宣伝しているものばかりだ。体臭こそ、人それぞれの個性ともいえるものだが、その個性を殺すために大量の化学物質が日常生活を壊し、身体への障害を生んでいるのである。近所の洗濯物からの香りで庭やベランダに出られなくなった、電車は会社内でまわりの人が出す香りで会社に行けなくなり、失業、生活困難に陥った、子どもの同じ症状を発し、保育園や学校に行けなくなったし、友達もいなくなった、など身体症状だけでなく社会生活そのものが営めなくなるまでに影響は拡大している。 
 
 日本消費者連盟はこうした多く人の訴えを受け、2017年7月と8月に「香害110番」を設置、相談を受け付けた。電話1台の小規模なもので、その1台はたちまちパンク、急きょ増設せざるを得なくなるほどの反響だった。それでも間に合わず、メール、FAXが「110番」終了後も途絶えることなく続いた。その後襲ったのがマスコミからの取材攻勢だった。テレビ、新聞、雑誌、ネットメディアからの取材が相次いだ。 
 
 日本消費者連盟はこの流れを受け止め、消費者庁や厚生労働省、文部科学省など関係省庁、石鹸洗剤工業会など業界団体などに申し入れと交渉を重ねているが、本気で取り組む姿勢はまだ見られない。本書は、香害追放の運動をさらに強めることを目的に、同連盟が刊行したブックレットである。香害の原因とその背景、被害の実態、草の根で徐々に拡がっている草の根の運動、政府機関や業界の対応、これからの運動などを報告、紹介している。定価は500円。香害の被害を訴えるポスターがついている。ぜひ本書をお読みいただき、この資本がつくり出した新しい公害と一緒の取り組んでほしいと、同連盟は訴えている。 
 
(定価500円、68ページ、編・発行:特定非営利活動法人日本消費者連盟) 
 
お申し込みは下記まで:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207 
電話:03-5155-4765 FAX:03-5155-4767 
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