2018年04月13日15時51分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  追悼、アルジェリア飛行機事故で難民犠牲者30人  平田伊都子

 2018年4月11日午前8時頃、アルジェリアの首都アルジェから南西25キロにあるブファリック空軍基地を離陸したアルジェリア軍用機が畑に墜落し、乗組員10人を含む275人の方が亡くなられました。 その中に、4人の子供を含む西サハラ難民が30人いました。 
 西サハラ難民キャンプでは、事故の一週間前に逝去されたアハマド・ブハリ国連西サハラ難民代表の喪が明けたばかりです。 西サハラ難民キャンプは、改めて7日間の喪に入りました。 ブーテフリカ・アルジェリア大統領も、3日間の喪を国民に命じました。 
 世界のメデイアは、挙ってこの航空大惨事を取り上げ、西サハラ難民の犠牲者に焦点を当てました。 期せずして「西サハラ問題」が浮上してきました。 
 
(1)アルジェリア最大の飛行機事故: 
 目撃者が、「飛行機の翼が火を噴き、そのまま畑に突っ込んでいった。消防車が駆けつけ消火作業をやったが手のつけようがなく、異臭と黒煙が充満し、黒焦げになった死体が散乱していた」と、語った。アルジェリアでは4年前に同様の輸送機惨事で77人の犠牲者を出している。世界的では、2014年6月の犠牲者298人を出したマレーシア航空事故に次ぐ、大惨事だ。機体は旧ソビエトが開発した大型軍用輸送機イリューシン76型で、アルジェリア軍が事故原因の究明を急いでいる。病院に搬送された負傷者の数や状況は、未だ公表されていない。搭乗していたアルジェリア人は兵士とその家族と発表された。 
 アルジェリア軍によると、輸送機はベシャールを経由してアルジェリア最西端軍事基地のテインドゥフに向かう予定だったという。テインドゥフには西サハラ難民キャンプがあり、アルジェリアの病院で治療を受けた西サハラ難民たちが便乗していた。 
 
(2)世界のメデイアは西サハラ難民犠牲者をどう伝えたか?: 
 BBC英国 TVもロイター通信も、墜落機に同乗していた西サハラ難民犠牲者に焦点を当てた。 
 BBCは、「墜落事故犠牲者の中には、1975年にスペインが撤退して以来モロッコが占領している西サハラ出身の乗客も、含まれていた。その地域(西サハラ)の独立を目指し、アルジェリアの支援を受けているポリサリオ戦線(西サハラ独立運動組織)は、<子供や女性を含む30人の西サハラ難民が犠牲になった>と、語った。事故機・イリューシン-76はベシャールから南西のテインドゥフに向かう予定だった。テインドゥフ州は難民の故郷である西サハラに隣接している」と、地図を付けて地域情勢を説明した。 
 ロイター通信は<西サハラ>と小見出しを付け、「アルジェリア当局によると、子供4人と26人の難民キャンプ住人はポリサリオ戦線が指導する隣国西サハラの独立運動に参加していると、いう。西サハラはモロッコが領有権を主張し、長期にわたり紛争地帯となっている。さらに関係者が、子供を含む約30人は、首都(アルジェ)で治療を受けて帰路についていたところだと、言及した」と、報道した。 
 トルコ国営通信は「一部の筋は、軍用機は首都アルジェ付近にあるブファリック軍用空港からシリアに向かうため離陸したと話している」と、伝えた。 
共同通信は「地元メディアによると、死者にはモロッコが領有権を主張する西サハラの独立派「ポリサリオ戦線」メンバーも含まれるという」と、書いた。 
 NHKは、「地元メディアによりますと、軍用機には隣国のモロッコが実効支配する<西サハラ>と呼ばれる地域をめぐり、アルジェリアの支援を受けて独立闘争を行ってきた組織のメンバー26人も乗っていたということです」と、報道した。 
 どれがフェークニュースなのか?判断してみて下さい。 
 
(3)モロッコのお悔やみは軍事侵略の脅し: 
 モーリタニアもロシアもアメリカもアフリカ諸国も、アルジェリアにお悔やみの言葉を送った。さてモロッコは? 
「フランス外務大臣ジャン・イヴ・ル・ドリアンがモロッコ軍の侵攻にゴーサインを出した」と、モロッコ紙アッサバハが、4月10日に報道した。さらに同紙は、「フランス外務大臣がアルジェリア外務大臣にモロッコ軍事侵攻を予告し、アルジェリアも同じ運命にあると脅している。 国連安保理も軍事侵攻を了承している(?)」と、伝えた。 
 モロッコ側にとって、モロッコが造った地雷防御壁の東側、つまり西サハラ難民解放区側で西サハラ難民軍ポリサリオ戦線がうろつくのは許せないようだ。モロッコ軍は西サハラ難民軍ポリサリオ戦線を叩き潰すと、公言している。 
 モロッコは既に、ゲルゲラト、テイファリテイ、ビルラハル攻略を宣言し、地雷防御壁西側にモロッコ軍を集結させている。アメリカから対地雷戦車エブラムを48台も購入し、<砂の壁>地雷防御壁越えに備えている。 
 
  モロッコが軍事侵攻で西サハラを完全制覇しようと図る一方で、あくまで国連主導の和平交渉で西サハラ問題を解決しようと懸命の努力を続ける元ドイツ大統領ホルスト・ケーラー国連事務総長西サハラ個人特使は、ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフと会談しました。 ロシア外務省は、「両者は会談で、ホルスト・ケーラーの和平案を支持し、モロッコと西サハラが直接交渉を再開するよう働き続けることを確認した」と、発表しました。 
 ドイツは、今回のイスラエルとアメリカとフランスが主導する化学兵器容疑のシリア攻撃に、参戦しないことを明言しました。 2019年にはドイツが国連安保理に非常任理事国として参加します。 喪が続く西サハラ難民に、ドイツの存在は心強いものがありますね、 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年4月13日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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