2018年05月01日15時51分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201805011551552

農と食

ネオニコチノイドに環境ホルモンの疑い ケベック大学研究チームが発表

 ケベック大学州立科学研究所(INRS) の研究チームは4月26日、ネオニコチノイド系農薬に内分泌かく乱物質の可能性があるとの研究結果を専門誌に発表した。乳がん細胞を使った研究で、ネオニコチノイド系農薬のチアクロプリドとイミダクロプリドがエストロゲンの産生を増加させたことを確認したという。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 
 INRSはこの結果について、「ネオニコチノイドが遺伝子の発現に影響を与え、エストロゲンの産生を潜在的に改変する可能性があるという最初のエビデンスである。これらの農薬によるホルモンのかく乱は、さらなる研究による確認が必要であるが、INRSチームによって得られた結果は、ネオニコチノイド殺虫剤の管理と使用に注意が必要であることを示している」としている。 
 
 ・Environ Health Perspect, 2018-4-26 
  Effects of Neonicotinoid Pesticides on Promoter-Specific Aromatase (CYP19) Expression in Hs578t Breast Cancer Cells and the Role of the VEGF Pathway 
  https://ehp.niehs.nih.gov/ehp2698/ 
 
 ・Institut national de la recherche scientifique - INRS 
  Neonicotinoids may alter estrogen production in humans 
  https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-04/indl-nma042618.php 
 
 ネオニコ系農薬のヒトへの影響は十分に解明されてはおらず、余りよく分かっていないという。今回のINRSの研究結果は、ミツバチなどポリネーターに焦点が当たっているネオニコチノイド系農薬について、ヒトへの影響解明が急務であることを示しているといえる。 
 
 山國徹氏らの東北大学の研究チームは今年2月、ネオニコ 系農薬の一つイミダクロプリドが哺乳類のアドレナリンを増やす仕組みを解明し専門誌(Toxicology)に発表している。 
 
 ・Toxicology, 2018-2-1 
  Imidacloprid, a neonicotinoid insecticide, facilitates tyrosine hydroxylase transcription and phenylethanolamine N-methyltransferase mRNA expression to enhance catecholamine synthesis and its nicotine-evoked elevation in PC12D cells 
  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0300483X17303633 
 
 ・act beyond trust, 2018-1-24 
  哺乳類におけるネオニコチノイド農薬の神経毒性発現の仕組みが見えてきた! 
  http://www.actbeyondtrust.org/report/3914/ 
 
 日本政府はこの間、ネオニコ系を含む農薬の残留基準値を緩和してきているが、少なくともネオニコ系の残留基準値を緩和すべきではない。 
 
 イミダクロプリドは日本でも出荷量の多いネオニコ 系農薬である。EUは4月27日、屋外での使用禁止を決めた。米国は2015年より新規登録を中止し、カナダは3年で段階的禁止の方針を明らかにしている。フランスは今年9月以降、イミダクロプリドを含む全て(狭義)のネオニコチノイド系農薬の使用を禁止する。 
 
【関連記事】 
 ・農水省 ネオニコ系スルホキサフロルを農薬登録 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17120875-1.html 
 
 ・厚労省 ネオニコ系ジノテフランの食品残留基準値緩和へ 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17070833-1.html 
 
 ・地球規模に広がるネオニコ汚染 世界の蜂蜜の75%から見つかる 
  http://organic-newsclip.info/log/2017/17100856-1.html 
 
 ・EU委員会 3種類のネオニコ系農薬の屋外使用禁止を決定 
  http://organic-newsclip.info/log/2018/18040915-1.html 
 
 ・ネオニコ系農薬出荷量が減少傾向 
  http://organic-newsclip.info/log/2018/18040910-1.html 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。