2018年05月20日18時04分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201805201804260

アフリカ

【西サハラ最新情報】 ♠米大統領 VS 国連事務総長 平田伊都子

  2018年5月14日のイスラエル建国記念日に、アメリカはテルアビブの米大使館をエルサレムに移転し、♠米大統領は「エルサレムはイスラエルの首都」と再び宣言しました。 
 翌15日は、パレスチナ受難記念日<ナクバ>でした。 手前勝手な首都宣言は、国連決議に反します。 パレスチナの人々は移転と宣言に反対して大きなデモを展開しました。 イスラエル軍は作戦通りに、パレスチナの人々を銃で撃ち殺していきました。 60人以上が殺され3,000人以上が負傷しました。 国連安保理でイスラエル非難決議の提案が出されましたが、「殺人はイスラエル防衛のためで、ガザを実効支配するハマスが騒動をけしかけている」と、米国連大使ニッキ―・ヘイリーが図々しく反論し、簡単に否決されました。 
 
(1)5月13日、モロッコ反王政主義者: 
 モロッコ人にも反王政を唱える識者がいる。ただし、モロッコ本国で反王政を表明したら、たちまち不敬罪で逮捕されるから、モロッコ人ジャーナリスト アリ・ルムラベトはフランスで活動している。アリ氏は5月13日のエル・カバル紙に、「モロッコはイランと国交を断絶し、そのイランから支援を受けているポリサリオ戦線・西サハラ難民軍はテロ仲間だという嘘を作ろうとしている。モロッコは♠米大統領政権に西サハラ人に関して反米という悪印象を植え付けたかったのだ」と、語った。さらにアリ氏は、「モロッコが主張する、西サハラとレバノンの政治団体ヒズボラやイランとの関係は証拠がなく、全くフェイクだ。モロッコはアルジェリアやキューバによる西サハラ援助を非難するが、そのモロッコ自身が、昨年にキューバとの国交を再開している。」と、モロッコの身勝手な外交行動を非難した。 
 
(2)モロッコ外務大臣ナセル・ブリタの愚痴: 
 5月16日、モロッコ外務大臣ナセル・ブリタは首都ラバトで行ったスペイン外務大臣アルフォンソ・ダスティスとの会談後に、「西サハラに関する最新の安保理決議が詠っている、政治的解決と関係諸国の支援に関して、我々は一致を見た」と語った。しかし、「不幸なことに、」と、強引なブリタが本音を漏らし始めた。「会談の卓上に置かれるべきものはモロッコ領有下にある自治プランだけだということを、この国連安保理決議にある政治解決案に盛られていない。このモロッコの地方自治プランは安保理で政治解決の枠内として討論されてきたではないか、、この地方自治プランこそが現実的で成功をもたらす。今、卓上に並べられている他の提案は魅力がないし、食指を動かさせない。こんな古臭い提案は何も生み出さないと、モロッコは主張してきた」と、不満を漏らした。モロッコ領有権を基本にした解決策が国際社会に受け入れられていないことを、モロッコ外務大臣、自らが白状してしまったことになる。 
 
(3)5月17日、18日、国連事務総長のワシントン詣で: 
イスラエルによるパレスチナ住民殺戮以降、国連ヌーン・デイリー・プレス ・ブリーフィングでは、連日、国連の対応に対して非難の質問が続いた。5月18日も国連のイスラエル対応が問題視され、この日、ワシントンDCでアメリカ政府を訪問している国連事務総長の動きに質問が集まった。これに対して国連事務総長副報道官ファルハンは、「昨日も言ったように、事務総長は午前中、ケビン・マッカーシー下院外務委員会代表などに会い、午後には下院少数派リーダーのナンシー・ペロシ―やリチャード・シェルビー上院議員、ミッチ・マッコーネルなどに会った。そして、今、米国務長官マイク・ポンピオと国家安全保障大統領補佐官ジョン・ボルトンとの会談が終わったところだ。彼らは北朝鮮、イエメン、シリアさらに広く中東問題について話し合った。事務総長は、午後2時半に♠米大統領と会う」と、答えた。「国連などというものはない。あるのは国際社会だけで、それは唯一のスーパーパワーたるアメリカによって率いられる」と主張するジョン・ボルトンと事務総長はどんな折り合いをつけたのだろうか?ジョン。ボルトンは北朝鮮に関しても、「リビアやイラク方式もあるぞ」と、指導者の抹殺をチラつかせた。期せずしてジョン・ボルトンは、イラク大統領フセインとリビア指導者カダフィを暗殺した首謀者の一人であることを、自白してしまった?? 
 その悪名高いジョン・ボルトンは、2015年8月から2016年12月にかけて米国連大使をやっていた時、国連西サハラ住民投票の実現に尽力した。好戦派ジョンが住民投票という和平案に固執したのは、それ以前にジェームス・ベーカー元国連事務総長西サハラ個人特使の下で、この西サハラ住民投票の実施を目指したからだ。が、結局、成功しなかった。 
 
 「もっと国連が世界の紛争を積極的に解決してくれたなら、アメリカは支出を節約できる」と、♠米大統領は国連事務総長との会談後にツイートしました。「ノーベル平和賞より私は世界の平和が欲しい」と、記者団に語ったりもしました。 自分が紛争の種を蒔いているのに、、 
よう言うわ!! 
 
追伸:西サハラの人々に会いたい方は、ユーチューブの「ラストコロニー西サハラ」で検索するか、下記のアドレスにアクセスしてください。 
Youtube URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2018年5月21日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。