2018年07月14日23時11分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

未承認の遺伝子組み換え小麦自生でストップしていたカナダ小麦 原因不明のまま輸入再開か 

 カナダで自生していたモンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え小麦(MON71200) について、厚労省は7月9日に検査法を発表し、10日より国内の留め置きされている約10万トンの検査を始めた。これを受けて、農水省は混入が見つからなければ輸入を再開するという。日本農業新聞が報じた。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 カナダの未承認GM小麦自生の原因は不明のまま。2013年以降、米国で見つかったGM小麦自生でも原因は不明のまま迷宮入りのまま、一時ストップさせた米国産小麦の輸入が再開されている。今回も、迷宮入りのまま輸入再開となりそうだ。 
 
 ・日本農業新聞, 2018-7-11 
  カナダ産GM小麦 留め置き分を検査 混入なければ輸入再開へ 
  https://www.agrinews.co.jp/p44568.html 
 
 ・厚労省, 2018-7-9 
  安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法の一部改正について 
  https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000331671.pdf 
 
 ・厚労省, 2018-7-10(一部改訂) 
  2018年(平成30年)6月にカナダで発見された、遺伝子組換え小麦についてのQ&A 
  https://www.mhlw.go.jp/content/000331552.pdf 
 
 
 なぜ自生していたのかが分からないままのカナダや米国のGM小麦自生は、屋外試験栽培が杜撰な管理であったことを示している。一度、環境中に「漏出」したGM作物を回収することは不可能だということの実例だ。いずれまた、どこかで自生が見つかることは確実だろう。 
 
 承認済みの遺伝子組換え作物であったとしても問題はある。米国では、モンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え芝がゴルフ場から逃げ出して各所で繁茂、駆除できず大きな問題となっている。 
 
 ・Eco Watch, 2017-1-18 
  USDA Grants Final Approval for Monsanto/Scotts' Genetically Engineered Grass 
  https://www.ecowatch.com/genetically-engineered-grass-2199240489.html 
 
 輸入食品でたびたび見つかっているタイ産の遺伝子組み換えパパイヤや中国産の害虫抵抗性遺伝子組み換えコメも、開発途中に外部へ「流出」し、大きな問題となっている。ゲノム編集技術を使った作物開発も盛んになってきているが、一度「流出」してしまえば、同じように回収は困難になる。 
 
【関連記事】 
 ・カナダ産小麦:GM自生で輸入停止も早期に再開か 
  http://organic-newsclip.info/log/2018/18060933-2.html 
 
 ・カナダでGM小麦の自生 農水省はカナダ産小麦を輸入停止 
  http://organic-newsclip.info/log/2018/18060932-1.html 


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