2018年08月23日00時46分掲載  無料記事
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核・原子力

「電気の購入者・使用者は“原子力発電の一生”を絶対に知っておくべき」〜CNIC&ND共催院内集会「再処理政策の経済性を問う」

 日本政府が堅持する“核燃料サイクル”(原発の稼働で発生する使用済み核燃料からプルトニウムやウランを回収して再処理し、再び原発の燃料に使用する)政策について、その経済性に疑義を唱える集会が8月上旬、東京・永田町の衆議院第一議員会館で開催された。 
 主催は、日本のプルトニウム大量保有を問題視する市民団体「原子力資料情報室」(CNIC)とシンクタンク「新外交イニシアティブ」(ND)。 
 
 登壇者の1人、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)長・教授の鈴木達治郎氏は、核燃料サイクルの経済性評価について、「1980年代後半には既に“再処理が不利”との評価がされ始め、その後も内閣府の原子力委員会原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会などが“再処理が不利”と評価したものの、政府は様々な口実を設けて核燃料サイクルを継続している」と説明するとともに、 
「経産省や原子力委員会ではない自立した第三者機関を設置し、改めて包括的な評価を実施すべきです。第三者機関については、例えば、かつて国会に設置された“東京電力福島原子力発電所事故調査委員会”のようなものや、国会でできなければ“ブルーリボンコミッション(独立専門委員会)”のようなものが考えられます」と指摘した。 
 
 また鈴木氏は、集会参加者からの「日本政府が経済的合理性の無い核燃料サイクル政策を堅持する理由は何か?」という質問に対し、次のような見立てを披露した。 
最終処分場の引き受け手が無く、使用済み核燃料の行き先が無い(一般的に言われている理由) 
使用済み核燃料を“資源”として見ている(直接処分が決まったら、その段階で“ゴミ”扱いになってしまう) 
言い出しっぺが損する仕組みになっている(国もしくは電力会社のどちらかが「核燃料サイクルを止める」と言い、日本原子力発電(株)が倒産した場合、言い出した者が倒産コストを負担しなければならない) 
“潜在的核抑止力”のキープ(もしかしたら) 
 
 なお、使用済み核燃料を再処理し続けた結果、日本は現在、原爆6千発分に相当する約47トン(海外委託分+国内作成分)のプルトニウムを保有するに至っていて、米国政府は“核不拡散”の立場から日本政府に懸念を伝えている。 
 これに関して、オバマ政権時代に核不拡散政策担当の国務次官補を務めたトーマス・カントリーマン氏(アメリカ軍備管理協会理事)は集会の中で、内閣府原子力委員会が7月31日にプルトニウムの利用に関する基本方針を改定し、プルトニウムの削減を明記したことを歓迎しつつ、「あくまで個人的な意見」と断った上で、 
日本は英国にあるプルトニウムの所有権を英国に移譲するべき 
米国や他の原子力利用国と協力して最も安全なプルトニウムの最終処分方法を研究すべき 
核燃料サイクル政策を進めることによる本当の経済的コストについて、ゼロベースでの客観的な検証を行うべき 
――などと提案した。 
 
 核燃料サイクルは専門性が高いので、重要な問題だと思いつつも、取っ付き難い印象が拭えないのだが、登壇者の1人で、総合資源エネルギー調査会原子力小委員会など経済産業大臣の諮問機関で委員を務めた経験を持つ、公益社団法人・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)常任顧問の辰巳菊子氏からの「電気の購入者・使用者は“原子力発電の一生”を絶対に知っておくべきです」との指摘を受けて、「原発にまつわる諸問題から逃げてはいけない」と改めて肝に銘じた次第である。(坂本正義) 


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