2018年08月24日15時29分掲載  無料記事
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中国

「私は軟禁され、シャワーやトイレにも監視がつき、外に出ることはできません」 拉致された労働運動者の手紙 

 日系企業を解雇された後、労働組合作りの活動していた中国の労働運動者沈夢雨さんが何者かに拉致された事件(本紙既報)。沈さんが拉致される中で書いた手紙を香港の労働NGOが公表した。香港労働NGOと連携するATTAC-Japanの翻訳で、その手紙を紹介する。(大野和興) 
 
ニッパツ100%子会社の広州日弘を不当に解雇された沈夢雨さんらは、深センの佳士科技公司(JASIC)で組合を結成しようとして解雇された労働者を支援するさなかに、何者かに連れ去られました。その沈さんが拉致されているさなかに書いた自筆の手紙が香港の労働NGOが公表しました。全文を訳しました。(稲垣豊) 
 
原文および手紙の画像はこちらです 
http://redballoonsolidarity.org/3137.html 
 
ロイターもこの事件を報じています。英語ですがリンクぶら下げときます。 
 
China's student activists cast rare light on brewing labor unrest 
https://www.reuters.com/article/us-china-labour-protests-insight/chinas-student-activists-cast-rare-light-on-brewing-labor-unrest-idUSKBN1L0060 
 
またJASIC労働者や拉致された沈さんらを支援するために北京、上海、南紀など全国各地から集まった学生たちが寝泊まりしていた宿舎に、今朝(8/24)に機動隊がなだれ込み学生ら50人が拘束されています。その瞬間の映像も香港の労働NGOのSACOMがウェブにUPしていますので、紹介しておきます。 
 
https://www.facebook.com/HKSACOM/videos/1809190632510910/ 
 
がんばれ! 
 
以下、沈さんの手紙の訳です。 
 
 
+ + + + + + + + + 
 
■失踪から10日目:沈夢雨の自筆の手紙 
 
2018年8月23日 
 
8月11日、法律にしたがって労働組合を結成しようとした佳士科技(JASIC)労働者を支援してきた広東の労働運動活動家の沈夢雨は、友人たちとの夕食最中に連れ去られた。それから10日後、沈夢雨が自筆で現在の状況と経過を書いた手紙を支援団体がウェブ上で公開した。以下はその全文。 
 
◇ ◇ ◇ ◇ 
 
夢雨です。私は8月11日に闇の勢力にそそのかされた両親の親戚に連れ去られてからずっと軟禁されています。 
 
その日の晩、連れ去られて載せられた黒色のSUV車には、私の両親のほかに、助手席に見たことのない50歳くらいの太い眉をした男が座っていました。彼は私を拉致したことを確認すると電話を掛けました。わたしはすぐに男の手から電話を叩き落しましたが、両手を拘束されてしまいましたので、彼の顔に唾を吐きかけ、大いに罵ってやりました。なんと爽快だったことでしょう! 
 
その後、軟禁場所に連れていかれると、その男は私と同じ建物で寝泊まりしました。 
 
私は軟禁され、シャワーやトイレにも監視がつき、外に出ることはできません。ドアの外には一組の男女が監視しています。広間にはたくさんの監視がいますが、すべて見たことのない人ばかりです。かれらの会話から「大隊」といった言葉が聞き取れました。私たちの携帯は没収され、室内には電波遮断機が設置されています。 
 
こういう状況なので、外部の様子は分からず、連絡も取れないのですが、それでも私は兄弟姉妹たちが果敢に闘っていることを信じています。というのも、彼ら[監視者]は、まだ14人が釈放されておらず、罪を認めない労働者は起訴されるだろうと言っていたからです。 
 
どれだけ軟禁が長くなろうとも、わたしの心は決して折れません。わたしたち声援団による労働者支援は、合理合法であり、私たちに対してどうすることもできなかったので、両親をそそのかして子どもを拉致させる下劣な手段に出たのです。ここの生活環境は留置場よりもずっといいことから、彼らが動揺していることが分かるというものです! 
 
歴史の車輪はどんどんと進むだけです。わずかな闇の勢力の跳梁跋扈程度ではそれをとどめることはできません!労働組合の結成は、現実の白紙の上に黒い字でしっかりと書かれた法的権利であり、それを罰することはできません。公平な正義ものなのです! 
 
「JASIC労働者の闘いの歌」を歌い響かせよう。労働者は無罪です。拘束したすべての労働者を釈放せよ。 


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