2018年09月26日13時45分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

ゲノム編集でマラリア蚊を全滅させた 英ロンドン大学研究チーム

 英国ロンドン大学の研究チームは9月24日、ゲノム編集技術(クリスパー・キャス9)により遺伝子を操作したガンビアハマダラカを使い、室内のケージで世代交代を重ね、8世代で全滅させたとネーチャー・バイオテクノロジーに発表した。遺伝子ドライブにより特定の種を全滅させることに成功したのは世界初だとしている。この実験はマラリア対策を表に立てることで、反対し難い雰囲気を作っている。しかし、こうした研究を野放しにすることは、将来的な生物兵器への展開へとつながる可能性があり、早急に国際的な枠組みで強力な規制をすべきだ。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 研究チームは、マラリアを媒介する蚊の一種ガンビアハマダラカ(Anopheles gambiae)を用いた実験で、突然変異に強いdoublesexという遺伝子を操作して不妊の雌が増えるようにした。これまでこうした実験では突然変異が壁になってきたが、doublesexを操作したことで「成功」したという。 
 
 ロンドン大学はリリースで、この研究が実際の自然環境で使われるには5年から10年かかるとしている。 
 
 この研究にETC Groupのジム・トムソン氏は、「遺伝子ドライブを用いて生物種と自然個体群を意のままに全滅させる能力に対しては称賛ではなく、警鐘を鳴らすべき」としている。 
 
 発表された論文によれば、この研究に関する資金は、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、英国バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)、国防総省国防高等研究事業局(DARPA)より提供を受けたとしている。DARPAの資金提供は、この研究の将来的な生物兵器への展開を想像させる。 
 
 
 
 ・Nature Biotechnology, 2018-9-24 
  A CRISPR-Cas9 gene drive targeting doublesex causes complete population suppression in caged Anopheles gambiae mosquitoes 
  https://www.nature.com/articles/nbt.4245 
 
 ・Imperial College London, 2018-9-24 
  Mosquitoes that can carry malaria eliminated in lab experiments 
  http://www.imperial.ac.uk/news/188291/mosquitoes-that-carry-malaria-eliminated-experiments/ 
 
 ・AFP, 2018-9-25 
  遺伝子操作でマラリア蚊対策、個体群を全滅 英研究 
  http://www.afpbb.com/articles/-/3190783 


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