2018年11月05日23時12分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201811052312081

東日本大震災

復興庁と2019年度予算概算要求にかかるレクチャーを実施

 全国災対連は10月10日、復興庁と2019年度予算の概算要求の内容についてのレクチャーを行いました。 
 岩手と宮城、福島の代表とともに災対連の世話人が参加し、復興庁は予算会計班の藤本修企画官、東崇史参事官補佐、神林悠介参事官補佐ほかが対応しました。 
 
● 復興庁の説明の概要 
 予算レクチャーの冒頭に住江憲勇代表世話人(保団連会長)が 
「被災者自身が現場で生活や生業をつくっていけることが最も効果のある復興対策である。目先の対策費をどう削るかではなく、生活をどう再建してくのかを真摯に受け止めて施策に反映にさせていただきたい」 
と述べて復興庁の説明を求めました。 
 
 復興庁は、予算の概算要求の概要について、これまでの事業に加えて新しく 
「福島イノベーション・コースト構想関連事業」によるICTの農業分野への活用 
「原資力災害による被災事業の自立支援事業」の被災12市町村内以外の創業者への相談支援の追加 
「ふくしま食品衛生管理モデル等推進事業」でHACCP(※)の危害因子に放射性物質を加えること 
放射性物質に関するSNSを使った情報発信への予算拡充 
――などを説明しました。 
〔※ HACCP(ハサップ)=食品衛生管理の手続きを定めた国際基準〕 
 
● 予算、決算の実態と復興庁の基本な姿勢を質す 
 災対連からは、2020年までに総額32兆円とされる復興予算が、2017年度末までの決算で27.4兆円にとどまっていること、発表されている前年度予算の執行率が66.1%となっていること、これらと新聞報道による数値との乖離などの詳細について、国民への丁寧な説明を行うよう求めました。 
 また、過去に東日本大震災の復興予算を国全体の防災対策費に流用していたことについても、あらためて政府としての反省を促し、防災対策費を安上がりにさせないことも指摘しました。 
 
 復興庁は、会計システムとして事業が途上であるものは未執行額、着手に至らなかった事業は不用額として処理している仕組や、27.4兆円には復興債償還や東電への求償事業が除外されていることなどを説明しました。 
 
 また災対連は、復興の課題を網羅する復興庁として、他の省庁への指導的な役割を発揮することも要請。医療支援が復興予算の代表的な項目に入っていないことから、厚生労働省マターであっても復興庁としてどうするかという大きな課題にしていくこと、イノベーション・コースト構想など企業利益を意識した農水省・経産省マターの事業に対するきびしい点検、8000ベクレル以下の廃棄物処理の実証事業など住民が要望していないような莫大な予算の検証などを要求し、復興庁の立場から真に被災者のために必要な事業を行わせていくことを求めました。 
 また、モニタリングポストを2020年に大幅に撤去するという話について、住民の要求にもとづき復興庁から規制庁に意見を言っていくべきだと要求しました。 
 
● 放射能被害にかかる具体的対策を求める 
 放射能被害については、避難区域以外に賠償をしていないことや、復興にむけた相談窓口さえもうけていない東京電力の責任問題についてあらためて指摘しました。 
 また、原発事故被害への対応・収束作業にかかわって、2013年度では原発事故処理、除染、賠償、中間貯蔵施設、廃炉費用について総額11兆円とされていたものが日々変化している状況について、復興庁として認識をあらためる必要性を指摘しました。 
 その上で、「風評被害の払拭」に関わる基本的な認識を質し、観光や農林水産業に対する事業はあっても、小売・サービス業に対する具体的な対策がないことを指摘しました。 
 
 復興庁は、HACCPの危害因子に放射性物質を加える新規事業や、ネット販売や特設スペース設置などの販路開拓への支援事業を紹介しました。 
 
 災対連は、「そもそもスポット的な販促だけでは効果がないことから、日常的に被災地の商品を扱ってくれる業者への直接支援や、販路が確立されても風評被害によって構造的に低価格帯に陥ってしまった生産者への支援の必要性」などを指摘し、「キャンペーン的な対処療法でではなく、風評被害についての分析を踏まえた根本的な対策を行う」よう要求しました。 
 
 福島の参加者は、「原発の廃炉がすすんでいないことや、低線量被曝の医学的知見がないために福島への観光や福島産の購買を控えているのは、一定の根拠があることであって、そもそも風評被害ではなく“実害”だ」として復興庁の認識を質しました。 
 また、「放射線副読本」についても、安全神話を振りまくようなものではいけないということも指摘しました。 
 その他、「独立行政法人『中小企業基盤整備機構運営交付金』の期限が2018年度までとされている」との質問に対して、復興庁からは「中期目標期間が5年ごとに定められ、2018年度中に次期5年の目標を新しくつくり直すこととされ、明示できないが次年度に必要な予算を計上する」との説明がありました。 
 また、生活再建支援金にかかわって住宅の復興が2020年度までに終わらない場合への対応については、「期限が切れたから制度廃止ということではなく、都道府県の基金から支出されていくことになる」と回答しました。 
〔全国災対連ニュース第134号(2018年10月30日発行)〕 
 
詳しくはこちら http://www.zenkoku-saitairen.jp/news134.pdf 
     ★      ★      ★ 
 
〔発行〕 
災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会 
(略称・全国災対連) 
 連絡先:〒113-8465 東京都文京区湯島2−4−4 
 全労連会館4階 全労連気付 
(Web)http://www.zenkoku-saitairen.jp/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。