2018年11月20日19時54分掲載  無料記事
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政治

世論調査の安倍内閣支持率「上昇」の不思議 個別政策はほとんど「不支持」が多数

  朝日新聞の全国世論調査(17、18両日実施、20日掲載)によると、安倍内閣の支持率は43%で前回10月調査の40%から3ポイント上昇し、不支持の34%を上回った。ところが、入管法改正案の今国会成立や消費税引き上げ、憲法改正など個々の政策は、ほとんどについて不支持が支持を上回っている。前日発表された毎日新聞の世論調査も同様の結果である。国民の賛成を得られない政策を進めようとする政権が、支持率を上昇させるのはなぜなのだろう。(永井浩) 
 
朝日の世論調査結果は以下の通り。数字は全体の回答比率(%) 
・来春から外国人労働者の受け入れ枠を拡大する出入国管理法(入管法)の今国会成立 
  必要なし 64  成立させるべき 22 
・外国人労働者の受け入れ拡大の是非 
  賛成 45(前回調査49) 反対 43(同37) 
・外国人労働者の受け入れ拡大は「移民政策ではない」とする安倍首相の説明 
  納得できない 52  納得できる 29 
・自衛隊の明記などを盛り込んだ自民党憲法改正案の今国会提示 
  急ぐ必要はなし 70  提示すべき 20 
・沖縄の米軍普天間基地の名護市辺野古への移転工事の今月再開 
  妥当ではない 54  妥当 35 
・消費税の来年10月の10%への引き上げ 
  賛成 44  反対50 
・消費増税時のポイント還元案 
  反対 52  賛成 34 
・安倍首相とプーチン大統領の首脳会談合意が北方領土問題解決につながるか 
  期待できない(あまり+まったく) 60  期待できる(大いに+ある程度) 38 
 
以上から、外国人労働者の受け入れ拡大について賛否が拮抗している以外は、すべての政府・自民党案について反対が賛成を上回っていることがわかる。 
 毎日新聞の世論調査結果も朝日とほぼ同じで、安倍内閣支持率は41%(前回から4ポイント上昇)、不支持率38%(同2ポイント減)。朝日にない質問項目でもやはり安倍政権の姿勢には不支持が支持を上回っている。 
・森友学園と加計学園の問題での首相と政府の説明 
  納得している 11  納得していない 72 
・片山さつき地方創生担当相の口利き疑惑に関する説明責任 
  果たしている 9  果たしていない 73 
 
では、なぜ安倍内閣を支持するのか。 
朝日=「他よりよさそう」52(23)、「首相が安倍」12(5)、「自民党中心の内閣」14(6)、「政策の面」20(9)/支持せずの理由は、「首相が安倍」18(6)、「自民党中心の内閣」24(8)、「政策の面」46(16)、「他のほうがよさそう」9(3) 
 毎日=「自民党の首相」9(13)、「安倍を評価」17(23)、「政策に期待」18(17)、「他に良い人や政党がない」55(44)/支持せずの理由は「自民党の首相」5(5)、「安倍を評価しない」43(47)、「政策に期待できない」41(33)、「他の人や政党の方が良い」9(13) 
 
 要するに、安倍内閣を積極的に支持するというより、他に政権を任せられそうな政治家や政党が見当たらないということであろう。そのことは、政党への支持率で示されている。 
 主な政党の支持率は次の通り(前が朝日、カッコ内が毎日) 
▽自民36(29)▽立憲民主7(12)▽国民民主1(1)▽公明3(5)▽共産3(3)▽維新1(2)▽自由0 ▽希望0 ▽社民0▽その他の政党1 ▽支持政党なし41(41) 
 
 かくして、「安倍一強」の下、日本の民主主義は劣化の一途をたどることになる。 


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