2018年12月12日00時07分掲載  無料記事
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沖縄/日米安保

「本土」の私たちが当事者としてどうあるべきか(1)〜永田町編〜

 2017年1月2日、東京MXテレビの番組「ニュース女子」が沖縄の平和運動をあざ笑いながら誹謗中傷してから約2年になる。 
 このとき人生で初めて抗議行動の呼びかけ人になった。今、考えると、これは自分にとって大きな転機になった。始めたときは、まさか自分が呼びかけ人になるとは思わなかった。だからもう行動の呼びかけ人をやることはないと思っていた。それなのに、またやってしまった。2018年10月のことだ。 
 
 この夏から秋にかけて、辺野古をめぐる情勢は激動した。 
 7月27日、病におかされていた翁長雄志知事が、歩くことさえ困難ななか力をふりしぼって辺野古の埋め立て承認の撤回を表明。ところが8月8日に急逝されてしまった。 
 大きなショックのなか沖縄は県知事選に突入。8月末に承認は撤回され、9月末、翁長知事の遺志を継ぐ玉城デニー候補が、安倍政権の全面支援を受けた相手候補に8万票の大差をつけて、過去最多得票で圧勝した。沖縄の民意は辺野古新基地NOであることが、いっそう明確に示された。 
 
 それにも関わらず、政府は辺野古の埋め立てを強行しようとしている(12月9日現在)。10月17日、防衛省が「私人」の仮面をかぶって不服審査請求を行い、10月30日、国交大臣が承認撤回の効力を停止する決定を出した。政府による茶番劇だ。 
 沖縄の民意を踏みにじって工事を強行すること自体許しがたいが、法律を乱用して、「非があるのは沖縄県で、政権側に正当性がある」と映るような芝居を打っていることが二重に許しがたい。政府に楯突くものはあらゆる手段で貶めることができると、政権と官僚が協働して国民に示したようなものだ。こんなことを放置していいわけがない。心から怒りが湧き上がった。 
 
 行動を思いついたのは10月19日のこと。10月24日から秋の臨時国会が始まる。このタイミングで辺野古をテーマにした国会前の行動がないのはまずいのではないかという思いがよぎった。仕事上、10月24、25、26は比較的動きやすい時期だった。「やらないのか」「やらないのか」と自分が自分を責めてくる。この声を鎮めるにはやるしかない。3日間、12時から14時まで「国会前ランチタイム連続行動」と名付けてやることにした。 
 「やる」を宣言すると、「協力する」と言ってくれる人たちが現れ、どうにか形にすることができた。このとき作成したバナーは、今の自分の気持ちを一番よく代弁してくれるもので、宝物のように思っている。 
「沖縄の民意をスルーしないで! 政府の暴挙をスルーしないで! 傍観は差別の加担者と同じです」 
という言葉を、温かみのあるカラフルな色合いでMさんが描いてくれた。 
 
 呼びかけ団体の名前は「沖縄差別と向き合い抗う市民たち」とした。「沖縄差別を許さない市民たち」という案もあったが、沖縄に基地を押し付けてしまっているという意味で自分たちも差別する側にいるため、「許さない」と名乗るのは変だと考えた。訴えかける相手に「共に痛みながら差別と向き合い抗おう」と伝えたいという意味を込めた。「本土」の私たちはどのように当事者か、自分なりの考えを込めて土台をつくった。 
 
 国会前で伝えたかったのは「国会議員は行政を監視する役割があるのだから、この事態をスルーしないで」ということ。幸い3日間とも晴天に恵まれ、衆議院議員第二議員会館前に連日30人から40人が集まってくれた。 
 コールをし、歌を歌い、リレートークをしていると、国会見学に訪れた子どもたちが道の向こうから手を振ってくれることがしばしばあり、勇気づけられた。知人がバイクで立ち寄って、お菓子を差し入れてくれたこともあった。職場のエプロンをつけたまま昼休みにタクシーで駆けつけ、三線を演奏してくれる人もいた。MX前での行動を機に、時間をかけて出会った様々な人が時間をやりくりして来てくれて、「プチ同窓会みたい」と言う人もいた。 
 3日目は原発再稼働に反対するグループと並立する形になったが、エールを交わすことができて有意義だった。行動が出会いを生み、出会いがまた行動を作る。そんなことを実感する日々だった。 
 
 一方、国会前を行き交うスーツ姿の人たちの反応の冷たさには驚いた。多くの人がチラシ配りをする人をチラリとも見ずに、スッスッと通り過ぎていく。与党関係者だろうか。ごくたまににこやかに受け取ってくれる人もいたが、野党関係者だろうか。安倍1強の長期政権が続く中、野党議員は永田町でさぞ肩身の狭い思いをしているに違いない。そのことに考えが及んでいなかったことに気づいた。(続く) 
(沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志 川名真理) 


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