2018年12月31日22時22分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

安倍政権下で死刑執行が激増  国際社会は死刑廃止が大勢

 日本で死刑執行が相次いでいる。年末を控えた12月27日には、二人の死刑が執行され、2018年の死刑収めとなった。この二人を入れ、2018年に刑を執行された死刑囚は計15人となり、法務省が執行の事実や人数の公表を始めた1998年11月以降では、08年と並んで最多となった。ちなみに12年12月に第2次安倍政権ができてからの死刑執行は15回目で、計36人が執行されている。(大野和興) 
 
 
◆大量処刑時代 
 
 二人の死刑執行は7月のオウム真理教元幹部ら13人の大量死刑執行から、わずか5カ月しか経っていない。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本は、この事態を受け「日本が大量処刑への道を歩み始めたのではないかと、は、深い失望と懸念を表明する」との声明を発表した。 
 
 27日に死刑を執行された岡本、末森両死刑囚の罪状は、88年1月、大阪府内で投資顧問会社の社長と社員の男性2人を殺害。約1億円を奪ったうえ、遺体をコンクリート詰めにして土中に埋めて遺棄した、というもの。このうち岡本死刑囚は再審請求中だった。ちなみに「国連の死刑に直面する者の権利を保障する保護規定」は、上訴中など手続き中の死刑の執行を禁止しており、再審請求中の死刑確定者の執行はこの規定に違反する。公正な裁判のためには、再審の機会を保障しなければならないからだ。 
 
 安倍政権は2017年にも、1999年を最後に行っていなかった再審請求中の処刑を3人に対して行った。今年7月に処刑された者の中にも、数人が再審請求中だったとみられる。アムネスティ・ジャパンは声明のなかで「今回の執行で、命を軽視する政府の姿勢が浮き彫りになったかたちとなり、大きな懸念が残る」と述べている。 
 
◆国連での決議 
 
 日本のこうした状況をよそに、国際社会では2017年末時点で、既に106カ国がすべての犯罪において死刑を廃止し、36カ国が事実上、死刑を廃止している。また、2018年12月17日の国際連合総会では、死刑執行停止決議が過去最多の121カ国の賛成により可決された。世界は今、死刑廃止に向けて大きく動いている中で安倍政権の特異さが浮き彫りになっている。 
 
 決議案は史上最多の支持を得て可決された。国連加盟193カ国のうち121カ国が支持し、35カ国が反対、32カ国が棄権した。前回の2016年12月には117カ国が支持した。アムネスティ国際国際ニュースはこの動きを次のように報じた。 
 
――かつてない多数の国が執行停止に賛成票を投じたことで、世界的な死刑廃止が現実となることは、もはや必然の流れである。死刑のない世界が、かつてないほど近づいている。 
ますます多くの国が、残虐で、非人道的かつ品位を傷つける刑罰を、きっぱり停止する方向に歩みだしているということでもある。 
一方、今回反対票を投じた35カ国は、ますます孤立の度合いを深めることとなった。死刑制度を存置するこれらの国々は、全面廃止に向けた第一歩として直ちに執行停止措置を取るべきである。 


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