2019年01月15日00時23分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

NBAニューヨークニックスのバスケットボール選手 エネス・カンターの恐怖 

  1月14日付のニューヨークタイムズの記事でNBA(ニューヨークニックス)のバスケットボール選手、エネス・カンター氏がロンドンでの試合出場を欠場しようとしていることが報じられた。エネス・カンター氏がロンドン行きを拒んでいるのは彼の母国であるトルコ政府の殺し屋に暗殺されることを恐れているからのようだ。 
 
  というのも、2016年7月のクーデター未遂事件以後、独裁権力を握ったエルドアン大統領をカンター氏はこれまで強く批判してきたからだ。カンター氏の両親はトルコにいるが、教授である父親はテロリストとして告発されているという。さらにカンター氏自身も2017年にルーマニアの空港でトルコ政府によって旅行のための記録を抹消され、足止めを食ったこともあったと言う。記事によると彼がエルドアン大統領を侮辱した罪でトルコの検察官たちは4年の求刑しようとしているともいう。さらに、ソーシャルメディアでは死の脅迫を何年も続けて受けていると言う。エルドアン大統領が米国に2016年のクーデター未遂事件の黒幕として米国に引き渡しを求めている亡命中のギュレン氏とカーター氏が当日、ともにいたこともトルコ政府の不信を買ったようだ。トルコ政府はギュレン氏が黒幕だと糾弾しているのだから、当然、ギュレン氏と同夜ともにいたカンター氏もクーデターの一味とみなされてしまった。 
 
  カンター氏は(アメリカならリスクが何であれ覚悟があるが)、ロンドンにはトルコ人コミュニティがあり、暗殺されるリスクが高いと考えているという。この記事を読むと、皮肉にもサウジアラビアの反政府ジャーナリスト、カショーギ氏がトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア大使館で残虐な形で暗殺された事件を思い出させる。しかも、この時、サウジアラビアを非難していたのは外ならぬエルドアン大統領である。 
 
 
■abcのニュース”Turkish NBA star and Erdogan critic Enes Kanter fears assassination attempt, will not travel to London” 
https://www.abc.net.au/news/2019-01-06/turkish-nba-player-fears-assassination-london-erdogan/10687662 


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