2019年03月20日22時32分掲載  無料記事
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国際

サウジ皇太子が秘密のチームを率いていた可能性を報じたニューヨークタイムズ カショーギ記者殺害は組織的弾圧の中の1コマか

  ニューヨークタイムズは3月20日の国際版の社説”Shedding illusion about the Saudis " (サウジへの幻想がこぼれ落ちる)で、サウジ皇太子のムハンマド・ビン・サルマンがサウジの国民を監視、誘拐、監禁、拷問などを秘密に行うチームを持っていたらしいことに触れている。カショーギ記者の殺害の1年以上前からだったとされる。 
 
  ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は世界に向けては改革派のイメージを演出していたが、サウジの市民グループによると、サウジ国内では2600人以上の科学者、記者、弁護士、女性の人権活動家らが政治犯として拘束されていたとされる。しかも、2015年1月の皇太子の父に当たるサルマン新国王の即位以後、弾圧は急激に増えた、という。カショーギ記者の殺害も単独の事件とみるよりも、一連の組織的な弾圧の一部だったのではないか、というのだ。 
 
  この暗殺も含めた監視や拘束などを秘密裏に行う秘密チームに関する情報の出どころは米情報機関だとされ、Mark MazettiとBen Hubbardが記事を書いたという。ニューヨークタイムズはそのうえで米議会に情報機関の情報の全面公開を求めている。 
 
 
 
 
■サウジアラビアのテロ対策法 〜政治の改革派を弾圧する法案との批判も〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201402050206433 
 
■イラン外相がNYTで警告  サウジアラビアのワッハーブ主義がイスラム教をゆがめている 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201609270602342 
■サウジアラビアが外国メディアに資金援助 サウジアラビア寄りの報道を促す 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201511212308056 
 
■You Can’t Understand ISIS If You Don’t Know the History of Wahhabism in Saudi Arabia(「サウジアラビアにおけるワッハーブ主義の歴史を理解しなければイスラム国は理解できない」ハフィントンポスト) 
http://www.huffingtonpost.com/alastair-crooke/isis-wahhabism-saudi-arabia_b_5717157.html 
 
  寄稿したAlastair Crooke氏(英国の外交官、元MI6エージェント、著述家)はサウジアラビアにおけるワッハーブ派の歴史を知らなくては、イスラム国は理解できない、という。ワッハーブ派の創始者アブドゥルワッハーブの考えでは厳格なムスリム原理主義に違反する者たちはもはやイスラム教徒ではなく、彼らは全員死刑に値し、その妻や娘はレイプされるべきであり、彼らの財産は没収されるべきである、と。これが何を意味するかと言えば、ワッハーブ主義とイスラム国のやっていることはまったく同じに他ならないのだという。 


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