2019年05月23日10時42分掲載  無料記事
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労働問題

それはないよ! 建交労のスラップ訴訟

 スラップ訴訟とは強者が弱者に損害賠償を請求する裁判のこと。解雇された労働者が会社の門前で解雇撤回を訴えるビラを撒いたとする。それを名誉棄損・営業妨害などといちゃもんをつけて提訴する。裁判で勝とうが負けようが提訴自体が争議行為への恫喝になる。その効果を狙った狡猾な法的手段だ。そんな裁判を労働組合の全日本建設交運一般労働組合(建交労)がやり始めたというのだから驚く。(戸塚章介) 
 
 事の発端は2018年9月に開かれた建交労中央本部の第20回定期大会。一般討論で代議員のNさん(大阪合同支部執行委員)が建交労関西支部が他の労組と連名で経営者団体と締結した「協定書」に批判的な意見を述べて本部の見解を質した。他にも大阪府本部の3人から同趣旨の発言があった 
 
 問題の「協定書」(2015年11月25日付)とは\献灰鷆罰Δ砲ける労使の協力・協調関係を構築する∪献灰鸚渋ぁ販売事業の適正な推進・業界振興等に向けて労使共同事業の実施O使の立場の尊重、相互信頼、相互協力、との内容だがNさんたちは「団体行動権放棄の惧れがある」と批判している。 
 
 大会はスムースに議事が進行して終了したが、建交労中央本部は11月13日付でNさんを被告とした損害賠償請求訴訟を大阪地方裁判所に起こした。「被告の発言により、原告の社会的評価は著しく低下したといえるのであり、原告がこうむった精神的苦痛を慰謝するためには少なくとも150万円の慰謝料が支払わなければならない」というのが請求理由で、弁護士費用を含めて165万円の請求となっている。 
 
 労働運動の歴史上、組合内部の紛争が裁判沙汰になった例はあるかも知れないが、組合大会における発言を理由とした損害賠償訴訟など聞いたことがない。しかもそれを起こしたのが全労連の民間主要単産の建交労だというのだから驚くほかない。全労連は組合民主主義を一番大事にする組織ではなかったのか。組合民主主義は少数意見を頭から否定せず、尊重するところからスタートするのではなかったか。 
 
 不当なスラップ訴訟をしかけられたNさんたちは建交労内外に呼びかけ、「『スラップ訴訟』に勝利する全国連絡会」を結成することになった。おれにも呼びかけ人になってほしいという依頼がきたので喜んで引き受けた。5月26日(日)には大阪で全国連絡会(準備会)主催の学習決起集会が開かれる。 
 
 今、労働組合の地盤沈下が懸念されている。建交労は日本の労働運動にとって大事な組合だ。ぜひ正常に戻ってもらいたい。そんな願いを込めて決起集会に参加するつもりだ。 


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