2019年06月06日15時06分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  ディーデイ <D-Day > 作戦開始日  平田伊都子

 6月6日はアメリカとイギリスの<D−デイ>です。 75年前の6月6日に、米英を中心とした連合国軍が、嵐のフランス・ノルマンデイーに上陸し、第二次世界大戦の戦況を 
覆しました。 イギリスのポーツマスで、<D−デイ>の前日6月5日に、♠アメリカ大統領を始め16か国の首脳が、イギリス女王と<ノルマンデイー上陸作戦>を偲びました。 
<D−デイ>はアメリカの軍事用語で、戦略上重要な作戦開始日を表します。<D>は<Day>の頭文字というのが通説で、<Day-Day(日々)>となるのでしょうか? 最近では、大事な日を<D−ディ>と呼び、韓国ではアイドル・テソンのアルバムタイトルにも使われています。 
 あなたの<D−ディ>は、いつですか? 
 
(1)中国の<D−デイ>アフリカ上陸作戦 TICADに浸食?: 
 5月30日、アフリカ連合のあるエチオピア首都アジスアベバで、<一帯一路>をテーマにして中国アフリカ共同フォーラムが開催された。AUアフリカ連合の上級職員やアフリカ諸国の大使や中国の官僚などが参加した。2013年にスタートした中国<一帯一路>構想の<一帯>とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへと続く「シルクロード経済ベルト」を指し、「一路」とは中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「海のシルクロード」を指す。 2017年から中国政府は、中国とアフリカ間の経済と外交関係を拡大させるため、<一帯一路>構想の下に、まずは二国間で企業同士の覚書を交わした。アフリカ大陸のなかでも東アフリカと北アフリカは、<一帯一路>構想の非常に重要な地域と特定している。モロッコも<海のシルクロード>二国間覚書を中国と交わしたそうだ。 
 筆者はかって<海のシルクロード>の形跡を追う、ドキュメンタリー制作に参加したことがある。エジプトのアレキサンドリア博物館で多数の古い中国製陶器を見つけたことから始まり、撮影隊はナイル川をスーダンに向かってファルーカ(伝統的帆掛け船)で上った。アレキサンドリアを首都としたプトレマイオス朝時代(BC305〜BC30)以降の貿易船はピラミッドの傍に展示されている巨大な古代木造船<クフ王(BC2500)の船>と同型だという。ところが、その船影がルクソールの手前でパッタリ消えていた。 
 地元の長老に、木造船は折り畳み式に構築されていて、分体されラクダの背に載せられ、紅海のハルガダ近くまで陸送されたという。そこで撮影隊もランドクルーザーで砂漠を横断した。そして砂漠の途中にある岩に<船が通過>と記されたアラビア語の落書きを見つけて、大喜びした。紅海から先の航海は、海神のご機嫌次第ではあるが、それほど難しくないことが分かった。オマーンがインド洋の制海権を握った、中近世以降は中国から大量の陶磁器が交易商品となり、<陶磁の道>とも呼ばれていた。 
 中国は<一帯一路>構想以前の、遠い昔からアフリカと<海のシルクロード>交易をやっていた。 
 
(2)外れたアルジェリアのD−ディ: 
 5月31日、アルジェリア首都アルジェで、断食月最後の<金曜デモ>に数千人の市民が参加した。人々は、<7月4日の大統領選挙反対!>、<前政権関係者全員の追放!>、<政治体制の完全変換!><完全な民主主義!>などのスローガンを叫んだ。ASPアルジェリア国営通信によると、過激な行動を取ろうとした約30人が逮捕されたが、デモが終了した後で釈放されたという。 
 6月2日、憲法評議会は二人の大統領選挙候補者の受理を廃棄し、2019年7月4日の大統領選挙を無効にした。そのうえで憲法評議会は、「最高指導者の決断次第だ」と、同じ声明文で補足した。アルジェリア暫定政府の<D−ディ>作戦は失敗した。<7月4日の大統領選挙反対!>を唱えたデモ隊の<D−ディ>壊滅作戦は成功した。 
 6月3日、スーダン首都ハルツームで、民主的政権を要求するデモ隊を、暫定軍事政権の治安部隊が襲撃し、35人以上の市民を殺し、数百人以上に傷を負わせた。2019年4月 
に、反政府民主化運動の盛り上がりを利用して、クーデターで軍は30年間にわたったバシール政権を倒した。軍は3年後に選挙を行う約束をしたが、スーダンの民主化<D−ディ>は、限りなく未定だ。 
 
(3)♠アメリカ大統領夫妻の<D−ディ>元海賊帝国上陸: 
 世界中のメデイアが、良くも悪くも,♠アメリカ大統領夫妻のイギリス国賓訪問の映像を流した。2019年6月3日の公式日程を記しておく。 
 ♠アメリカ大統領夫妻を、英国女王と英国皇太子が公式に迎える; 
12:00 バッキンガム宮殿へようこそ。 13:15 英国女王と内輪の昼食。 14:00 宮殿内でアメリカとイギリス関係の歴史展を英国女王が自ら案内。イスラエル首相ネタニヤフの親友で、♠娘婿のユダヤ人クシュナーが横にピッタリ。 
 ♠アメリカ大統領夫妻、無名戦士の碑を詣でる; 
15:10 ウェストミンスター,無名戦士の碑に花束を捧げる。 16:00 ♠アメリカ大統領夫妻をチャールズ皇太子夫妻が、イギリス式お茶に招待。 
 20:45 大晩餐会。 
 「我々両国は、(第二次大戦で)一致団結してナチとナチ体制を崩壊した、新世紀十字軍だ」と、♠アメリカ大統領は、第二次世界大戦で世界に知らしめたイギリス国民の勇気を讃えた。そして英国女王を、「great, great woman(偉大な、偉大な女性)」と、連呼した。最後に、「わが国民を代表して、誠に卓越された女王陛下の末永い繁栄を祈って巳みません」と、乾杯の音頭をとった。 
この日、ホワイトハウスは、「英国王室一家が、♠アメリカ大統領一家のために大晩餐会を開いた」と、発信した。確かに、♠娘婿クシュナー夫妻も同席していた。 
 1948年5月14日、米英の後押しで、ユダヤ人はパレスチナ人の地にイスラエルを建国した。そのために難民となったパレスチナ人を援助するため、1949年12月8日の国際連合総会決議302 (IV) によりUNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)が設置された。UNRWAは、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、ヨルダン、レバノン、シリアで約500万人のパレスチナ難民に教育、保健、福祉、救急などの援助を行っている。日本も多大な貢献をしている。 
 
 このところ、CBSを始めとするアメリカのテレビ局は、「ノルマンデイー上陸作戦」関係の映像を流してきました。 嵐のノルマンデイー海岸に上陸する米兵たちの記録映像、作戦に参加した退役軍人が現地で回顧するインタヴュー、大ヒットしたアメリカ映画「The Longest Day 史上最大の作戦(1962)」など、、しかし、「ノルマンデイー上陸75周年」イベントに参加するのが♠アメリカ大統領の目的ではないようです。 ノルマンデイーも英国女王陛下も、娘婿クシュナーが企む<アメリカ新中東構想>作戦に向けての小さな<目くらまし>です。  パレスチナや国連を無視して、日程通りクシュナーは6月25日、26日にバハレーンで、<パレスチナ経済支援会議>を強行します。 
 そして、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を廃止するらしいです! 
 国連はUNRWAを継続すると主張しています。 が、最大の資金援助国アメリカが、UNRWAへの拠出金を打ち切りました。 どこの国が、アメリカの肩代わりをするのでしょうね? 
 まさか???? 日本??? 
 
 
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年6月6日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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