2019年07月12日09時12分掲載  無料記事
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労働問題

郵政民営化が生んだ腐敗 かんぽ生命保険の不適切販売

 「二重徴収 手当目当てか」「かんぽ2.2万件、処分検討」(10日付『毎日』2面)。「かんぽ二重徴収2万2000件」「時代遅れのノルマ追及」(同7面)。小泉純一郎政権時の郵政民営化で分離されたかんぽ生命で、契約手法の操作で顧客から保険料を二重取りしていた。その分を郵便局員に手当金として払っていたというのだ。(戸塚章介) 
 
 「かんぽ生命は、新規契約の獲得を重視し、郵便局員が営業成績に応じて受け取る手当て金について新規契約と乗り換え契約では倍程度の差を付けている。社内ルールでは、新規契約から6か月以内に旧契約を解除すると『乗り換え』と認定されるため、7か月目に解約する方が郵便局員が受け取る手当ては増える」「(このため)意図的に解約時期を遅らせる行為が組織に蔓延していた疑いが強い」(『毎日』)。解約時期が遅れた分だけ顧客は二重払いになる仕掛けだ。 
 
 仕掛けは分かったが、『毎日』記事では現場の郵便局員の声が聞こえない。ネットを見ていたら10日配信の西日本新聞の記事が目についた。「かんぽ二重払い、報道後に憤りの犢霹瓩続々 現職郵便局員の『現場は限界』」。新聞で報じたとたんに日本郵政グループ関係者から50件を超す内部告発の声が寄せられたというのだ。 
 
 「(新聞報道の後も)現場は数字を毎日求められています。過剰なノルマは何も変わらず、管理職から詰められている毎日です」「こうしている間もたくさんのお客さんがだまされ、被害が出ているのが現場です」「過剰なノルマ、管理職からの恫喝、懲罰研修などはもちろんですが、圧倒的に給料が低いことも原因の一つ」。 
 
 70歳以上の客を説得する手口として「貯金残高が多いと高齢者施設に入所できないので、貯蓄を減らした方がいい。その貯蓄をかんぽ生命保険や投資信託に移せば、資産隠しができて施設に入れる」と説明する。なにやら例の「2000万円確保のための投資の勧め」を彷彿させる。 
 
 規制緩和の掛け声で強引に進められた郵政民営化、その行きつく先は郵政事業の腐敗への道だった。西日本新聞に声を寄せた局員の多くは「郵便局の仕事に誇りを持ちつつ、郵便局を信頼してくれる客を大事に思って現状を憂えて」いる。「真実を明らかにし、うみを出し切ることこそが」必要なのではないか。 


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