2019年07月16日13時38分掲載  無料記事
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政治

れいわ新選組の演説を聞きに来た人に聞いた   

  れいわ新選組についてTVがほとんど無視しているというので、日刊ベリタで少しでも知りえたことを書いています。昨日のJR中野駅前の演説会では公明党の山口那津男代表に挑戦している沖縄の創価学会員の野原ヨシマサ氏と代表の山本太郎氏が演説を行いました。駅前は聴衆でいっぱいになり、駅への階段も座り込む人たちが連なっていました。聞きに来たある男性に「なぜれいわ新選組の話を聞き来たのか?」と聞くと、こう答えました。 
 
 ●介護の必要な人や難病の人など困っている当事者を候補者に出している 
 
  何人かに聞いたところ、この答えは共通するもので、れいわ新選組への期待の最も大きな要素として10人の候補者の顔ぶれが従来の政党の候補者とはかなり異なっている印象がある、ということが挙げられます。「当事者」という言葉は、従来、候補者にありがちだった弁護士とか新聞記者、TVアナウンサー、元官僚みたいな「代弁者」的な人ではなく、問題の真っただ中に生きている丸ごと、当事者ということです。 
 
 ●二世議員や三世議員など世襲化と政治家のプロ化が進んでいることに不満がある 
 
  れいわ新選組の品川の「れいわ祭」でも自ら「自分たちは素人だ」と候補者の一人が言っていました。素人に政治ができるか、と言えば確かに不安を持つ人も一般に多いと思われます。大きな目標を掲げているけれど、素人たちに何ができるのか?という問いです。れいわ新選組に対して批判的な人々のこの視点には確かに説得力もありますが、しかし、話を聞きにやってきた人の声もよくわかりました。安倍首相や麻生副首相に象徴されるように政治家の世襲が続き、庶民の生活からかけ離れた政策を行っている、という強い不満がそこにはあります。れいわ新選組の選挙運動は普通の町の生活者を候補に立てており、これまでのプロでないと政治はできない、という考え方に異議を唱えているのです。といって誰でもいい、というわけではなく、生活者だとしても政策を実現できそうな人を選んでいる、とその人は語りました。政治のプロに任せた結果が今の日本だ、という思いがそこに渦巻いています。政治のプロの中にも庶民の思いを代弁している政治家もたくさんいるのですが、しかし、それでもまだ全然庶民の声が届いていない、という強烈な不満を持っている人がいることが感じられました。 
 
 ●TVや新聞は自民党安倍政権の6年間の政策の結果を検証していない 
 
 ●寄付を使って新党を立ち上げたことは政治参加の難しさ、という日本のハードルを1つ壊した 
 
  こういった声を聴衆から聞きました。山本太郎氏は参院選の公示前のれいわ新選組の政策説明会では野党批判を強く行っていたために野党共闘を支持する人を怒らせていた面がありました。しかし、少しずつ野党議員批判を控え、批判する時も敬意をまず表現してから批判する、という風にニュアンスを変えています。また、批判の大きかった国債発行で財源を作る、という話は割愛するようになり、富裕層や大企業への累進課税で財源を作る、というもう1つの財源の方だけに集中しているようです。その意味で野党共闘支持者が聞いていることも意識して慎重になっている気がします。 
 
  先の聴衆のインタビューと通底するところですが、山本太郎氏は「野党の先輩方」の闘いを称えながらもその闘い方が「上品すぎる」という思いを披露していました。野党は国会で少数派に追い込まれており、普通の闘い方では数の力でどうしようもない。たとえば昨年12月に可決した入管法改正の時。単純労働者を含め外国人労働者数十万人を入国させるという入管法改正の国会審議に関しても、本会議に戻される前に委員会審議の段階で野党が連帯して審議拒否を行い、国会審議を止めて何日でも1か月でも与党とぶつかる闘いをするべきだった、と言っています。そうなると、「なぜ国会審議が止まっているのだ?」ということでメディアが取材をせざるを得なくなる。メディアが取材できる場を作り出すことで国民にこの問題の重要さを知ってもらう機会を創出できる、というのです。 
 
  こうした闘い方は香港のデモシストや台湾のひまわり運動の学生や市民が行ってきた闘いと同じ地平に立っている気がしました。つまり、山本氏には日本の国会が非常事態に陥っているという思いがあるのでしょう。 
  2014年3月に発生した台湾の「ひまわり運動」は、中国との自由貿易協定を秘密裏に数の力で強行採決しようとした国民党の馬政権に対して、台湾の大学生たちが議会に突入して立てこもり実力で採決をブロックしたものでした。大学生たちはもしこの自由貿易協定が可決されてしまったら、自分たちの生活の未来が閉ざされる、という強い危機感を持っていました。ですから、彼らは当事者たちでした。議会に立てこもるだけじゃなく、そこにTVのクルーも中に入れて思いや要望を語ってそれを刻々とTVに映させた結果、台湾全土の人々がこの貿易協定(物の輸出入だけでなくサービスも含まれる)がどのように庶民の生活を変えるか、ということに目を留めるようになったのです。学生リーダーの林飛帆氏が議場でTV局からインタビューされた時に「お父さんお母さん、心配しないでください。どうしてもやらざるを得なかったのです。でも僕たち決して暴力は行いません。」と泣きながら話したのを見て、台湾の多くの人々が心を動かされたのでした。1万人近い市民や学生が台湾各地から大学生の応援に集まり議会を取り囲みました。このようにハプニングを起こすことで世界のメディアが注目する場を創出する、という戦術です。これは2011年あたりからニューヨークを始め各地で行われてきた1つの闘い方です。山本氏の基本コンセプトは国会で数の力で劣っている分、メディアを活用して国民に広く問題を知ってもらおう、ということのようです。(皮肉にもTV各局のニュース番組では極力、れいわ新選組を放送しないようにしていると聞きます) 
 
  政治のプロたちは本気で民衆のために闘ってくれるのか、というのが山本太郎氏やその支持者たちが共有している感覚のように感じられました。もしその法案が通った時に起きる影響を議員たちは本当に自分のこととして想像したことがあるか、という思いでしょう。暮らしが刻々と厳しく追い詰められていく苦しみがそこにはあります。こうした事態に対して、山本氏は、先述の通り、アジアや世界の政治運動を取り入れている印象があります。台湾の「ひまわり運動」の場合は与党・国民党の中に大学生たちに共感を持つ大物議員がいたおかげで、流血の惨事にならず、2016年のW選挙では民進党の大勝につながっていく契機となりました。アメリカでも「ウォール街を占拠せよ」のメンバーが多数、2016年の大統領選で民主党のバーニー・サンダース支持に動いたと言われています。議会の外部で起きた運動であったとしても、それは決して政治の外部などではなく、民衆の運動自体も政治である、というのが近年の傾向だと思います。れいわ新選組の運動が台湾のような成功を収めるかどうかは未知数ですが、その発想と行動にアジア的な運動の印象を持ちました。 
 
 
 
■国会パブリックビューイングを見に行く   村上良太 
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■8月30日 国会前・安保関連法案反対集会 人々の声1 
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■8月30日 国会前・安保関連法案反対集会 人々の声2 ハンガーストライキ 
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■野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その1 
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■野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その2 
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■野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その1 
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■野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その2 
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