2019年07月17日17時01分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  モロッコの麻薬放置、国連安保理に告発される  平田伊都子

 2019年6月29日にMWN(モロッコ世界ニュース)が、「UNDOC(国連薬物犯罪事務所)が、世界最大のハシシ産出国はモロッコだと報告」と、報道しました。 2017年のモロッコ・ハシシ総生産量は3万5千703トンで、ヨーロッパのハシシ消費量の70%以上をモロッコ産が占めているそうです。 MWNによると、ハシシ生産はモロッコ北部の貧しいリーフ山地に集中しているそうです。 ハシシは、ハシッシュ、カナビとも呼ばれます。 
 モロッコ産ハシシは、地中海を渡りヨーロッパへ、モロッコ占領地西サハラから砂の壁。地雷防御壁を越えて西サハラ砂漠からアフリカへと、密輸されています。 先週の7月第二週には、スペインで2件、西サハラ解放区で2件、モロッコ産ハシシが摘発されました。 
 その一方で、MWNはモロッコ王女一行の豪華バカンスを詳細に伝えています。 
 
(1)モロッコ王女と息子の皇太子らが超豪華バカンス: 
 7月12日のMWN(モロッコ世界ニュース)は、「ラーラ・サルマ・モロッコ・プリンセスは息子で皇太子のムライ・ハッサンを伴って、ギリシャの島スキアトスに7月7日の午後専用ジェット機で、休暇のため訪れた。5月8日に皇太子は16才になられた。スキアトスはアテネから140キロ離れた、エーゲ海北西に浮かぶ島で、享楽のリゾート地として有名だ。島一番の超豪華ホテル・コウコウナリに直行したプリンセス・ラーラ・サルマ・は、一週間で約7260万円もする超豪華ヨットを借りた。このヨットには、28人の船客を収容できる15の船室があり、31人のクルーが召し抱えられている。プールについた飛び込み台からダイビングすると、そのままエーゲ海に突っ込んでいく、、エーゲ海にサメはいたっけ?ラーラの称号が、クイーンからプリンセスに変わったのは、どういう訳?? 
 プリンセス・ラーラと息子の皇太子が、豪華ヨットでエーゲ海を航行中の7月第二週、スペイン私設警備団が、モロッコからスペインに向け航行していたハシシ密輸船団を拿捕した。この捕り物では6人が逮捕され、ハシシとボート三隻が没収された。ハシシ麻薬密輸ネットワークはチャファリナス島を司令島に、小さい3島に拠点を置いている。いずれも、ラス・エルマ村から33キロ、メリリャ(スペイン領土)から46キロ離れた、モロッコ沿岸にある。麻薬燃料海上監視団が、「最近は、様々なボートがモロッコからスペインへの麻薬密輸に使われている。5月にはマラガ近海で拿捕した豪華ヨットから、3トンのハシシを押収した」と、報告している。 
(写真の出展はMWNモロッコ世界ニュース) 
 
(2)日本がモロッコ服役者の社会復帰計画を全額負担: 
 MWNモロッコ世界ニュースは、「日本政府がモロッコ服役者の社会復帰計画のために、約4900万円の資金支援を約束し、2019年7月10日に駐モロッコ日本大使館で合意の署名をした」と、発表した。DGAPR(刑務所と社会復帰のためのモロッコ代表団)は、UNDP(国連開発計画)の規定を考慮した一年間の社会復帰計画に対して、日本が全面的に金を出すことに決まったと資金源獲得の成果を伝えている。DGAPRは、「服役者の社会復帰計画は。再犯や暴力や過激主義との戦いでもある」と、自画自賛している。計画は刑務所管理者の技術教育も含まれ、同時に服役者に対する技術訓練も予定している。その一環として、絨毯織り、伝統的な紡ぎ、縫裁、陶芸、などが、アガデールの地方刑務所で予定されている。 
 さらに、メクネス、サレ、ケニトラ、アガデル、サフィ、フェズの刑務所では、服役者たちの忍耐を養い過激思想を排除するため、宗教的洗脳も計画されている。悪名高いこれらの刑務所には、多くの西サハラ人政治囚が収監されており、刑務所管理人たちの拷問で痛めつけられいる。 
 日本の資金で、モロッコ刑務所管理人たちが、拷問機器を仕入れ拷問技術を学ばないように、、と、祈っております。 
 
(3)野放しのモロッコ麻薬産業を国連安保理に告発: 
 2019年7月10日、西サハラ難民解放軍が西サハラ解放区のアクリバ・アカヤ地区で、5人のモロッコ人麻薬密輸人を逮捕し、100キログラムのハシシ麻薬を押収した。さらに7月12日にトヨタ・ランドクルーザーに乗った4人のモロッコ人麻薬密輸組織を逮捕した。 
そして、1525キログラムのハシシ麻薬とPKT 機関銃と弾丸200発付きのカラシニコフ銃2丁を没収した。 
 2019年7月15日、西サハラ難民政府国連代表シディ・オマル博士は国連安保理7月議長国ペルーのグスタボ国連大使に、「モロッコの麻薬産業放置は地域の平和と安全を脅かしている」と、モロッコを告発する書簡を送った。書簡の中で国連代表オマル博士は7月10日と12日のモロッコ人麻薬組織逮捕事件を例にとりながら、「AU(アフリカ連合」加盟国として、国際社会の一員として、西サハラ解放区のみならず近隣地域から麻薬密輸を撲滅する責務がある。我々は国連安保理に、麻薬の拡散を野放しにしているモロッコに対して、その責任を強く追及するよう求める」と、モロッコを非難した。さらに国連代表オマル博士は、「モロッコが世界ナンバーワンのハシシ産出密輸国であることは、2018年アメリカ国務省国際麻薬統制政策報告や2019年国連麻薬犯罪事務所などを含む、国際機関が熟知している」と、言及した。そして、「西サハラ南端のゲルゲラト地区では、麻薬を含む密輸品が砂の壁・地雷防御壁を越え国連緩衝地帯を無視し、モーリタニア方面に流れている。これは明らかに、国連停戦第一条に対する違反行為だ」と、西サハラ国連代表オマル博士は書簡を結んだ。 
 
 モロッコ産ハシシ麻薬の製造と密売が、ここ数10年間にわたってテロの資金源となり、 
密売人がテロリストとなりヨーロッパのみならずアフリカ大陸にも横行してきました。 
 ハシシ麻薬シンジケートを撲滅することに関して、オマル博士の論を待つまでもなく、MWN(モロッコ世界ニュース)を始めとするモロッコのメデイアも、言及しています。 ところが、モロッコ産ハシシ麻薬シンジケートは温存されているのです。 
 どうしてなのか? 推測してみてください。 
 
 
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年7月17日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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