2019年07月20日10時06分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201907201006356

政治

野党共闘の支持者たちが呼びかける戦略的投票 〜実態に合わない小選挙区制で中小政党の声を反映するための戦略〜

  いよいよ選挙戦、投票まであと1日となった今日、SNSでは「戦略的投票」という言葉が流通しています。政策協定を結んで野党共闘をしている政党の候補者の中で、当選が固くなってきた候補者や当選見込みのなくなった候補者ではなく、当落線上にいる候補者に、たとえその政党が支持政党でなくとも野党共闘の議員数を最大化するように戦略的に票を投じてください、というもの。1人区ではすでに野党間で候補者を1本化していますが、複数区でもできるだけ死に票を減らして共闘関係の候補者を一人でも増やそうという現実を見据えた作戦です。 
 
  今朝SNSで流れているものの中ではいくつかの選挙区での共産党候補への戦略的投票を呼びかけるメッセージが目立っています。また都市部では立憲民主党の候補の名前も挙がっていました。こうした戦略的投票も日本の政治の実態に合わない小選挙区制の中で少数者の声を政治に反映するための戦略の1つです。 
 
  参院選を前に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が間に入って政策協定を結んだ4党1会派は、立憲民主党、国民民主党、社民党、共産党と「社会保障を立て直す国民会議」です。 
 
 
▲2019年の参院選 
 選挙区での改選は74人、比例代表での改選は50人の合計124人。そのうち選挙区の中の1人区では32人で、複数区では42人が改選される。 
 
 
■「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」 
 
来る参議院選挙において、以下の政策を掲げ、その実現に努めるよう要望します。 
 
だれもが自分らしく暮らせる明日へ 
 
1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。 
 
2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。 
 
3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。 
 
4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。 
 
5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止向けた対話を再開すること。 
 
6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指します。 
 
7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。 
 
8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。 
 
9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。 
 
10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金を「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消する。また、これからの家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。 
 
11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数か(パリテ)を実現すること。 
 
12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。 
 
13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。 
 
 
この内容に対して、署名が行われました。 
 
 
※市民連合のウェブサイト 
http://shiminrengo.com/archives/2474 
 
 
 
※戦略的投票行動(戦略投票)ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E7%95%A5%E6%8A%95%E7%A5%A8 
「戦略投票を行うには、選挙結果の予測を得なくてはならない。マスコミ各社の世論調査結果は、大抵の有権者にとって予測を得る絶対的な手がかりであり、これを基にして戦略投票が行われる。すると、報道内容がその選挙制度のナッシュ均衡の一つを表現している場合は、予言の自己実現が成り立ち、世論調査をマスコミが操作したか否かに関らず、報道された結果が実現する。このように風聞・報道内容が結果を左右する現象はアナウンス効果と呼ばれ、バンドワゴン効果とアンダードッグ効果(いわゆる「判官びいき」)の相乗からなるともいわれる。」 
「投票協力・選挙協力(swap vote)」という別の手法も存在する。 
 
 
■参院選に向けた市民連合と野党4党および1会派の政策合意内容は? 〜立憲主義に加え、最低賃金の目標「1500円」や報道の自由の徹底(放送の管轄を総務省から独立機関へ)税制の公平化など〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201906022230250 
■野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その1 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201711080022143 
■野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その2 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201711080111133 
■野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その1 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201711182057166 
■野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その2 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201711182139086 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。