2019年10月03日16時35分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】底が深い原発マネー 今年6月福井県内の反原発団体に内部告発的手紙が届いていた

 関西電力を舞台に、巨額の原発マネーが電力会社ー地元有力者ー原発建設企業―電力会社幹部と還流していた事件は、世間を驚かせた。このことを知らせる内部告発が、今年6月地元の反原発住民団体に届いていたことを、たんぽぽ舎のメールマガジンが報じている。内部告発はマネー還流先として関電幹部だけでなく「国会議員、県会議員、市長、町長等へ還流」と述べ、底なしの闇の存在を示唆している。(大野和興) 
 
以下、たんぽぽしゃ通信9月30日から・・・・・・・ 
関電役員への3.2億円授受問題『その1』 
こんな会社は原発を持つ資格なし 
全機運転を止めて廃炉にする以外ない 
      東山幸弘 (福井県高浜町) 
 
 今年6月、福井県内の反原発団体である「原発設置反対小浜市民の会」と「福井から原発を止める裁判の会」宛に「関西電力良くし隊」という名で内部告発的な内容の手紙が届きました。 
 
 その内容は「関西電力の原子力事業本部が40年を超える長年にわたり大きな不正が行われてきました。 
 現在進められている再稼働に向けた安全対策工事、特定重大事故等対応施設工事等において、現在もなお、(原発立地の)地元議員、地元会社と原子力事業本部幹部との癒着構造が継続されております。 
 
 私共が最も看過できないのは、原発の建設、運転、定期点検、再稼働工事の過程で、工事費等が水増し発注し、お金を地元有力者、及び国会議員、県会議員、市長、町長等へ還流させるとともに、原子力事業本部幹部職員が現金(億単位)を受け取っていたことであります。そして、水増し発注工事は電気料金に加算・計上されていたということです。」 
 
 告発文は「このことに対して、私共は、岩根社長、及び現監査役全員に、不正に関与した幹部の退陣と人心の一新を、書面にて求めてきました。しかしながら、…私共の訴えは全く無視され、コーポレートガバナンスは、全く機能していない、期待できない組織になっていることを確信いたしました。」 
 「この巨悪は、私共のような小さな声では排除できない、関西電力の再生は不可能であると考え、相応の社会的な力、影響力お持ちの皆様方に…メスを入れていただきたく、筆をとった次第でございます。」と、続き「一昨年、吉田開発(森山先生)脱税発覚に端を発する一連の捜査過程で、関電幹部が受け取った現金を吉田開発への返納、修正申告等、…時効などの問題もあろうかと思いますが『一旦受け取った公金(電気料金)ではあるが、やばくなったので返す。』の論理が法的にも社会倫理上も通用するのであれば、もはや我が国は法治国家ではありません。」と記され、 
問題となる関西電力の幹部として、八木会長、豊松原子力事業本部長、森中同本部長代理、右城地域共生本部長、大塚副事業本部長、鈴木副事業本部長、と名前を上げ、その他水増し発注を指揮・遂行した副事業本部長諸氏と記載され、この情報の公表先として県内の反原発2団体のほか、松井大阪市長、神戸市長(両者は関電の大株主)、橋下徹氏、福井新聞、朝日新聞、立憲民主党、日本共産党、テレビ朝日、朝日放送、TBS、金沢国税局、大阪地検特捜部と書かれていました。 
 
 そして、今年3月10日付けの岩根社長宛の手紙のコピーも同封されており、その内容は「1.利益供与された金が、関西電力の八木会長をはじめとする原子力事業本部、地域共生本部などの会社幹部に還流されていたこと。2.利益供与の原資は、協力会社への発注工事費、特にゼネコン、プラントエンジリング会社、警備会社等を介して渡されていたこと。3.その原資は、コストとして計上され、ほかならぬ、お客さまから頂いている電気料金で賄っていること。 
4.(略)。5.(略)。 
 
 以上の5つの大罪に対して、どう釈明なさるおつもりか?」と質し、「関与した一連の幹部を職務から追放する」よう求めており、「来たる株主総会を注視している」と記し、「この提案を無視、あるいはもみ消し工作するようであれば、…把握している限りの情報を諸団体、マスコミに公表し、徹底的に解明・訴追してもらいます。」その後に、先の公表先名が書いてありました。 
 
 原発推進の方々にはウラ金が渡っていることは噂には上がるのですが、具体的な話はなかなか我々には届きませんでしたし、手紙に書かれていることを信用していいものか、逡巡(しゅんじゅん)して、とりあえず様子を見ると言う状況でした。 
 吉田開発(高浜町内の土建会社)に税務調査が入ったことは知っていましたが、この9月27日の報道を見て驚きました。 
 
 高浜原発3号、4号の再稼働に当たって、新規制基準ではその裏手の山の法面(のりめん)が急なため、土取りをして緩斜面にする工事をゼネコンの「安藤ハザマ」が請け負い、その下請けとして地元の土建会社「吉田開発」(元高浜町助役の森山栄治さんはこの会社の役員)が土捨て場の開拓・管理工事を35億円で受注し、その内の3億円の手数料を森山さんは受け取って、関電岩根社長、八木会長ら6名に1億8千万円が渡されていたと。 
 
 翌日の岩根社長の会見では森山さんからもらったものは20名で総額3億2千万円に上る発表しました。森山さんは吉田開発以外にも原発下請けの地元会社「オーイング」や「柳田産業」の役員をしておられました。 
 
 森山さんの助役時代は1977年から87年で、高浜3、4号の増設計画から建設、初稼働の時期で「彼の働き」がなかったらスムースに進まなかったのでないかと私は思っています。 
 関西電力は森山さんに足を向けて眠れない存在と思いますが、その実力が退職後30年経っても衰えなかったことも私には驚きでした。 
 ただ、税務調査は直近7年より前は時効で調査が出来なく、森山さんは今年3月に亡くなっておられ、深い追及は出来ないと当局は踏んで、今回の発表になったとも考えられますし、90歳近い方がひとりで億単位の金を動かしていたとも思えません。 
 
 原発マネーにはもっともっと底が深く、長い長い時間の闇が横たわっています。 


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