2019年11月18日16時31分掲載  無料記事
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市民活動

高まる防衛費に「武器より暮らしを!」の声〜市民団体が結成記者会見

防衛省は今年8月、5兆3223億円と過去最大を更新した2020年度概算要求を発表した。しかし、暮らしに目を向けると、福島原発事故の被災者支援を始め、教育費や生活保護費、年金の切り下げなど防衛費以外にも予算を必要としているところが多くある。首相らが「桜を見る会」で税金を無駄遣いする一方で、今年10月に強行された消費増税に苦しめられ、厳しい生活を強いられる国民も多い。 
 
こうした中で、政府予算案、特に増大する防衛費の削減などを訴える「武器より暮らしを!市民ネット」が11月15日、参議院議員会館で結成記者会見を行った。 
呼びかけ団体の一つである「武器取引反対ネットワーク・NAJAT」の杉原浩司代表は、「ここ1、2年、アメリカ製の高い武器を日本政府が爆買いしている一方で、大学の奨学金の問題など、本当に必要なところに手当てが行き届いていない」と日本政府の対応を批判する。 
同じく呼びかけ団体である「社会権の会」代表の申惠丰教授(青山学院大学)は、海上自衛隊護衛艦「いずも」の空母化やミサイル防衛システム「イージス・アショア」に関連する莫大な経費を示しながら、「軍拡を進める予算のあり方は憲法上も国際人権法上も極めて問題がある」と訴えた。 
また、ゲストスピーカーとして参加した「FREE高等教育無償化プロジェクト」の中野典事務局長は教育費の観点から、「高等教育無償化法と言いながら対象はごく限られた学生であり、免除枠も縮小されてしまう。最近では、国立大学での学費値上げが相次いでおり、高等教育の漸進的無償化という国際的な義務に逆行した政治が行われていることに憤りを感じている」と述べ、日本における高等教育無償化の問題点を指摘した。 
 
「武器より暮らしを!市民ネット」では今後、年末に出される政府予算案への抗議声明や政府交渉を通じて、市民による予算の組み換え案提示も含めた活動を続ける予定である。また、来年1月には、予算そのものに関する学習や、軍事費の問題に焦点をあてた屋内集会を予定している。 


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