2019年11月19日17時14分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  イチゴ大臣がアルジェリア大統領候補

 2019年12月12日、アルジェリア民衆が求めたアルジェリア大統領選挙が行われます。 
 2019年2月に始まった金曜デモは、汚職と縁故にまみれた前政権を倒し、公正なアルジェリア大統領選挙を勝ち取りました。 11月16日、暫定大統領が5人の大統領候補者を紹介しました。 そして、11月17日から選挙戦が始まりました。 ところが、その中に知った人がいたのです。 
 
MWN(モロッコ世界ニュース)が教えてくれたイチゴ観光大臣の立候補: 
11月18日のMWN(モロッコ世界ニュース)が、「アルジェリア大統領候補の一人が、モロッコは麻薬を基幹産業にしている」と、とんでもないアルジェリア大統領候補の出現 
に、強い不快感を顕わにした。そして、「この候補は、モロッコの麻薬輸出収入は10憶ドル以上に上ると、モロッコを侮辱した発言をしている。やっと、モロッコ国王陛下直々のお言葉でアルジェリアとの外交関係を改善しようとしている時に、とんでもない輩だ」 
と、候補者をこき下ろした。が、「根も葉もないでっち上げで、モロッコは麻薬なんかに汚染されていない清く正しく美しい国」と、反論できないのがモロッコの現実だ。毎日のようにモロッコのメデイアが、麻薬の摘発や逮捕や大捕り物を自慢げに報じている、、 モロッコ北部リーフ山地がハシッシ麻薬の最大生産地であることも、モロッコ王国は黙認している。 
 モロッコが麻薬王国であることは、モロッコ国内だけではなくアルジェリアでも周知の事実だ。他の大統領候補も同じ認識で、筆者があえて取り上げるほどの記事ではなかった。 
が、、「アブデル・カーデル・ベングリナは、観光大臣を務め2013年に<アル・ビナ>という名のイスラム運動政党を立ち上げた、、」との経歴を見た時、「もしかして?」と、改め て、5人勢ぞろいした候補者写真のセンターにいる人物を見直した。 
 
➁「もしかして?」あの、イチゴ観光大臣?: 
 もしかしました! モロッコメデイアが攻撃するアルジェリア大統領候補は、まさしく2度にわたりアルジェリア観光旅行に招待してくれた、あのイチゴ観光大臣だった。 
 アブデル・カーデル・ベングリナをアルジェリア観光大臣に任命して、アルジェリアは観光に力を入れ始めた。1990年代のアルジェリアではテロが横行していて、有名なパリ・ダカール・ラリーは撤退し、陸路での移動も禁止され戒厳令が敷かれていた。「隣のチュニジアでは観光収入がアルジェリアの10倍以上もある。アルジェリアはチュニジア以上に観光資源が豊富なのに、観光を蔑ろにしている」と、観光大臣は就任の抱負を語った。そして、ヨーロッパの観光会社CEOや外交官やメデイアを招待し、大臣自らがツアーガイドになって、2度の観光イベントをやった。テロ襲撃を警戒する軍隊に囲まれた物々しい大名旅行だったが、爆笑に次ぐ爆笑で、アルジェリアを満喫した。 
 ちなみに、一回目は、世界一美しい夕日が見られる<タギットの砂丘>を中心にした、<砂漠と砂漠の民トアレグ族>の2泊3日旅行だった。金茶の民族衣装を着てちょび髭をたくわえた観光大臣は「砂丘のスキーをお見せする」と、砂丘をお尻で滑り降りて行った。 
 二回目は<サハラ・ラリーに地中海の古代ローマ漁港>5泊6日豪華旅行。未だにパリ・ダカール・ラリーの残骸が残るコースを突っ走り、奇岩巨岩がそそり立つ窪地にテントを張り、幻のオアシスで喉を潤す。そして、砂まみれのまま、昔からのキャラバンサライ(隊商宿)タマンラセットに到着。観光大臣一行は、タマンラセット州知事を始めとする現地・砂漠の人々から熱いおもてなしを受ける。その中に、ジャネットからタマンラセットまでのサハラ単独横断を付き合ってくれた、トアレグ族の案内人もいた。 
 
➂ イチゴ大臣アブデル・カーデル・ベングリナ: 
 タマンラセットから観光大臣一行は飛行機に乗せられた。そして、飛行機がレッガヌ地域にさしかかった時、観光大臣が、「この砂漠の地下でフランス軍は、広島原爆8倍の威力がある核実験を、17回もやったんだよ」と、筆者に説明した。「半年前にこの辺りをニッサンパトロールで走行したんですが、砂も奇岩も放射能汚染されたままなんですか?」と、筆者は聞き返した。「当たり前だろ!放射能汚染は半永久的に残る。お前、日本人なんだろ?」 
と、観光大臣は間抜けな日本人の顔を覗き込んだ。筆者はぞっとした。走行したサハラ砂漠にはフランス軍兵舎の廃墟があり、傍に井戸もある。筆者はそこで野宿をした。井戸の 水こそ飲まなかったが、顔を洗い髪も洗い一週間の砂と疲れを流したのだった。 
 1960年2月13日午前7時4分、「マニフィック.シャンピニオン!(素敵なキノコ)」と、核実験仏軍担当官が叫んだ。フランスが初の原爆実験をアルジェリアのサハラ砂漠で成功させた瞬間だった。その頃、地中海沿岸のアルジェリア北部では、アルジェリア独立 
運動の志士たちがフランス植民地軍を相手に死闘を展開していた。1600kmも砂漠の奥深く入った地点に目を向ける余裕など、アルジェリア人には全くなかった。被曝した現地のトアレグ族や「核実験退役軍人の会」などの訴えで、フランス政府が核実験被害を認め補償 
に向けて動き出したのは、2009年に入ってからのことだ。 
 フランス核実験の現場を見てから、観光大臣一行の飛行機は、地中海沿岸にあるスキクダとい古代ローマ時代からの漁港に向かった。飛行機を降りた一行を、賑やかな<イチゴ祭り>が歓迎してくれた。 
 そして、アブデル・カーデル。ベングリナ観光大臣が、屋台に積み上げられたイチゴのうち一番大きいのをつまんで、筆者にくれたのです。 
以来、<イチゴ大臣>とお呼びしているのです。 
 
 <イチゴ大臣>のお陰で、筆者は戒厳令下のアルジェリア観光を楽しんだだけでなく、その機会を利用させて頂き、アルジェリア西部にある西サハラ難民キャンプを訪ねることもできました。 
 アルジェリア大統領選挙の行方は、居候をしている西サハラ難民にとっても、非常に気になるところです。 ましてやお世話になった<イチゴ大臣>の選挙戦とあっては、筆者も、ノホホンとしておれません。 
 投票まで約3週間、1962年1月1日生まれの新大統領誕生を願いつつ、遠い日本で一喜一憂することになりそうです。 
 
 
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年11月19日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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