2019年12月26日15時13分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領に再選  平田伊都子

 2019年12月19日から23日まで、西サハラ解放区にあるテイファリティで、第15回西サハラ民族大会が行われました。 主催はポリサリオ戦線、西サハラ独立運動の指導組織です。 ポリサリオ戦線はSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)の母体です。 従って、ポリサリオ戦線のリーダーはSADR の大統領でもあります。 
 主催者の発表で、約2,000人の西サハラ人と約400人の外国人招待客が、簡易集会場に集まりました。 砂漠の中継点だったテイファリティという町は、1970年代にモロッコの空爆で廃墟になりました。 1991年に国連西サハラ人民投票の投票場所に設定されてから、ポリサリオ戦線西サハラ難民政府はテイファリティの復興を始めました。 
 
(1)モロッコが西サハラ民族大会をスパイ: 
 12月20日、MWNモロッコ世界ニュースが、「12月20日から23日にかけて、西サハラ国連緩衝地帯であるテイファリティで、ポリサリオ戦線が第15回大会を開いたが、この行為は明らかに1991年の国連停戦合意と国連安保理決議2414と2440と2494に違反する。合意と決議は、国連緩衝地帯への侵入を禁じている」と、勝手に緩衝地帯を捏造して、第15回西サハラ民族大会を誹謗中傷し始めた。1991年に合意した国連緩衝地帯とは、モロッコが作った全長2,500kmの地雷防御壁<砂の壁>に沿った数キロ巾の帯を指す。テイファリティは地雷防御壁<砂の壁>から遠く離れた、西サハラ解放区にあり、ここにはミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の基地もある。ミヌルソMINURSOは、その国連PKO基地を、<砂の壁>の西側モロッコ占領地・西サハラに五か所、<砂の壁>の東側ポリサリオ解放区に五か所設置している。モロッコはそれを十分認識していて、国連緩衝地帯を<砂の壁>の東側ポリサリオ解放区全域にまで広げようとしている。つまり、モロッコは西サハラ全域を自分のものにしようと企んでいるのだ。 
 さらにMWNは民族大会をスパイした画像入りで、「モロッコは、ポリサリオ大会に参加した二人の国連PKOミヌルソMINURSO制服組に関して、緊急説明を求める」と、国連に詰め寄った。 
 
(2)国連定例記者会見でモロッコの非難を取り上げたが、、: 
 12月23日朝の国連事務総長報道官定例記者会見でステファン報道官が、「西サハラ情勢に関して朝早く受けた質問に、お答えする。第15回ポリサリオ戦線大会が西サハラのテイファリティで、12月19日から開催されている。19日に、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)のテイファリテイ基地に所属する二人の制服組が、大会会場を訪れた。彼らは開会式に参加した後、基地に戻った。彼らの短い第15回ポリサリオ戦線大会参加は、国連PKOミヌルソMINURSOの通常任務であり、なんら政治的意図をもったものではない。(モロッコ指摘するような)一方に加担するという行為ではない」と、モロッコの抗議は採用したが、当たり障りのない返答をした。元々、モロッコよりのフランス人報道官ステファンだが、さすがに、<テイファリティは国連緩衝地帯>と言わせようとしたモロッコ国連代表部の落とし穴にははまらなかった。しかし、「私は植民地時代というフランス暗黒史を知らない世代だ」と嘯くマクロン・フランス大統領やその大統領にCOPで借り作った国連事務総長ともども、ステファン国連事務総長報道官は西サハラをモロッコの植民地にしようと企んでいるようだ。 
 
(3)ブラヒム・ガリが西サハラ難民大統領に再選される: 
 12月24日の朝、前日23日の大統領選挙結果をブラヒム・モフタール選挙委員会議長が、「86.10%の支持票で、ブラヒム・ガリが大統領に再選された」と、発表した。そしてブラヒム・ガリ新大統領は、ポリサリオ戦線事務総長にも再選された。これからの4年間を、ブラヒム・ガリ大統領兼事務総長の下に独立運動を続けることになった。その日の夕刻、第15回ポリサリオ戦線西サハラ民族大会は、モロッコによる執拗な和平交渉妨害を避け、西サハラ人民が合法的に独立の権利を勝ち取る方策を、新たに検証していこうと結論を出した。そのうえでブラヒム・ガリ新西サハラ難民大統領は、「<AU・UN西サハラ和平交渉>の共同主催者であるAUアフリカ連合に対して、その正式加盟国である我々はさらなる努力と必要な行動を速やかに取るよう、強く要望する。そして、モロッコ王国がAUアフリカ連合憲章を尊重し、AUアフリカ連合の<アフリカ大陸から植民地を失くそう>という基本理念を遵守者て、西サハラから撤退する事を求める」と、宣言した。 
 第15回ポリサリオ戦線西サハラ民族大会に大代表団を送ったアルジェリアは、改めて<アフリカ最後の植民地・西サハラ>は、国連にその責任がある脱植民地化問題だと、強調した。 
 
12月24日、2019年最後の記者会見に豆電飾に赤いパンツで登場したステファン・デュジャリック国連事務総長報道官は「2019年は希望の年」と、嘯きました。 
 「2019年は失望の年」と、西サハラの難民と被占領民は叫びました。 
 
 2020年が西サハラの人びとにとって「希望の年」になりますように、、 
 
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2019年12月26日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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