2020年01月21日17時32分掲載  無料記事
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沖縄/日米安保

辺野古新基地建設の現状〜第二東京弁護士会がシンポジウムを開催

翁長雄志前沖縄県知事が逝去してから約1年半が経とうとしている。翁長氏は生前、「オール沖縄」の象徴として辺野古新基地建設の阻止に尽力してきた人物だ。現在、日本全国にある米軍基地の約70%が沖縄県に集中していると言われ、日頃から米軍機による騒音や墜落事故、さらには米軍人による性的暴行事件など、さまざまな問題が発生しており、県民からは抗議の声が絶えない状況だ。ところが、日本政府は一貫して、基地建設を推進する姿勢を崩さず、沖縄県民の言葉に耳を傾けようとしない。 
 
このような中、1月17日、第二東京弁護士会の特別委員会である「憲法問題検討委員会」が弁護士会館において、シンポジウム「辺野古は今!〜沖縄辺野古基地建設問題の現状と法律問題」を開催した。会場には100名を超える市民が参集し、専門家らの講演に熱心に耳を傾けた。 
同シンポでは、辺野古海上で抗議活動を行うカヌー抗議船責任船長の金井創氏が、海上保安官による規制の現状について、「安倍政権になって以降、海上保安官の態度が変わり、工事を進める側のガードマンのようになった。工事エリアに近づくことは許されず、職務を超えて暴力を楽しんでいるような隊員もいて、多くの怪我人もでた。しかし、この暴力がメディアなどで問題視されたこととあって、2017年頃から規制が穏やかになり、暴力的な隊員も減り、とても丁寧になった」と語った。続けて、過酷な海上での活動について、「お互いに怪我をしないことを大切にしている。海は死に直結することを何度も思い知らされてきた。船長の役割は誰も怪我をしないよう、死なせないよう最大限に気遣うことだ」と述べた。 
 
専修大法学部教授も務める白藤博行弁護士は、辺野古新基地建設に関する数々の訴訟について触れながら、「辺野古の裁判は負け続けているが、我々が理論的に負けている訳ではなく、色々な仕組みの中で無理やり国が勝訴となっただけ」と解説する。また今後、国は軟弱地盤の問題に対処するため地盤改良工事を行う必要があり、工事には玉城デニー沖縄県知事の承認が必要となるが、玉城知事はすでに承認しない方針を示している。これについて白藤氏は「この変更承認に対して、沖縄県がどのように対応するかが最後の局面になる」と語った。 
 
このほか、内田雅敏弁護士は参加者らに辺野古の現状を分かりやすく伝えるため、キャンプシュワブ周辺での座り込み行動や集会の様子を収めた写真や動画を紹介しながら、「辺野古の問題は実に厳しい状況ではあるが、歌を歌ったりして、ある意味楽しく(抗議行動を)やっている。楽しくやらなければ運動は続かない」と意気込んだ。 
 
辺野古新基地建設をめぐる問題については、5月29日に告示される沖縄県議会議員選挙(6月7日投開票)でも争点になることは必至である。金井氏がシンポジウムの中で訴えたように、多くの人がこの問題に目を向け、さらにその想いを繋ぎ、各々の場所で声を上げることが何よりも重要である。 


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