2020年02月03日15時07分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202002031507471

国際

香港で公共医療労働者が3日朝からはストライキに突入 香港政府に厳重な防護措置を要求

 今朝現地時間の9時から、香港の公共医療労働者らがストに入っています。香港でのコロナウィルス対策について、反送中運動のなかで組織された新しい労働組合、醫管局員工陣線が、2月2日、臨時大会を開催し、香港政府がさらなる防護措置を取らなければ、明日2月3日から5日間のストに突入するというスト決議を圧倒的多数(投票3164、賛成3123、反対10、棄権23)で採択しました。それを受けて3日朝からストライキに入りました。(ATTC首都圏メールニュース 稲垣豊) 
 
 
 香港でのコロナウィルス対策について、反送中運動のなかで組織された新しい労働組合、醫管局員工陣線が、昨日臨時大会を開催し、香港政府がさらなる防護措置を取らなければ、明日2月3日から5日間のストに突入するというスト決議を圧倒的多数(投票3164、賛成3123、反対10、棄権23)で採択しました。 
 
香港独立媒体の報道と写真 
https://www.inmediahk.net/node/1070393 
 
公的医療機関を管理する香港政府の医院管理局の職員らで組織する醫管局員工陣線Hospital 
Authority Employees Alliance(facebookページはhttps://bit.ly/381goIB)は、反送中運動のなかで組織された新しい公務員労働組合です。約8万人の公共医療関係の職員のうち1万人ほどが参加していると言われています(未確認)。 
 
 臨時大会が開かれた昨日、コロナウィルスの脅威にもかかわらず4000名近い組合員が投票のために列をつくって投票し、スト決議を支援するために、他の労働組合や民主派議員らも香港各地で応援の辻立ち演説や投票結果の開票のウェブ中継の街頭鑑賞会などで醫管局員工陣線のストを応援しました。 
 
以下、昨日の臨時大会後に出された声明を超訳しました。原文(https://bit.ly/2Okp18Z)は中英文です。 
 
 伝統的な民主派の労働組合、香港職工会聯盟(HKCTU)傘下の医院管理局職工総会も、組合としてストには入らないが、個別の組合員がストに参加した場合は積極的に支援を行い、当局からの妨害があればそれに抵抗する旨の声明(https://bit.ly/3b3JTeI)を出しています。 
 
 香港では反送中運動のなかで、これまでもなんどかストがうたれてきましたが、組織的でなかったり(三罷)、当局からの報復にあったり(航空労組)など、厳しい局面が続いてきましたが、当初情報を隠した中国政府を忖度した香港政府の対応に対する民衆の不満を背景に、組織的なストが行われようとしています。 
 
 公共病院の職員らは、反送中運動でも病院で昼休み集会やスタンディングなどをして運動を支援してきたこともあり、当局にとっては獅子身中の虫でした。報復も予想されます。注目を。 
 
============= 
 
声明●公共医療労働者はストライキで疫病に抗する 
 
醫管局員工陣線(HAEA)の声明 
 
醫管局員工陣線(公的医療機関を管理する香港政府の医院管理局の職員らで組織する新労組Hospital Authority Employees Alliance 、以下HAEA)は今日開かれた第二回臨時組合員大会を無事終了した。大会では組合員3164人が投票し、3123票がスト動議に賛成し、動議は採択された。現時点までに9000人以上の組合員がストライキ宣言に署名をし、5日間の医療業界ストに、ともに行動に参加することを約束している。組合執行委員会から組合員のみなさんに感謝もうしあげる。 
 
組合がストライキという手段をとるに至ったのは迫られてのことである。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が「緊急事態指導委員会・指揮センター」を統括しており、連日記者会見を開き最新の予防措置を発表している。しかし、いわゆる香港への出入りの「制限」、休校、医学観察、予防物資の調達など、いずれも対処療法であり、結局は対応できないだろう。全世界で中国からの入国を制限し始めているが、香港政府はいまだに「入り口は常時開いている」状態を続けている。医療にかかるリソースや物資や人手などは(すでに不足しつつあるが)、このまま途絶えることなく香港にやってくる人々によって使い尽くされてしまうだろう。組合ではこのような理由から、様々なルートで中国から香港に入る状態を放置したままでは、どのような防護措置をとったとしても効果は発揮できないと考える。 
 
組合は2月2日に医院管理局との交渉において、当局が「緊急事態指導委員会・指揮センター」の本部長である林鄭月娥を交渉の場に招き、ともに交渉に加わるよう要求する。組合では要求項目への曖昧な回答ではなう、責任ある人間に直接伝えて回答をもらいたいと考えている。 
 
本日の特別組合員大会では以下の五つの要求が採択された。 
 
医院管理局は以下の2点について香港政府として声明を発表するよう尽力してほしい。 
 
一.中国からの旅行者の入境の禁止 
二.十分なマスクの量の確保の約束 
 
医院管理局に対して職員の労働安全衛生について以下を求める。 
 
三.十分な数の隔離病棟を確保し、当面は緊急以外の医療サービスを停止すること 
四.病人を看護するための十分な人手と円滑な支援 
五.事後弾圧をしないと約束すること 
 
組合では以上の5つの要求について交渉を持ちたいと考えている。2月2日の交渉が受け入れられない場合は、5日間のストライキを行う。以下、スト計画を示す。 
 
【ストライキ計画】 
 
ストライキは2月3日からの5日間で二段階に分けて行う。 
 
最初の段階では、医院管理局の緊急でない業務についてストライキを行う。2月3日は悪天候対応の配置スタッフ、8号熱帯低気圧警報において勤務が免除されるスタッフ(外来部門の職員および事務職員)によるストライキである。他の部門は各部署における悪天候時の当直体制(いわゆる台風班)体制を取る。つまり2月3日に8号台風警報が出されたという想定での出勤体制である。台風時に出勤しなくてもいい職員の組合員がストライキを決行する。もし2月3日21時までに5つの要求に対する具体的で納得いく回答が得られない場合、ストは第二段階に突入する。 
 
第二段階の動員では緊急サービスを除くすべての部署の組合員全員がストに突入する。この期間は四日間である。もし医院管理局が2月7日23時59分までに5つの要求を無視するのであれば、さらなる闘争に入る可能性がある。 
 
醫管局員工陣線 
2020年2月1日 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。