2020年02月25日12時59分掲載  無料記事
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国際

サンダース候補の外交政策を報じたワシントンポスト 共和党や民主党ライバルたちはサンダース像をゆがめている

  米国の大手放送局、CBSが「60ミニッツ」でバーニー・サンダース候補にインタビューしていましたが、そこで台湾に中国が侵攻したら介入する、と米外交政策を論じていました。このことは香港の民主化運動を行っているデモシストがツイッターで興味深く、記していた事でもあります。外交政策が報道で取り上げられる、ということは米報道機関から民主党の大統領候補になる現実性を高く見られていると言うことでしょう。 
 
  ワシントンポストでも論説委員のJackson Diehl氏が「 The Sanders foreign policy you don’t know about」(あなたの知らないサンダースの外交政策)というタイトルでサンダース候補の外交政策について記しています。Diehl氏は共和党や民主党ライバル陣営がサンダース候補になったら、もう一つのベネズエラになる、もう1つのキューバになる、などと言っているのは当たっていない、としています。むしろ、トランプ大統領よりも基本的には民主主義の擁護者であるだろう、として過去のサンダース氏の言動を振り返っています。 
 
”It’s nevertheless hard not to recoil from some of the hyperbole being heaped on the Vermont senator and his platform. According to both Trump and some Democrats, Sanders would transform the United States into a jumbo-sized version of Venezuela or Cuba while doubling down on Trump’s abandonment of U.S. leadership around the world.” 
 
(それにも関わらず、バーモント州の上院議員(※サンダース候補)とその政策に対して山のように投げかけられたある種の誇張にはついていくのは難しい。トランプ大統領も民主党のある種の人々も、サンダース大統領になったらアメリカは巨大なベネズエラやキューバになるだろうと語っているのだが、その一方で彼らは世界中で米国が指導者であることを放棄するトランプ大統領に倍賭けしているのだ) 
 
  この記事が興味深いのは、サンダース候補をトランプ大統領は「共産主義者」と評していますが、実際にはソ連などの権威主義国家には手厳しい姿勢を昔から持っている、ということです。そこが常にサンダース氏が自己を「社会主義者」と言わず、「民主社会主義者」であると言っている由縁でしょう。そしてDiehl氏はサンダース氏は米国の軍事介入には強く反対であるけれども、民主主義支援には惜しまず、権威主義政権や独裁政権に対して厳しい姿勢を持っているとしています。 
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/the-sanders-foreign-policy-you-dont-know-about/2020/02/16/aa777f6c-4e7b-11ea-b721-9f4cdc90bc1c_story.html 
  ワシントンポストの記事で注目されるのは、サンダース氏は過去米国が行ったニカラグアやチリに反共的独裁者を据えるための軍事介入に手厳しく反対してきたことです。ただし、米国のシリアからの撤退には反対していたとも綴っています。世界の権威主義的政権に対して、サンダース候補は一線を画する厳しい姿勢を持っているようです。このことはキッシンジャー外交を踏襲し独裁政権に寛容なトランプ大統領と異なり、安倍政権には逆風になるでしょう。独裁政権は米国の安全を損なう、と過去にサンダース氏は英国で演説しています(※)。だから、その政府とではなく、その民衆と連帯する、と。 
 
 
 
※Bernie Sanders's big foreign policy speech(Vox) 
https://www.vox.com/world/2017/9/21/16345600/bernie-sanders-full-text-transcript-foreign-policy-speech-westminster 
 ”What foreign policy also means is that if we are going to expound the virtues of democracy and justice abroad, and be taken seriously, we need to practice those values here at home. That means continuing the struggle to end racism, sexism, xenophobia and homophobia here in the United States and making it clear that when people in America march on our streets as neo-nazis or white supremacists, we have no ambiguity in condemning everything they stand for. There are no two sides on that issue.” 
(演説で示されたサンダー氏の見解の一部はレイシストや排外主義者と親和性の高い安倍政権の姿勢と真逆でしょう) 
 
 ”Well, I will. Today I say to Mr. Putin: we will not allow you to undermine American democracy or democracies around the world. In fact, our goal is to not only strengthen American democracy, but to work in solidarity with supporters of democracy around the globe, including in Russia. In the struggle of democracy versus authoritarianism, we intend to win.” 
 (米国内のみならず、ロシアを含めた世界の権威主義的政権とも闘う姿勢を示す) 


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