2020年03月01日14時39分掲載  無料記事
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コラム

反民主主義的な政治をしてきた安倍首相を擁護してきた企業、メディアのネットランキングを

  安倍首相退陣が日増しにリアリティを増す中で、7年間にわたる反民主主義的な安倍政権を支えてきた責任者を「見える化」して、責任を取らせる必要がある、と考える人が出てきました。新聞社および放送局の安倍首相親密度ランキング。そして金融機関から製造業まで安倍首相を支援してきた企業のランキング。順位の高い企業に対して、私たちは怒りを感じてもおかしくありません。 
 
  ちなみに筆者の主要紙に関する安倍政権貢献度ランキングは以下。 
 
産経新聞 10点 
読売新聞 10点 
日経新聞 8点 
朝日新聞 7点 
毎日新聞 5点 
東京新聞 3点 
 
  新聞社の収入は読者からの売り上げと企業の広告の2本柱ですから、読者が減少すれば企業広告の重要性が増します。日本新聞協会によると新聞社の収入に占める新聞販売の売り上げは約50%にとどまり、広告費が20%近くも占めています。スポンサー企業やスポンサーの官公庁、スポンサーの政党に都合の悪いことは書けなくなります。新聞が大手であればあるほど経営を維持するのは困難です。毎日新聞が比較的、安倍政権と距離を保てるのは読売や朝日のような大手紙ではなく、昔から経営難をたびたび経てすでに規模や年収が縮小していることがあります。産経新聞の場合は規模は小さいけれども、産業界寄りのイデオロギー紙として、冷戦時代のイデオロギー闘争を今もしている新聞と考えた方がよいでしょう。どの社であれ、スポンサーの意に反する記事を出すのは難しいですよね。 
 
反民主主義的と言う言葉を使った理由は以下。 
 
・国会軽視(空疎な答弁 重要法案に審議の不足) 
・憲法や法律解釈の一夜にしての恣意的な変更 
・選挙戦で語らなかった重大政策の推進 
・公文書の改竄や廃棄 
・シナリオありきの不毛な記者会見 
・国有財産などの疑わしい処分 
など 
 
  未だ漠然としていますが、多くの人の投票で数値化していけば、もっと様々な企業についても数値化できるでしょう。以下は、安倍政権貢献企業をリストアップするのに参考になる情報群の一部です。 
 
※自民 企業献金、7年連続増加 18年24億円(東京新聞) 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019113002000142.html 
「国政協(※自民党への献金の受け皿となる政治資金団体:国民政治協会)への企業・団体献金で、最も多かったのは日本自動車工業会の八千四十万円。日本鉄鋼連盟八千万円、日本電機工業会七千七百万円、トヨタ自動車六千四百四十万円と続いた。年間二千万円を超える寄付をした企業・団体は二十三に上り、安倍政権を支援する主要業界団体や大手企業の姿勢が改めて浮き彫りとなった。通算在職日数で憲政史上一位となった安倍晋三首相を支え続けた形だ。」 
 
 1990年代に選挙制度改革(政治改革四法)が行われた時、見返りを期待する政治献金の問題を解決すると言われていた記憶がありますが、ふたを開けてみると、1年間に24億円も自民党に企業献金が注ぎ込んでいました。自民党の国会議員約400人で均等に割ったとしたら、一人当たり600万円になります。献金した企業への見返りはなかったと信じたいですが。仮に4年に1度選挙があると仮定したら2400万円、6年に一度なら3600万円の選挙費用の上増しになるのです。さらに政党交付金がつくわけです。 
 
※トヨタ、次世代“JPN TAXI”(ジャパンタクシー)を発売|2020東京オリンピックに向け、日本人の“おもてなしの心”をデザイン 
https://autoc-one.jp/toyota/launch-5000502/ 
「東京都は東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にあわせ、環境性能が高く、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインのタクシー車両の普及促進を図るために行う「次世代タクシーの普及促進事業」を行なっており、1台当たり60万円の補助金を出している。」 
 
  自民党へ大口の献金をしているトヨタ自動車の新型タクシー車種は東京五輪で補助金を潤沢に得ていました。東京五輪でも最も華やかな場所でその存在をTVで世界中にPRできるようです。もちろん、だから見返りのある献金を行っていると決めつけることはできません。トヨタ自動車は、国際オリンピック委員会との間で東京オリンピックを含む2024年までのIOC「TOP(The Olympic Partner)パートナー」契約を締結しているのです。 
 
※トヨタ、東京2020オリンピック聖火リレーの隊列車両「TOYOTA Concept-愛i」公開 
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1203042.html 
「東京2020専用仕様のe-Paletteは、選手村に十数台が導入されて自動運転(SAEレベル4相当)による運行を予定。TOYOTA Concept-愛iは、オリンピック聖火リレーの隊列車両やマラソン競技などの先導車として数台を導入して、東京2020大会を盛り上げる予定。」 
 
 トヨタ自動車は東京五輪で環境負荷の低い電動車や多様な車種を式典や運営に投入し、世界にブランドをアピールしたいようです。 
 
 
※自民の企業・団体献金24億円 
第2次安倍政権発足後最多 
政治資金収支報告 (赤旗) 
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-30/2019113004_02_1.html 
「1000万円以上の大口献金は前年比1減の66社で、報告書で名前が公表される5万円以上の献金企業・団体は1257社です。」 
 
※自民政治資金団体への献金、建設業界がトップ 傾向分析(朝日) 
https://www.asahi.com/articles/ASMD64TRBMD6UTFK00P.html 
「朝日新聞の集計によると、業界別の献金額で建設業界が自動車業界を抜いて、トップに立った。安倍政権の国土強靱(きょうじん)化政策が建設業者の積極献金を呼び込んでいるとみられる。」 
 
 国土強靭化政策は様々な分野の産業が絡んでおり、地域も全国に渡ります。つまり、巨額の公共事業の香りがそこには漂っています。これが2013年にアベノミクスとほぼ並んで安倍政権から打ち出されたのです。その結果、建設業界の並々ならぬ献金が行われたようです。 
「国土強靱化の推進方針(第3章)〜施策分野ごとの推進方針〜 
(例) 【住宅・都市分野】 ・密集市街地の火災対策等 
【エネルギー分野】 ・地域間の相互融通能力の強化等 
【情報通信分野】 ・長期電力供給停止等に対する対策の早期実施等 
【産業構造分野】 ・企業連携型BCP/BCMの構築促進等 
【交通・物流分野】 ・交通・物流施設の耐災害性の向上等」 
(政府広報資料から) 
 
 
※潤うゼネコン 自民に税還流 (赤旗) 
献金2割増 大型事業ラッシュ 17年の政治資金 
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-03/2018120315_01_1.html 
「大手ゼネコンの大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社が、2017年に自民党への献金をそれぞれ1600万円から1800万円へと上積みしていたことが、11月30日公表の政治資金収支報告書で分かりました。一般社団法人「日本建設業連合会」(日建連)は本紙の取材に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)から献金の依頼を受けゼネコン各社に要請したことを認めました。」 
 
  見返りを求めない資金を民間企業が一政党に投じると言うのは、会社法的に合法なのでしょうか? 
 
 
※東京五輪工事受注ゼネコン 
12社に都幹部OB天下り 
2件は落札率99% 「談合」疑う声も (赤旗) 
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-19/2016031915_01_1.html 
「本紙は、東京都総務局が公表した幹部職員の再就職者名簿(都庁人材バンク)と複数の都OB名簿(いずれも10〜15年)に基づいて、企業への天下り状況を調査しました。 
 その結果、今回の五輪施設工事を受注した3件のJVに参加する建設会社14社のうち、12社が都OB45人(表)を受け入れていたことが判明。このうち局長級は3割の14人いました。都を退職後、外郭団体などを渡り歩いたあとに、再々就職した人もいます。」 
 
  東京五輪を前にした自民党、自動車業界、建設業界、東京都の沸騰ぶりが目に見えるようです。NHKも東京五輪番組に惜しみなく制作資金をつぎ込んでいると言われています。いわば、もう1つの「桜を見る会」でしょう。 
 
  そもそもアベノミクスの始まった2013年に自民党がゼネコンの業界団体に政治資金の献金を請求していたことが赤旗ですっぱ抜かれていました。 
 
※自民が4.7億円献金請求 
日建連にアベノミクス推進掲げ 
「赤旗」日曜版 文書を入手  (赤旗) 
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-04/2013070401_02_1.html 
「国政協文書は、「自由民主党は、…『強(きょう)靭(じん)な国土』の建設へと全力で立ち向かって」いると強調。その「政策遂行を支援するため」として、「一、金 四億七千壱百萬円也」(4億7100万円)と数字も示して献金請求しています。 
 自民党の国土強靭化計画は、高速道路など大型公共事業に10年間で200兆円を投資するもの。その具体化は、アベノミクスの「機動的な財政政策」でもおこなわれています。」 
 
  建設業界の人々は10年間で200兆円の公共投資と聞いて、理性を失ってしまったのかもしれません。「見返りのない政治献金」とやらはどこへ行ったんでしょうか。 
 
  自民党の選挙での勝利のエンジンの1つがアベノミクスであり、もう1つが東京五輪です。これによって政治資金を得て、業界の支持を得ていたことがわかります。アベノミクスと東京五輪の公共投資で産業界を沸かせ、企業献金をさらに積み増す。そして、献金額も年々増していったのです。これが安倍政権と自民党の成長のからくりです。マスメディアはアベノミクスや東京五輪を大きく報道することで、そこに利潤を得る企業群や官庁がらみのイベントなどからの広告費をあてにすることができたのです。安倍政権に好意的な報道の結果、自民党は選挙で勝ち続けることが可能になりました。これは大半がメディアのおかげです。メディアが普通に記事を書いていたら、アベノミクスの結果が出ず、スキャンダルが続いた2014年秋に安倍政権は終わっていたはずです。安倍政権を長く続けさせたものはマスメディアです。なぜなら、マスメディアの社員が飯が食えるスキームを安倍政権は与えてくれたから。安倍政権のアベノミクス=企業献金=提灯記事というサイクルを切らなくては、新しい時代は訪れることがありません。安倍政権はしばしばIQの低い人々が支持していると言われますが、こうした情報を見る限り、おそらくは学歴も高く、年収も多い、日本のエスタブリッシュメントと呼ばれる人々がしっかりと支えていることがわかります。 
 
※新聞「部数も広告収入も激減」の苦境…税金頼みの危うい実態 
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65899?page=2 
 
 
 
南田望洋 


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