2020年03月03日14時04分掲載  無料記事
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政治

米民主党予備選 ブタジェッジ、クロブシャーなどの候補がバイデン候補側に回って離脱 民主党幹部らがサンダースつぶしで結束を促しているとの報道

  米民主党予備選も佳境にさしかかり、初戦で苦戦していたジョー・バイデン前副大統領がサウスカロライナ州での勝利をきっかけにトップを走っているバーニー・サンダース候補に対して反転攻勢に出た。ポリティコ誌によると、これを転機にとバーニー・サンダース候補に敵意を抱いているとされる民主党幹部たちは中道派の候補たちに選挙戦からの離脱を迫り、バイデン候補への一本化を促そうと試みているという。すでにブタジェッジ候補、そしてクロブシャー候補らが選挙戦から離脱し、バイデン候補支持に加わるとされる。 
 
  3月3日のスーパーチューズデイと呼ばれる、全米50州のうち14州と1地域での一斉投票を前に形成を逆転する動きだ。この中にはカリフォルニア州やテキサス州などの代議員(delegate)を多数勝ち取れる大口の州が含まれる。ワシントンポストによれば、代議員の総数は3979であり、このうち1991を取れば勝てる(注 1990でも過半数のように思えるが)。スーパーチューズデイでの代議員の総数は1357。この日はだから重い。興味深いのはバイデン氏の台頭と裏腹に、これまでサンダース候補への強力な対抗馬として騒がれてきたブルームバーグ氏の話が急速に萎んでしまったことだ。女性へのハラスメントなど、討論会での印象が悪かったブルームバーグ氏では勝てないと民主党幹部から見切りをつけられたのかもしれない。 
 
  だが、仮にバイデン候補が民主党候補となったとしても、これまでの世論調査ではバイデン対トランプではトランプ勝利の予測結果が複数出ている。バイデン候補が大統領になるためには風が必要だが、サンダース候補のような風を未だ起こしているとは言えないだろう。 
 
  この大統領選の背後にはサンダース候補を押す左派の民主的社会主義路線と民主党中道派の間で、民主党内の勢力争いが起きている事情が潜在している。民主党内の勢力を維持できるなら、1回の大統領選くらい負け増しても価値があると民主党幹部たちは考えているのではあるまいか。さすがに今回敗れればサンダース候補は2024年は82歳になっており、出馬できないと見ているだろうからだ。というのはもし本当にジョー・バイデン候補がそれほどのパワーがある候補なら2016年にヒラリー・クリントン氏ではなく、むしろバイデン氏が立候補すべきだったからだ。ところが、なぜかバイデン氏は〜息子の死があったにしても〜2016年の選挙戦には参戦せずフェイドアウトしてしまったのである(※)。2015年10月にバイデン氏は妻と、オバマ大統領とともに大統領選には出馬しない記者発表を行った。 
 
 
※Joe Biden on 2016 decision: 'I regret it every day'(CNN) 
https://edition.cnn.com/2016/01/06/politics/joe-biden-regrets-not-running-for-president/index.html 
 
※ワシントンポスト「スーパーチューズデイとは?なぜ重要か?」 
https://www.washingtonpost.com/politics/2020/02/19/what-is-super-tuesday/?arc404=true 
 今回のスーパーチューズデイについてわかりやすく解説。 
 
 
■「Democratic Debacle 民主党の敗北」The defeat of Hillary Clinton was a consequence of a political crisis with roots extending back to 1964. ヒラリー・クリントンの敗北の根っこは1964年に遡る ジェローム・カラベル(社会学) 
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