2020年04月11日23時54分掲載  無料記事
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イスラエル/パレスチナ

新型コロナウイルス、イスラエルとパレスチナを同時攻撃

 イスラエルでも新型コロナ肺炎がまん延、それはパレスチナ西岸地域にも波及、緊急事態を招いている。4月11日の『MiddleEast Monitor』はイスラエルでのコロナウイルスの感染症例数は1万人を超え、95人が死亡したと伝えた。イスラエル政府は、ウイルスの蔓延を食い止めるために、すべての教育機関を閉鎖したり、公開または非公開の公共エリアで10人以上の集会を禁止したりするなど、いくつかの措置を講じている。隣接するパレスチナ自治区西岸地区でも感染者が増えており、特に古都ベツレヘムは深刻な状態に陥っている。(大野和興) 
 
 
 日本の国際協力NGO、PARCIC(パルシック)の現地事務所からの報告によると、パレスチナ政府は30日間の緊急事態宣言を発令し、小中高等学校、大学の休校、ベツレヘム地域の入り口の閉鎖、またとりわけ行政区間の移動を最小限に抑えるよう国民に命じた。ベツレヘムには難民キャンプがある。パルシック現地事務所は、ドヘイシャ難民キャンプに住むジャーナリスト、イフラス・アブゼルに話として次のように伝えている。 
 
「ベツレヘムの封鎖が始まった頃、キャンプ内の人びとのコミットメントは高くなく、みな状況を軽く見ていました。しかしその後、結婚式の延期、スーパーマーケットやパン屋を除く商店の閉鎖、人びとの移動は極度の必要性がある場合のみに制限されるなど、生活のさまざまな活動が規制されました。多くても2部屋以下の場所で家族全員が暮らすような狭小住宅がほとんどのキャンプで、隔離は不可能といっても過言ではありません」 
https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_west_bank/voice_west_bank/16610/ 
 
 こうした事態を受けてパレスチナ政府は30日間の緊急事態宣言を発令し、小中高等学校、大学の休校、ベツレヘム地域の入り口の閉鎖、行政区間の移動を最小限に抑えるよう国民に命じた。しかし感染は止まらずトゥルカレム、ラマッラー、ジェリコ、ナブルスでも新しい患者が確認された。 
 
 患者のほとんどは海外からの帰国者や、イスラエルへの出稼ぎ労働者だった。患者数が32人に達したとき、パレスチナ政府は制限の輪をカフェ、レストラン、ジム、式場、モスクや教会などの宗教施設などすべての公共施設に拡大。同時に、イスラエルへ出稼ぎに行っているパレスチナ人労働者に対しては、少なくとも2か月間の西岸地区への帰省を自粛、行政区間の移動にもさらなる制限をかけた。 
 イスラエルでも3月15日以降、スーパーマーケット、薬局、ガソリンスタンド、銀行を除くすべての事業が閉鎖されている。首都テルアビブでは、イスラエル居住者以外の外国人の入国を禁止している。 


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