2020年04月15日22時20分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202004152220573

欧州

コロナウィルスによる生活の変化〜チャオ!イタリア通信

 3月11日から始まった移動制限措置により、イタリア国民の生活が一変しました。この時点で、すでに学校関係は閉鎖されていましたので、日常生活における大きな移動は仕事に関わることのみとなっていましたが、3月20日には、食料品や薬品関係など生活必需品以外の生産活動も停止となり、ほとんどの人が家にいなくてはいけないことになりました。 
 
 わが町も、車がちらほら、歩く人もほとんどいないという状況です。まず、学校関係ですが、幼稚園から大学まで公立も私立も含めすべて休校になっています。我が家の子どもは地元の公立幼稚園年長クラスですが、3月5日から閉鎖され、それ以降はクラスの先生からビデオや写真などで生徒たちへのメッセージや課題が送られてきます。幼稚園なので、課題をするかどうかは各家庭に任されていますが、今年9月から小学校に入学なので、その点を心配する父兄もいます。本来なら、5月ごろからアルファベットの読みなどの小学校へ入学する準備や英語の授業もあったはずなのですが・・・。 
 小学校、中学校、高校や大学レベルでは、オンラインで先生から宿題が送られているとのことです。宿題の量は、各学校や各担任によって違いがあるようですが。私は、午前は幼稚園から送られてくる課題をする時間、午後は自由時間や30分ほど日本語に触れる時間、簡単な運動の時間を設けるようにしています。むかし夏休みに1日の予定表を作ったことを思い出したのですが、そんな感じで1日何をするのかを予め決めて、子どもたちにも時間のリズムをつけないと、1日がダラダラと流れて行ってしまいます。子どものクラスの様子を見ていると、課題をきちんとする家庭とそうでない家庭でかなりはっきり分かれています。家で仕事をする父兄もいるようで、子どもの面倒を見られないと嘆いている父兄もいます。小学2年生の子供を持つ知り合いのお母さんは、子供が宿題をするのに時間がとてもかかると困っていました。我が家もそうですが、先生やクラスメートもいなく、環境も違う家庭で宿題や課題をやるのは子どもも大変ですし、やらせる側の親も一苦労です。 
 ちなみに、私はフィレンツェにある日本語教室で子どもたち(日本人の子どもや日本人とイタリア人夫婦の子ども)に日本語を教えています。私たちの教室も今はお休みで、一週間に一度子どもたちにメッセージや課題をメールで送っています。また、家ではイタリア人に日本語のレッスンをしていますが、それもスカイプで行うようになりました。ただ、つくづく思うのはインターネットがあるおかげで、こうした仕事が続けられるということです。 
 
 買い物は一家で一名という規則があります。どこのお店も店内でお客さんが一定の距離を保つようにと、入口に注意書が貼られています。スーパーなどの大勢の人が来るところは、入口に店員がいて店内のお客さんの人数を見ながら、お店に入る指示を出しています。また、手袋を持ってない人には手袋も配ってくれます。小さなお店などは、自主的にお客さんがお店の外で待っていて、出てくる人を見て入っています。こういう状況なので、買い物するにも1時間以上かかることになります。「卵がないから、ちょっとスーパー行ってくる」という気軽な感覚がなくなったので、買い物に行くときは必ずリストを書いて、数日分の買い物をしています。それも、買い物の時間が長くなる原因ですが。スーパーが閉店する19時半以降になると、人が少ないためすぐにお店に入れるのですが、品物がなくなっていたりします。生産する方も時間を制限して働いていると思うので、いつもと同じ量は生産していないことがわかります。先週、スーパーに行った時には、レジに薄い透明の板がついていました。(2週間前に行った時はなかったです。)こちらでは、レジ店員とお客さんが顔なじみでお喋りすることが多いのですが、店員とお客さんの間に板をつけて、感染を防ぐ対策をしています。 
 小売店などは、配達方式をとっているところもあります。八百屋やお肉屋さん、パン屋さんはお店を開けていますが、我が家の下にあるジェラート屋や文房具店はお店を開けずに、注文を受けて商品を配達しています。また、オンラインで商品を販売しているお店も、注文さえ受けられれば配達が可能なので、一輪車を販売している友人はそのようにして仕事を続けています。彼はフィレンツェにお店を持っているのですが、お店を開けられないので店内で仕事をしています。 
 
 医療関係では、いつもはホームドクターの診療所に直接行って順番を待つという方式でしたが、今は電話で予約してから行くようになっています。我が家には猫が一匹いますが、動物病院も同じです。また、交通機関ですが、私は仕事でほぼ毎日バスを利用していますが、学校のある期間のみ走っているバスは今現在走っていません。それ以外のバスは走っていますが、時々家の前を走っているバスを見かけると、乗っている人はほとんどいません。移動は、多くの人が自家用車で行っているようです。また、ある日を境にバスの乗り降りが後ろの扉からになりました。通常は、乗車は運転席横の前扉からなのですが、それもコロナウィルス対策のようです。ただ、そのころ(3月6日ごろ)は、まだ運転手もマスクなし、手袋なし、乗客もマスクをしているのは私ぐらいでした。私は郵便局をよく使うのですが、郵便局も今は午前中のみ開いています。もちろん、こちらも一人ずつ入っていくような形式になっています。また、カウンターの前に線が引かれており、それ以上は局員の人に近づかないようになっています。 
 
 日本と比べると神経質なぐらいの対策を取っていると思います。ただ毎日800人、700人という死亡者が出ているニュースを見ると、本当に愕然とします。ここ数日は状況が落ち着いてきたので、4月20日からはスーパー以外にも、本屋や子ども服のお店が開けられるようになります。私たちお母さんの一番の心配ごとは学校がいつ再開するのかということですが、今日(4月14日)朝のニュースで5月18日に再開する案と9月の新年度に再開する案があると見ました。今後の状況によって決められることになると思います。昨夜、娘のクラスメートのお母さんから長いメッセージが回ってきました。娘のクラスメートの子が、「いつ学校が始まるのか、いつお友達や先生と会えるのか」と泣き始めて困ったという内容でした。コロナウィルスは、こんな風に子どもたちの心にも影響を与えています。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。