2020年04月26日23時35分掲載  無料記事
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アジア

タイ政府はオンライン上の政府批判の摘発を強化 アムネスティが警告

タイで、政府批判者に対する弾圧が激しさを増し、政府や王制を批判するソーシャルメディア利用者の訴追が、相次いでいる。政府は、オンライン上の政府批判を摘発することで、批判すると処罰されるという恐怖心を社会に植え付けようとしている。(アムネスティ国際ニュース) 
 
逮捕された人の多くが裁判待ちで、有罪になれば、最高5年の刑と重い罰金が科せられる。 
 
表現の自由は、新型コロナウイルス感染拡大で発令された3月の非常事態宣言で、さらに制限されるようになっている。 
 
◆オンライン上の表現の自由の弾圧 
 
2014年の軍事政権誕生から5年、抑圧されてきた市民の多くが、昨年3月の総選挙で親民政権が誕生し、人権が尊重される社会になることを期待した。しかし、軍政を率いたプラユット暫定首相の続投が決まり、オンライン上の意見が、一層制限されるようになった。 
 
政府に批判的な投稿をするソーシャルメディアの利用者は、警察から嫌がらせや脅しを受けてきた。 
 
◆府立を乱用 
 
政府は、一連の抑圧的な法律を適用して市民を弾圧している。例えば、コンピューター犯罪法に基づき、当局は、オンライン上の記事や画像を自由に監視・制限し、個人を逮捕・訴追することができる。 
 
刑法で反乱扇動罪を定めた条項は非常に広範な行為を対象としており、最高7年の刑が定められている。また、公職にある人物の名誉棄損も、摘発の対象になる。 
 
王制批判に対する罰則を定める不敬罪法は、現在は運用が停止されている。しかし政府は、王政を批判する者の処罰に別の法律を適用し始めた。 
 
政府は昨年11月、ソーシャルメディアへの対応の一環として、フェイクニュース対策センターを開設し、市民に誤解を与えそうなインターネット上のコンテンツの監視を開始した。コロナ危機は、この「フェイクニュース」の摘発を助長するおそれもある。 
 
当局は、人権活動家に対するヘイトスピーチには甘い一方で、コロナ危機に対する政府の対策批判には、厳しい監視の目を向けている。 
 
タイ政府は3月26日、非常事態令を発動した。この法令のもと、当局は市民の不安や誤解を生むおそれがある情報の発信を監視する権限を与えられ、発信者は最高2年の刑を科されるおそれがある。 
 
当局は、コロナ危機に乗じた取り締りや表現の自由の制限をやめなければならない。 
また、表現の自由の権利を行使して拘束されている人びとに対しては、その容疑を即時無条件に取り下げ、自由にすべきである。 
 
アムネスティ国際ニュース 
2020年4月23日 


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