2020年05月07日11時36分掲載
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農と食
輸入大豆 遺伝子組み換え品との分別品は約70万トン 大豆輸入総量は約322万トン
日本の大豆自給率は約7%。2017年、国産大豆の生産量が25万3千トンに対して、輸入大豆は約322万トン。輸入先は、遺伝子組み換え大豆生産国の米国、ブラジル、カナダの3か国で99%を占めている。一方、スーパーなどに並ぶ豆腐や納豆、みそなどには「遺伝子組み換えでない」という表示ばかりであり、これらの大豆加工食品の原料の多くは、遺伝子組み換えでない「分別品」であると思われる。しかし、貿易統計や食料需給表などの公的統計に具体的な数値はなく、その実態はよくわからない。そこで、いくつかの公的な公開統計から試算すると、「分別品」は約70万トン(2017年)という数値が得られた。(有機農業ニュースクリップ)
輸入大豆のかなりの量が遺伝子組み換え品種とみられるが、貿易統計からは分別品の輸入量は確定、推定できない。日本の貿易統計に使用されている9桁の分類コード(HSコード)は、遺伝子組み換えであるか、あるいは非遺伝子組み換えであるかの区別がない。このため、公開されている統計データを使い、輸入大豆のうち分別品の量を試算してしてみた。利用できた統計データは、食料需給表(農水省)、貿易統計(財務省)、油糧生産実績調査(農水省)、大豆をめぐる事情(農水省)、醤油の統計資料(醤油協会)の5種類。
・食料需給表(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
・貿易統計(財務省)
・油糧生産実績調査(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/oil/
・大豆をめぐる事情(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/attach/pdf/index-125.pdf
・醤油の統計資料(醤油協会)
https://www.soysauce.or.jp/wp-content/uploads/2018/06/toukei31.xlsx
食料需給表によれば2017年の大豆使用量は約360万トン。国産が25万3千トン、輸入が321万8千トン、在庫充当が13万トンとなっている。輸入の99%は米国(234万9千トン、73%)、ブラジル(52万トン、16%)、カナダ(32万トン、10%)であり、この3か国は大豆の栽培面積の90%以上が遺伝子組み換え品種だという。輸入量の残りの1%、2万7千トンが中国などのまだ遺伝子組み換え大豆の商業栽培をしていない国々からとなっている。はっきりとNON−GM大豆と考えられるのは、国産大豆と主要輸入先の3か国を除いたその他諸国から輸入の合計28万トンだけである。
表1.大豆内訳(2017年) [千トン]
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国 産 253
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輸入合計 3,218
米国 2,349
ブラジル 520
カナダ 322
その他 27
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在庫充当 130
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合 計 3,601
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・食料需給表及び貿易統計より
食料需給表では、用途として食用(82万トン)のほか、飼料用(11万トン)、種子用(8千トン)、加工用(260万トン)などがあげられている。加工用260万トンの用途は大豆油(243万トン)と味噌醤油(17万トン)となっている。食用の主な用途は豆腐や納豆などである。これらの用途で、意図せざる混入が5%まで認められている遺伝子組み換え品種でない分別品と、ほぼ遺伝子組み換え品種と考えられる不分別品がどのように使われているか推定してみる。
表2.大豆仕向け先(2017年)
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飼料用 81 [千トン]
種子用 8
加工用 2,599
減耗量 64
粗食料 821
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・食料需給表より
表3.遺伝子組みかえ食品表示:大豆
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表示義務
豆腐類及び油揚げ類、凍豆腐、おから及びゆば
納豆、豆乳類、みそ、大豆煮豆
大豆缶詰及び大豆瓶詰、きな粉、大豆いり豆
上記を主な原材料とするもの
大豆(調理用)を主な原材料とするもの
大豆粉を主な原材料とするもの
大豆たんぱくを主な原材料とするもの
枝豆を主な原材料とするもの
大豆もやしを主な原材料とするもの
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表示不要
しょうゆ、大豆油
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表示制度外(非食品)
種子、飼料用
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・消費者庁
食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組換え食品に関する表示について)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/qa/common_03/
まず、国内で遺伝子組み換え品種が商業栽培されていないことから、種子用は遺伝子組み換え品種でないと考えられる。
食用、味噌用は、遺伝子組み換え表示が必要であるが、スーパーなどに並ぶ豆腐、納豆、味噌などの大豆を原料とする食品の表示は「遺伝子組み換えでない」ものばかりであり、遺伝子組み換え品種は使われていないと考えられる。
GM表示が不要な醤油用の原料大豆について、醤油協会の『醤油の統計資料』にはその区分は明らかにされていない。しかし、たねと食とひと@フォーラムが実施した醤油メーカー13社へのアンケート調査(2018年5月公開)では、そのほとんどが原料大豆を分別品としていることから、醤油用の大豆はほぼ分別品と考えられる。
・たねと食とひと@フォーラム, 2018-5-6
醤油・つゆメーカーより遺伝子組み換え原材料に関する公開質問についての回答が届きました
https://nongmseed.jp/archives/2646
大豆油もGM表示が不要である。たねと食とひと@フォーラムによる製油メーカー7社へのアンケート調査(2018年1月公開)では、大豆油を生産している日清オイリオグループなど4社はいずれも不分別と回答している。したがって、大豆油加工用は不分別品であり、多くが遺伝子組み換え品種と考えてもよいだろう。
・たねと食とひと@フォーラム, 2018-1-8
遺伝子組み換え原材料について各メーカーの回答�/�用油メーカー7社
https://nongmseed.jp/archives/2395
したがって、食用(82万トン)、味噌・醤油用(17万トン)、種子用(8千トン)の合計100万トンが、分別品を含む非遺伝子組み換え大豆と考えられる。非遺伝子組み換え大豆は、国産と非GM生産国からの輸入との合計28万トンがあり、100万トンの残りの約70万トンが分別品だと考えられる。(詳細は添付の図『大豆 国産・輸入用途詳細(2017年)』参照)
米国など遺伝子組み換え作物が商業栽培されている国からの輸入に当たっては、非遺伝子組み換え品にGM品種が混入しないために「分別生産流通管理(IPハンドリング)」が実施されている。分別管理がなされるとしても、日本では「意図せざる混入率」は5%であり、そこまでの混入が許容されている。したがって、約70万トンと考えられる「分別品」は全量が非遺伝子組み換えではなく、数パーセントの遺伝子組み換え品種が混入している可能性が大きい。
輸入大豆の多くは遺伝子組み換え表示が不要の大豆油に加工されている。油糧生産実績調査(農水省)によれば、2017年に243万トンの原料大豆から48万トンの大豆油が生産されている。2017年には国産大豆を原料とした大豆油は生産されていないが、2018年には420トンの国産大豆から55トンのNON−GMの大豆油が生産されている。
海外では、台湾のようにHSコードで遺伝子組み換え品種の輸入量を確定できるようになっている国もある。台湾は、大豆とトウモロコシについて、HSコードの下3桁が遺伝子組み換えか非遺伝子組み換えかを識別できるコード体系になっていて、各々の輸入量が確定でき、その数量も公開されている。台湾のようなHSコードを採用することで遺伝子組み換え品種の輸入量は明確になる。
・台湾輸出入統計データベース
https://portal.sw.nat.gov.tw/APGA/GA30E
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