2020年05月11日21時17分掲載  無料記事
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検証・メディア

ニュージーランドが感染拡大防止で成果を上げている最も重要な要因を無視するニュースウオッチ9  Bark at Illusions

 日本政府は新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言を延長したが、世界では既にいくつかの国が一定の成果と共に外出制限などの緩和に踏み切っている。ニュースウオッチ9(20/4/28)はそうした成功例の一つとしてニュージーランドを紹介した。ニュージーランドが感染拡大の防止で成果を上げている要因としてニュースウオッチ9が特に注目したのは、「リーダーの言葉」だ。 
 
「着実に実行に移され、世界が注目するその出口戦略。それを可能にしたのは、一貫してぶれないリーダーの言葉です」 
 
冒頭でこう指摘したニュースウオッチ9は、ジャシンダ・アーダーン首相が世界保健機関(WHO)による新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)宣言直後から「強い姿勢で徹底した対策」を打ち出す一方で「国民に寄り添う優しさ」も大切にし、外出制限を行う際にはソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のライブ配信で「国民の疑問や不安に直接回答」して、 
 
「わかりやすい言葉を使って笑顔で説明し、一緒に乗り越えていこうと呼びかけ」 
 
ていたことや、 
 
「強く、そして優しくあれ」 
 
という言葉を市民に向けて繰り返し発信していたことなどを紹介している。 
 
 ニュースウオッチ9が指摘するように、首相によるわかりやすい説明は重要だろう。首相が「国民に寄り添う優しさ」も、全くの無駄だとは言わない。しかしニュースウオッチ9は、外出制限による感染拡大防止策を成功させる上で決定的に重要なことを無視している。 
 それはニュージーランド政府がロックダウン(都市封鎖)と合わせて、人々が安心して生活できるようにするための支援策を打ち出していたことだ。ニュージーランド政府は、ロックダウンと同時に賃金補償や、学生、社会的弱者などへの支援策を迅速に行っている。ニュージーランド在住の安積宇宙さんは、厳しい制約にもかかわらずニュージーランド社会で目立った反発がなかったのは、 
 
「やっぱり補償がちゃんとしているっていう事と、何でこれをするかっていう意味がちゃんとみんな分かってるからなんじゃないかな」(OurPlanet-TV 20/4/21) 
 
と話す。 
 日本では緊急事態宣言から1ヶ月近くたってようやく、政府による個人や中小企業などへの現金給付が始まったところだ。事業者の休業要請に対する補償は、自治体任せになっていて、各自治体は十分な補償を行うことができていない。感染拡大を防止する上で日本の緊急事態宣言に決定的に欠けている事として、ニュースウオッチ9は補償の問題に焦点を当てるべきだっただろう。 
 
 言葉だけなら日本の安倍晋三も負けていない。 
 
「強い危機感のもとに雇用と生活は断じて守り抜いていく」、 
「考え得る政策手段を総動員して、国民の皆様と共に、この戦後最大の危機を乗り越えていく決意であります」 
(緊急事態宣言発表の際の安倍晋三の記者会見、20/4/7) 
 
「国民の皆さんの健康と暮らしを何よりも最優先に、そして国民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けながら常にベストな判断をするように最善を尽くしていく。その責任をこれからも果たしていく決意であります」、 
「全国の都道府県と手を携えて、皆さんの健康と命を守るため、あらゆる手段を尽くしていきたいと考えています」 
(緊急事態宣言を全国に拡大した翌日の安倍晋三の記者会見、20/4/17) 
 
ただし多くの人が辟易しているように、安倍晋三の言葉は空疎だ。決して行動が伴うことはない。そしてそのことは新型コロナウィルスと闘う日本社会にとって決定的な欠陥となっている。なぜなら、ニュージーランドのように成果を上げている国家もあるのだから、コロナ危機の克服は、できるかできないかの問題ではなくて、市民の生命や社会を守る気が政府や社会にあるかどうかの問題だからだ。 
前出の安積宇宙さんが指摘するように、 
 
「日本ほど経済的に力があって、技術もあって、情報も……回ってる国って少ないのに、こういう対応になってるっていうのは、もう世界もびっくり仰天」(OurPlanet-TV、同) 
 
なのだ。 
もし日本社会がコロナ危機から脱することができないなら、ソシオパス(社会病質者)の安倍晋三による暴政を長年にわたって許している日本の市民社会にも責任がある。 


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