2020年05月12日09時31分掲載
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政治
検察庁法改正案に700万に及ぶ「抗議」のツィート なぜ政府自民党は成立を急ぐのか
検事長らの定年を延長するための検察庁法改正案を自民党は今週中にも強行審議で可決成立させる方針だ。この法案に対しては多くの法律家が反対を表明しているほか、今ネット上で反対運動が盛り上がり、数十万のネット署名の他、ツイッターで文化人、芸能人を含む700万人に及ぶ「検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけたツィ―トが飛び交っている。この法案、どういうものでどこが問題かを解説した。(伊藤一二三)
言うまでもなく、検察官は犯罪の嫌疑があれば、ロッキード事件やリクルート事件に見られたように、内閣総理大臣であろうと国会議員であろうと捜査しなければならない。従って、検察官は政治的に中立公平であることが求められている。また、三権分立の政治原則のもと、刑事裁判を開始する(起訴する)か否かの権限は検察官だけが持つ権限であり、検察官は行政組織(法務省)の一員ではあるが、準司法司法官的立場にある特別職である。
現在、アベ政権が強行しようとしている検察庁法改悪は、以下のようなものである。
�仝〇ヾ韻猟蠻�年齢を65歳まで段階的に引上げたうえ、63歳から「役職定年制」を適用し、検事正や検事長などのポストは降任する(ヒラ検察官にする)。
�△靴�し特例として、内閣又は法務大臣が「特別の事情を勘案し」「支障が生ずる」と認めるときは、定年を過ぎても役職を延長できるようにする。
つまり、内閣・法務大臣の裁量で検察幹部の人事に介入できる仕組みであり、検察官の政治的中立、準司法官的立場を崩壊させる危険性が高く、ここが最大の問題点である。
今回の検察庁法改悪の契機は、黒川弘務東京高検検事長の定年延長である。アベ政権は2020年1月31日の閣議で、同年2月に定年退職の予定であった黒川検事長の定年延長を決めた。黒川氏も事前に了承した。従前までの検察庁法からすると違法・違憲な手続であるが、首相官邸に近い存在の黒川氏を、本来、就任できないはずの検事総長に就任させる(2020年8月予定)狙いがあったと考えられる。これには、法律家を含む多くの国民の批判の声が上がっている。弁護士らによる『東京高検黒川検事長の定年延長に関する閣議決定撤回と黒川氏の辞職を求める賛同署名』がCHANGE.ORGでなされており、Twitterでは芸能人までを含む反対の声があり、700万の#タグが集まっていると報じられている。5月11日、日弁連も反対声明を出した。
結局、今回の検察庁法改悪は、「後付け」で違法な閣議決定を正当化することが狙いである。アベ政権が得意とする手法と言ってよい。さらに今回は、一般の国家公務員の定年延長と「束ね法案」になっている。一般の国家公務員の60歳から65歳への定年延長は、2011年に人事院の意見が出て以来、10年に及ぶ検討がなされてきた。そして通常、国家公務員法改正は内閣委員会と法務委員会の双方で審議されてきた。しかしアベ政権は、この国家公務員法改正と検察庁法改悪とを一体で提出し、内閣委員会だけで審議している。国家公務員の定年延長を「人質にとる」形で、一つには野党に揺さぶりをかけ、二つには(法務委員会を外して内閣委員会だけにして)法務大臣に答弁させないという邪悪な審議方法なのである。
言うまでもないが、現在、COVID-19の感染問題、緊急事態宣言の延長による国民経済の破綻・崩壊の危機にどう対応するべきかこそ必要火急の政治課題である。多数の国民が批判している検察庁法改悪などは「不要不急」の課題であり、全く急ぐ必要はない。しかし、アベ政権とすると、どうしても捜査、起訴させたくない問題が裏に山積しているのだと思われる。
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