2020年05月12日11時36分掲載  無料記事
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教育

コロナで追いつめられる学生生活〜学生団体が実態調査を実施

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、緊急事態宣言の発令により、アルバイト先が休業を余儀なくされ、家賃や光熱費を支払えない、学費や教科書代などに充てるための費用を工面できない学生が急増している。 
 
こうした中、公明党の斉藤鉄夫幹事長は5月8日、文部科学省に対して、経済援助を必要とする約50万人の学生に1人当たり10万円の現金給付を行うよう緊急提言を行った。これを受け、同党衆院議員の伊佐進一氏はSNS上で、10万円の給付は「学生のバイト代月平均3〜5万円の2ヶ月分」だと主張したが、学生たちはこの発言に対し、「月3〜5万では家賃を払っただけで全部なくなる」、「バイト代が3〜5万って本気で思ってるの?」などと反論し、波紋を呼んでいる。 
 
高等教育の学費や奨学金制度の改善を目指す学生団体「FREE高等教育無償化プロジェクト」(以下、FREE)が行った実態調査によると、「生活費は7万円以上10万円以下」必要だと回答した学生が最も多く、月3〜5万円の収入では到底足りないことが分かる。新型コロナの影響でアルバイト収入が減っている学生が約6割、家計の収入が減っている学生が半数以上いるとのアンケート結果も出ている。 
 
また、緊急提言の対象となる50万人の内訳を見ると、住民税非課税世帯約10万人、非課税世帯に準ずる世帯約10万人、中間所得層でアルバイトによって学業と生活に必要な収入を得ている約24万人などとされているが、現在の大学生・短大生・専門学校生が約369万人、大学院生が約25万人いることを考慮すると、対象となる約50万人への現金給付ではほんの僅かな学生しか救えないことが分かる。 
今後、新型コロナの影響で学校の授業がオンライン化され、それに対応するための新たな機材を購入する必要性も出てくるだろう。こうした追加費用も学生には重くのしかかるはずだ。このままだと、多くの学生が生活費や学校生活に必要な費用を工面できなくなり、退学を余儀なくされるケースが相次ぐ可能性もある。 
 
現在、FREEでは新たに「新型コロナ感染拡大の学生生活への影響調査」を実施しており、学生の実態を可視化させ、政府や世論に働きかける活動を展開している。政府に対して、より充実した対策を求めるために、1人でも多くの学生が声を上げる必要がある。経済状況を理由に退学を余儀なくされる学生をこれ以上増やさないために、政府は思い切って大学などの学費半額に舵を切り、未来を担う学生たちに予算を回す必要がある。 
 
FREEによる実態調査については以下を参照。 
 
https://docs.google.com/forms/d/1zWEIcB8-HXyeInA0Db4x-rgDbUhaisXj5xDVorqWU1k/viewform?edit_requested=true 


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