2020年10月04日15時16分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202010041516420

政治

マスコミ関連労組、菅政権の日本学術会議新会員任命除外を撤回せよと抗議声明

 新聞、テレビなどメディア関連の労働組合で構成してる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は10月3日、菅政権が強行しようとしている日本学術会議会員の任命除外の撤回を求める声明を発表しました。菅政権は法律に則って内閣に提出した新会員候補 105 人のうち、6 人を除外し、任命しませんでした。除外された6人は安倍政権時代、政府の安保政策や治安政策に反対の声をあげた人たちです。声明は、「今回の任命除外は、憲法で保障されている「学問の自由」(第 23 条)を脅かし、・・・研究者全体の発言や研究テーマの選択が萎縮を招いてしまうことを懸念し、研究者にとどまらず、社会全体を萎縮させかねません。結果としてそれぞれの立場を尊重せず、多様な意見を交えた活発な議論が失われていけば、民主主義の基盤が崩れてしまいます」と述べています。(大野和興) 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 日本マスコミ文化情報労組会議(Japan Mass Media Culture Information Workers' Union Conference /略称:MIC)は新聞、印刷、放送、出版、映画、広告、音楽、コンピュータそれぞれの労働組合の連合会、協議会等で構成された組織です。平和と民主主義の課題をはじめ、各産業の発展とマスコミ関連労働者の権利・労働条件の向上のためにさまざまな活動を行っています。またMICは、市民の「知る権利」を保障し、民主主義社会を支える「報道の自由」「表現の自由」「出版の自由」を守る取り組みを行っています。 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 
政府による日本学術会議会員の任命除外に抗議し、撤回を求める 
 
 菅義偉首相は 2020 年 9 月 28 日、政府から独立した立場で政策提言をする科学者の代表機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補 105 人のうち、6 人を除外し、任命しませんでした。日本マス コミ文化情報労組会議(MIC)は、日本学術会議の独立性を尊重し、一部の新会員候補に対する任 命除外について抗議するとともに、ただちに撤回するよう、政府に強く求めます。 
 
 報道によると、「学者の国会」と呼ばれる同会議が推薦した候補者のうち、任命が除外された東 京大学教授の宇野重規氏や加藤陽子氏らは、政治や憲法、行政学などの研究者で、政府は除外理由を明らかにしていません。除外された 6 人の中には、安全保障関連法や「共謀罪」法(組織的犯罪 処罰法)の問題点を指摘し、批判してきた学者が複数名含まれていました。政府は官房長官会見(10 月 1 日)で、「会員の人事を通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能。直ちに学問の自 由の侵害ということにはつながらない」と、見解を示しています。 
 
 同会議は、第二次世界大戦での反省を踏まえ、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、1949 年に政府から独立して 職務を行う「特別の機関」として設立されました。内閣総理大臣の所管だが、政府からの独立性を保つため、会員選任については、日本学術会議法で「優れた研究または業績がある科学者のうちか ら会員候補者を選考し、首相に推薦するものとする」と定められています。さらに、この推薦に基づいて首相による会員の任命が定められています。今回政府は会議の推薦内容の一部を無視し、政 府には「監督権」があると主張しました。これは、重要な設立趣旨である同会議の独立性を政府自らが否定しているといえます。 
 
 また、1983 年、それまで選挙によって行われてきた日本学術会議会員の選出制度に代わって、 学術団体による推薦制度が導入された際の国会で、政府は「推薦された者をそのまま任命する」と答弁しています。今回の政府の任命除外は、この国会答弁(公権解釈)と食い違うものです。その後、2018 年に内閣府と内閣法制局の間で、法解釈について協議していたことが報道されており、政府は解釈の変更に関して説明責任があります。 
 
 さらに、今回の任命除外は、憲法で保障されている「学問の自由」(第 23 条)を脅かし、「法の下の平等」(第 14 条)、「思想及び良心の自由」(第 19 条)、「集会、結社及び言論、出版その他一切 の表現の自由」(第 21 条)の侵害にもつながりかねません。公権力による、政府と異なる意見を表明する一部の研究者に対する選別や排除は、研究者全体の発言や研究テーマの選択が萎縮を招いてしまうことを懸念し、研究者にとどまらず、社会全体を萎縮させかねません。結果としてそれぞれ の立場を尊重せず、多様な意見を交えた活発な議論が失われていけば、民主主義の基盤が崩れてし まいます。 
 
 研究者は、メディア労働者にとって、読者・視聴者に最新の科学的知見を伝え、市民社会に議論 を提起、醸成させる大切なパートナーです。今回の事態に対し、日本学術会議は 10 月 2 日、任命 しなかった理由を明らかにするとともに、除外された 6 人の任命を行うことを首相に求めました。 私たち MIC も首相が同会議の推薦通り、研究者の任命を行うことを強く求めます。 
2020 年 10 月 3 日 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC) 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。