2020年12月18日08時24分掲載  無料記事
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反戦・平和

敵基地攻撃能力の保有を認めるな!市民団体が抗議のダイインを実施

 12月17日、厳しい寒さの中、菅政権が検討を進める「敵基地攻撃能力」保有に反対する市民らが国会正門前で緊急集会(殺すな!STOP敵基地攻撃能力 12.17国会正門前ダイイン)を開催した。参加した市民らは、「敵基地攻撃兵器を買うな!」、「軍事費よりもコロナ対策を!」と書かれたプラカードを掲げながら、政府に対する抗議の「ダイイン(犠牲者に擬して大地に横たわり抗議を示す方法)」を行った。主催は、STOP敵基地攻撃能力アクション。 
 
 主催者挨拶を行った武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司代表は、「菅政権は表向きには敵基地攻撃能力の保有についての結論を、公明党に配慮する形で先送りするとしている。しかし実質的には明日、事実上の〈国産の敵基地攻撃ミサイル〉の開発を宣言することになる」と指摘。同氏は続けて、「今後、日本が敵基地攻撃能力を保有することになれば、自衛隊の攻撃によって殺される人々がおそらく出てしまう」と危機感をあらわにした。 
 
 同集会には、立憲野党の国会議員らも参加しており、福島瑞穂・社民党参院議員は、菅政権が敵基地攻撃能力の保有に関する結論を先送りしたことについて、「政府は、長距離ミサイルの購入や研究については議論を進めると言っている。結論を先送りと言いながら、実質的には敵基地攻撃能力保有に向かって進んでいる」と政府の対応を批判した。 
 
 スピーチを行った永山茂樹氏(東海大学教授)は、「政府は2002年頃から先制攻撃付きの敵基地攻撃論を唱え始め、さらに安保法制が可決された2015年以降、集団的自衛権付きの敵基地攻撃論も展開されるようになった」と述べ、「70年前に議論されていた敵基地攻撃論と比較すると、より怖いものになってきている」と指摘した。 
 
 政府は敵基地攻撃能力の保有について、「期限を設けずに検討する」として結論を先送りする一方、射程圏外から相手を攻撃できる長距離射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の国内開発に向けた政府方針案を固めた。同方針案は公明党の了承を得て、18日にも閣議決定する見通しだ。 
 
 こうした政府の行き過ぎた対応について、市民からは「敵基地攻撃能力の保有は、まさに戦前回帰だ」などと批判の声が上がっている。自公政権による「防衛力強化」と銘打った「軍事国家建設」に歯止めが掛からない状況だ。 


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