2020年12月18日19時23分掲載  無料記事
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国際

【西サハラ最新情報】  待ってました!ボルトン登場!!  平田伊都子

 トランプさん、どさくさ紛れの西サハラ領土転売空手形、ありがとう! 
二国間QPQ(闇取引)に押され気味だった西サハラにとって、またとない思いがけないクリスマスプレゼントとなりました。 12月10日にトランプさんは、モロッコとイスラエルの国交正常化をモロッコ国王に呑ませる代償に、モロッコ国王の強い要請を受け入れ、「西サハラはモロッコ領土」と、公言しました。 国際社会は勝手な領土取引をするトランプさんの暴言に、愕然としました。 しかし、両者のQPQは、国際社会とモロッコよりだった国連事務総長の猛反発を誘ってしまいました。  トランプさんは評判の悪いスーパースターだから、国際社会での信用度がゼロだから、みんなの注目を浴びました。 
 そして、国際社会から忘れ去られていた<西サハラ問題>を、急浮上させることになりました。 
 
.皀蹈奪海旅駭▲蹈咫竺萋阿汎鷙餞QPQ(闇取引)の続行: 
 トランプが最早、アメリカを代表していないのは明らかで、トランプ退陣のどさくさに紛れ、トランプの「西サハラはモロッコ領土」という言質を得て大喜びしていたモロッコも、予期せぬ国際社会の反発に慌てたようだ。 「トランプ大統領娘婿でユダヤ人のクシュナー閣下がイスラエルからモロッコに初飛行される」との宣伝記事を削除し、QPQ(闇取引)を成功させたクシュナーとモロッコ外務大臣ナセル・ブリタの合成写真も外した。 
 そして、これまで通り。モロッコ流の二国間QPQ(闇取引)に精を出した。つまり、モロッコ領土とは国際的に認められていないモロッコ占領地・西サハラに、他国を騙して領事館を新設する外交である。その代償は、経済援助や軍事援助や外交支援などとなる。 
 モロッコ占領地・西サハラの首都・ラユーンや、漁港でリゾート地のダハラには、セネガル、中央アフリカ、ベニン、ギネアなどと言った元フランス植民地のアフリカ諸国が、領事館を設置した。 
 トランプとは、ダハラに領事館を開設することで合意しているが、、 
 一方、モロッコ国連大使ヒラ―ルに急かされて、12月16日にケリー・クラフト・アメリカ国連大使が、トランプ氏の<モロッコによる西サハラ領有権承認>発言を文書にして、国連安保理12月議長ジェリー南アフリカ国連大使とアントニオ・グテーレス国連事務総長に提出した。 
 
⇔鯊綛駭∪哨汽魯藥務総長個人特使たちのモロッコ批判: 
 1997年~2004年まで国連事務総長個人特使として、国連西サハラ人民投票の実現を目指したジェームス・ベーカー元アメリカ国務長官は、12月11日に「トランプのモロッコ領有権容認は、国際法や国連憲章や米国理念に反している」と、強く非難した。 
 2009年から2017年にわたって国連事務総長西サハラ個人特使を務めたクリストファー・ロス元アメリカ外交官は、「この馬鹿でまったく無知な(トランプの勝手な西サハラ領有権承認)発言は、<力ずくで領有権を決めるのではなく、その領土の人民が国連が民族 
決権保障している民族自決権に基づいて決める>というアメリカの基本精神に反するだけでなく、国連と国際社会の基本理念にも反している」と、ロス元国連事務総長個人特使はモロッコを厳しく糾弾した。2016年3月、ロス元国連事務総長個人特使は、パンギムン元 
国連事務総長をモロッコ占領地・西サハラと難民キャンプに案内し、「西サハラ人民をこれ以上待たせるわけにはいかない。すぐに行動を起こそう」と、パン事務総長に言わせた。 
 モロッコは猛反発しロス個人特使の更迭を迫り、あらゆる嫌がらせをロス個人特使に浴びせ国連内での活動を妨害した。ロス個人特使は、「私の後を継いだ元ドイツ大統領ホルスト・ケーラー国連事務総長個人特使も、モロッコの不愉快きわまりない妨害にウンザリしていた。モロッコは国連も国連事務総長も国連事務総長個人特使もことごとく馬鹿にし、モロッコ国王にひれ伏すべきだとしている。ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領は、<体調不良>を理由に任期半ばで辞任したことになっているが、彼は元気だし、モロッコの無礼な妨害にウンザリしたからだと思う」と、モロッコ外交の実態を明らかにした。 
 
➂ボルトン元トランプ大統領国家安全保障担当補佐官登場: 
 2020年12月14日、トランプから解雇されたジョン・ボルトン元大統領国家安全保障担当補佐官が、「トランプによる、西サハラに対するモロッコ領有権の承認は、アメリカが入念に注意深く何十年にもわたって作り上げてきたアメリカ外交政策を崩壊する危険性をはらんでいる。」と、<特別アメリカ外交政策>のウェブサイトに寄稿した。さらにボルトン元大統領補佐官はジェームス・インフォフェ上院議員の「イスラエルはモロッコとの国交正常化を西サハラ領土問題とのQPQ交換取引なしでもできた」とする意見を引用し、西サハラ人民を無視したモロッコの狡い取引を非難した。そして、「バイデンは無知な宣言のおかげで、外交ポイントを稼げる機会を手にした。但し、バイデンは就任したら、即刻このトランプによる領有権承認声明を、覆さなければならない。しかし、一旦、ラバトとエルサレムが決めたことを撤回するのは難しい。バイデンが本気で180度の展開を望むのなら、今すぐ、取り掛かからなければならない。撤回は早ければ早いほど、国家的損失が防げる」と、アメリカの外交失策を心配した。 
 さらにボルトン元大統領補佐官は、「トランプが承認発表を急いだのは、彼が、西サハラ人民の代表であるポリサリオ政府や、アルジェリアやモーリタニアなどの近隣諸国や、あるいは他の国の動きを計算にいれたからではない。むしろ、全く考慮などしていなかった、、」と、分析し「トランプの思い付き外交とは、マグレブ地域の安定という名目のため、もう一発、派手でうわべだけの勝利を手に入れること、、それに尽きるのだ」と、言及した。 
 ファイヤー・ファイター(火消人)の息子ジョン・ボルトンは<火点け人>で、2003年のイラク戦争に火を点けた。ブッシュ政権の超強硬派で、イラク戦争共犯者に間違いない。紛れもなくジョン・ボルトンはイラク人民の敵だ。しかし、そのボルトンが、西サハラ人民の味方になろうとしていたとは、、信じ難いが、事実だ。2007年にボルトンが出版した<Surrender is not an option(降伏は選択肢にない)>で、「国連大使になったら真っ先にやろうと決心していたのは国連西サハラ人民投票だった」と、語っている。ボルトンは2005年8月1日から2006年12月9日まで、アメリカ国連大使を務めていた。本の中でボルトンは、「ジェームス・ベーカーの西サハラ紛争解決という大仕事の教えは計り知れない。とりわけ、国連が約束した<レファレンダム(国連西サハラ人民投票)>を実施して西サハラ人民に彼らの将来を決めさせ、PKOに決着を付けることに、私は執念を燃やした。それに、反対しているモロッコも人民投票を一旦は呑んだのだから、、真剣に国連西サハラ人民投票に取り組もう。取り組まないなら、安保理は失敗を認め手を引け、、つまるところ、MINURSOというPKOは、高い代償を払っている国連PKO活動の完璧な失敗作と結論づけられる。<無用の長物>と断言できる(13章367~69ページ)」 と、主張している。 
 
 2018年12月13日、ヘリテージ財団の講演でジョン・ボルトン米国家安全保障担当補佐官(当時)は、「紳士淑女の皆さま、民族自決権の西サハラ人民投票は27年前に実施されるはずだった。が、27年経って、、人民投票監視団は未だに存続しています。そんなことが許されていいのか、、何年にもわたって、私は西サハラの人々に、思いを馳せてきました」と、本来の役目を果たそうとしないミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に対して、苛立ちと不満をはっきり表明しました。 
 ボルトン元米国大統領国家安全保障担当補佐官を、18か月間も空席のまま放置されてる<国連事務総長西サハラ個人特使>に推薦します。 
 
 
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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 
定価:本体1,800円+税、 
発行人:松田健二、 
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861 
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十     2020年12月18日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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