2021年02月20日20時54分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】福島原発千葉訴訟控訴審判決−東京高裁で東電と国の責任を認める 「対策を講じていれば、電源喪失には至らなかった」 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2月19日、東京高裁、白井幸夫裁判長は福島県から千葉県に避難した住民ら17世帯43人が、国と東電への損害賠償請求訴訟控訴審判決で、東電にだけ賠償を命じた一審の千葉地裁判決を覆し、国の法的責任をも認める逆転判決を下した。国が東電に対する規制権限を行使しなかったことを「違法」としたうえ、東電に計約2億7800万円の賠償を命令、そのうち約1億3500万円については国と連帯して支払うよう命じた。 
 
 原発事故の避難者らが国と東電を訴えた集団訴訟は全国で30件で、高裁判決は3例目。国の責任について認めたのは、昨年9月の仙台高裁に続き2件目。 
 判決では2002年の地震調査研究推進本部が公表した長期評価について 
「相応の科学的信頼性のある知見であると評価できる」とし「経済産業大臣としては、長期評価が公表されたしかるべき時期に、東電に依頼するなどして長期評価に示された見解に依拠して福島県沖で発生する可能性のある地震による津波の評価をしていれば、福島第一原発に敷地高を大きく超える津波が到来する危険性があることを認識できた。」「防潮堤の設置やタービン建屋や重要機器室の水密化は想定でき、対策を講じていれば、電源を喪失する事態には至らなかったと認めるのが相当だ」と指摘した。 
 
 そして避難についても「元の居住地へ帰還するか」「帰還を断念するか」といった「意思決定をしなければいけない状況に置かれること自体」が「精神的な損害だ」と認定し、避難生活に対する慰謝料に加えて、生活基盤が変わったことについても賠償する必要があると判断した。 
    *    * 
 
千葉避難者控訴審の勝利判決!うれしい 
 |  3年半の悔しい思いから解放された 
 | 署名20902筆を裁判所に届けられた 
 └──── 山本進(千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会) 
 
○昨日(19日)千葉避難者訴訟控訴審判決は東京高裁で勝利判決を勝ち取りました。本当に嬉しい。 
たんぽぽ舎さんとこの読者の皆さん。たくさんの諸活動や署名にもご協力いただきありがとうございました。御礼申し上げます。 
2017年9月22日に千葉地裁で国の責任を認めないという判決からの約3年半の悔しい思いから解放されました。 原告の南原さんは「希望の持てる判決だ。こんな日が現実になるとは思っていなかった」と喜びを語っていました。 
昨年はコロナで催し物や行事がストップし、会場を借りるのにも苦労し、「原告が希望の持てる判決を求める」署名を集めることも困難でしたが、皆様のご協力で20902筆を裁判所に届けることが出来ました。 
 
○国の責任を認めない判決は現在、地裁で14件のうち7件、高裁で1件です。あれだけの事故を起こしておいて、国に責任がないなどは私には考えられません。 
 車に欠陥があった場合、行政は回収を命じます。原子力発電所も欠陥が見つかれば行政(国)は改善或いは運転停止などの規制権限を行わなければなりません。不特定多数の人々が被害に遭うから。それを行わないのを責任放棄と言います。「国に責任がない」と言った裁判官に「忖度した」という優しい言葉で言うのではなく、あの裁判官は「国におもねる提灯持ちだ、提灯持ちだ」とみんなが騒げば恥ずかしくなってこんな酷い裁判官は減るに違いありません。「国に責任あり」の世論を拡げていきましょう。 
 
○東電は津波対策をとっても間に合わなかったとか、土木学会で検討中とか言って、なにもしなかったことに言い逃れをしています。何も対策を講じなかったことは重大な過失責任があります。相応の責任をとらせるべきです。 


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