2021年03月03日14時22分掲載  無料記事
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労働問題

締切り間近!〜福祉職場に支援を求めるネット署名に賛同を〜

日本国内で新型コロナウイルスが初確認されてから約1年。緊急事態宣言の効果もあり、感染者数は減少傾向にあるが、変異株の数も増えてきており、収束の兆しは見えない状況だ。 
 
コロナ禍は飲食業や観光業だけでなく、福祉施設・事業にも多大な影響を与えている。コロナ禍以前から、福祉職場では低賃金・長時間労働が問題視されていたが、感染予防対策に関する業務も増え、現場はパンク寸前だ。 
 
こうした中、高齢者介護、障害者福祉の職場などで働く職員でつくる労働組合「全国福祉保育労働組合」は、福祉施設の職員増員や賃金の引き上げを求めるネット署名活動「黙っていられない!コロナ禍の福祉職場を支え、職員を増やして賃金を上げてください」を展開している。 
 
※以下から賛同できます。 
https://www.change.org/fukushi-sasaete 
 
新型コロナウイルスの感染拡大によって、この1年で2度の緊急事態宣言が出されましたが、福祉職場では利用者の原則的な受け入れが求められ続けています。 
 コロナ禍以前から、福祉職場では、全産業平均の7割程度という低い賃金水準と、現場実態に合わない低い職員配置による長時間・過密労働のため、慢性的な人手不足となっていました。そのもとでコロナ禍となり、感染予防のための消毒業務などによる労働強化と、3密が避けられずに高い感染リスクのなかで働き続ける緊張感が加わり、福祉職員の疲弊は深刻化しています。職員の増員と賃金の引き上げにむけた政策が求められていますが、抜本的な対策は打たれようとしていません。 
 今、保育園や学童保育、児童養護施設、介護事業所、障害福祉事業所などの福祉職場を支える福祉職員は、社会生活を維持するうえで欠かせないエッセンシャルワーカーとして注目されています。その公共的な役割を発揮するためには、職員の大幅な増員で長時間・過密労働を解消し、賃金の引き上げで将来に展望を持ちながら働き続けられるようにすることが一刻も早く必要です。 
 また、福祉職場では、クラスターが各地で頻発するなか、職員に対する検査体制の拡充が急がれています。 
 その実現にむけて、以下の3点を求めます。 
○いのちを守り暮らしを支える福祉職場に、専門性を持った常勤職員を大幅に増やしてください。 
○働き続けられるように、危険手当を支給するとともに、賃金水準を引き上げてください。 
○福祉職員に対するPCR検査などの検査体制を抜本的に拡充してください。 
 実現にむけて多くの署名を集めるために、みなさんの賛同と拡散をよびかけます。さらにご協力いただける方は、#福祉職員を増やして賃金を上げてください のハッシュタグにご賛同をいただける理由やエピソードなどを添えた発信も、お願いします。みなさんの力が必要です。Twitterやfacebook、LINE、メールなどで広げてください。 
 この署名は、3月4日正午までに集まった第一次分を、3月5日に厚生労働省に提出します。その後も引き続き集め、5月に提出する予定です。ぜひ、ご協力をお願いします。 
 私たち福祉保育労(全国福祉保育労働組合)は、民間の社会福祉施設の職員で構成している労働組合です。3月5日の厚生労働省・内閣府との交渉(陳情要請)で、大幅な賃金の引き上げや職員の増員、福祉職員への定期的なPCR検査の実施などを求めます。国に対するストライキをかまえて臨み、十分な回答が得られなかった場合は、3月11日に「人を支える福祉労働を守れ!」怒りの全国アクションとして、ストの実施のほか、各地での宣伝などの行動を展開します。 
≪以下、参考資料と現場の声です≫ 
◆厚生労働省・賃金構造基本統計調査 
(実施2019年6月、発表2020年3月31日) 
☆時間外手当等を含む毎月きまって支給する額(税・社保料等控除前) 
全産業平均33.80万円、保育士24.45万円、福祉施設介護員24.45万円 
※福祉施設介護員とは同調査の定義で、児童・障害者・高齢者施設で生活の世話や介助・介護をする者 
☆年収換算(上記×12+年間賞与その他特別給与額) 
全産業平均500.69万円、保育士363.46万円、福祉施設介護員346.57万円 
◆認可保育所の保育士配置の最低基準 
0歳:子ども3人に1人 
1〜2歳:子ども6人に1人 4〜5歳:30人に1人 など 
◆福祉職場で働くみんなの声 
*アンケートなどで寄せられた声の一部(今後更新することがあります) 
○20代・保育園・保育士 
 仕事内容に対しての給与が低く、モチベーションを保つことができない。コロナ禍で園児の受け入れ、手洗い・消毒の徹底を行っているが、いつ感染してもおかしくない状況で働いていることがとてもストレスになっていて、体調を崩すことが増えている。 
 
○20代・障害福祉事業所(通所)・職員 
 コロナの影響で仕事を休む際、特別休暇がなく、有給休暇を使用しなければならないことに不安を感じる。ボーナスが減り、今後の生活の見通しがたたない。 
○20代・児童養護施設・職員 
 テレワークや時間短縮もできず、感染拡大防止のために今まで以上の業務を要求されている。人手不足のために新人職員が8〜9人の子どもの生活支援を一人で行う勤務もあり、一人ひとりにあわせた福祉の提供はできず、日々疲弊している。 
○30代・障害福祉事業所(入所)・職員 
 働いて15年目になるが、社会的にも必要である施設でありながら、責任や業務量だけが増え、低賃金の実態がある。また、精神的にも疲弊しやすい業種であることから離職者が絶えない。 
○30代・保育園・保育士 
 朝7時からの勤務の時は小1の子どもがカギを閉めて登校する。シフトに入れないと正規雇用として続けられず、非常勤になると収入に影響が出る。求人を出しているが全然補充されず、シフトの周期がきつい。 
○40代・保育園・非正規雇用保育士 
 毎年毎年、人手が足りなくなり、年度途中で疲弊している。正規職員が少なく、非正規職員の負担が大きい。でも正規職員の大変さをみると、『非正規だから』とも言いにくい。 
○40代・介護事業所(入所)・介護職 
 入浴介助も人手が足りず、シフトを組むことに四苦八苦している。少ない職員で膨大な仕事をしなければいけないので、どうしても"まわす"こと優先にならざるを得ず、ピリピリしてしまっている。 
○40代・保育園・保育士 
 コロナ対応で消毒作業が加わり、勤務時間内で終われないこともあり、コロナに対する手当が必要だと思う。感染してしまうと多大な迷惑をかけると思うと、県外への移動制限を解除されても、やはりためらって、出られていない。 
 
○40代・保育園・栄養士 
 保育園で働くすべての職員に対する社会的評価が低すぎる。保育園の給食は子どもの命を守っている。厳しい仕事だということを踏まえて、もっと評価されるべきだ。 
○50代・保育園・保育士 
 コロナ禍で保護者の協力のもとで登園児が減った際に、子どもが少ないとこんなにもゆっくりかかわれるということが実感できた。いかに保育園ですし詰め状態の中で生活しているのかがよくわかった。国の責任で配置基準の見直しとともに、人員・環境の整備をしてほしい。 
○50代・ 障害福祉事業所(入所)・職員 
 グループホーム担当者として、急に職員の休みが出ると人の配置が必要になるので、気持ちが休まらない。今もいつ陽性者が出てもおかしくない状況のなか、緊張感が続く。利用者は高齢で基礎疾患のある人がほとんどなので。 
○50代・介護事業所・介護職 
 子どもの塾代が出せず、私が勉強をみている。世代を超えて教育による格差が広がっていくことを実感している。共働きで車も持たず、食費も5人家族で1日1000円。仕事に生きがいを感じているが、老後は年金で生活できるのか不安が尽きない。 
○60代・保育園・保育士 
 再雇用となり給料が激減したのに、仕事は変わらないので矛盾を感じる。同じ仕事をしている以上、手当、賞与とも同じようにしてもらいたい。 
○60代・障害福祉事業所(通所)・職員 
 仕事は正規職員と同じだが、給与ははるかに少ない。勤続年数は長いので、求められる内容がきつい。 


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