2021年04月09日23時59分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202104092359135

アジア

クーデター後の日本政府の対ミャンマー支援 国軍との経済的関係を断ち切るためには〜日本の市民団体が院内集会を開催〜

ミャンマーでの軍事クーデター発生から約2ヶ月が経過。アメリカやイギリスが国軍系企業への制裁を強めていく中、日本政府は未だに具体的な措置を何一つ取っていない。これまで日本が強調してきた「国軍との独自パイプ」は一体どこへ行ってしまったのか。また、国軍の懐へと流れていく日本の公的資金をどう止めていくべきか。 
 
4月9日、参議院議員会館で行われた院内集会「クーデター後の日本政府の対ミャンマー支援 国軍との経済的関係を断ち切るためには」(「メコン・ウォッチ」・「アーユス・仏教国際協力ネットワーク」など共催)で、日本政府が今取るべき措置などについて有識者らが講演を行った。 
 
メコン・ウォッチ事務局長の木口由香氏は日本の官民が関わるヤンゴン市内の都市開発(通称:Y Complex)について、「日本企業が支払う施設の賃料がミャンマーの国防省に流れる可能性がある」と指摘し、「今後も賃料の行方については国際協力銀行(JBIC)に問い合わせていくつもりだ」と訴えた。 
 
法政大学教授の松本悟氏は、日本政府の対ミャンマーODAの歴史に触れながら、「軍との独自パイプの実質的な効果は何だったのか。日本政府の債務免除のやり方が本当に適切だったのか、それぞれきちんと検証すべきだ」と述べた。 
 
なお同日、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟に所属する議員らは、ミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)と作成した共同声明文を外務省に提出し、改めて国軍との関係を見直すよう要請した。しかし、議連事務局長の石橋通宏参院議員(立憲民主党)は外務省の対応について、「何が効果的か検討を行っている最中。今後、然るべき適切な対応を行っていく」などと述べるだけで、「こうした対応に非常に落胆している」と肩を落とした。 
 
また、院内集会後には首相官邸前において、官邸前アクション(ミャンマー国軍の資金源を断て!)が取り組まれ、約100人の市民が参加。 
 
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司氏はスピーチの中で、中国やロシアがミャンマー国軍に武器を供与していることなどに触れ、「日本も経済支援の形でミャンマー国軍に対して利益を与えている。そのお金が銃弾に変わって、市民を殺している」と指摘し、「日本政府が繰り返す独自のパイプは、利権のパイプではないか」と強調した。 
 
メコン・ウォッチや国際環境NGO FoE Japanなどは4月13〜19日、ミャンマーに公的資金を供与してきた政府機関やミャンマー国軍を利する可能性がある企業に対して、ミャンマー国軍の資金源を断つことなどを求める要請・アピール行動を実施する予定とのこと。 
 
詳細は各団体のSNSをチェック。 
メコン・ウォッチ→(@mekongwatch) 
FoE Japan→(@foejapan) 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。