2021年04月21日08時37分掲載  無料記事
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難民

在日クルド人が入管法改正案に反対 「人生が終わる」

 4月18日、政府が今国会に提出した入管法改正案に反対するべく、埼玉県川口市に住む在日クルド人が集まり、同市内で記者会見を行った。会場に集まった在日クルド人は約70人。それぞれ、「日本にいたい」「たすけて」と書かれたプラカードを掲げながら、同改正案への思いを語った。 
 
 司会に立ったクルド難民弁護団の大橋毅弁護士は、今回の改正案で3回目以降の難民申請者が強制送還される可能性があることに触れ、「一番大きな影響を受けるのは、日本で難民として認められず、複数回難民申請を繰り返しているクルド人だ」と語る。実際、日本でこれまでクルド人が難民として認められたケースはなく、これは世界の平均難民認定率45.6%(2018年時点)と大きな隔たりがある。大橋弁護士は、「本当の難民を強制送還する法案であり、大変危険な状態に至っている」と、改正案に改めて警鐘を鳴らした。 
 
 また、日本クルド文化協会のワッカス・チョラーク氏は、「私たちはこれまで日本でクルド人の状況やクルドの文化を伝えてきたが、トルコ政府はこれを“テロの支援”と考えている」と、トルコ政府の姿勢を語る。関係者が送還と同時にトルコ政府に捕まり、懲役刑を科された事例もあるとのことで、ワッカス氏は「入管法が変わったら、強制送還されると同時に捕まってしまう」と危機感を募らせた。トルコ政府によるクルド人への弾圧については、国連からも懸念が示されており、送還後には命に危険が及ぶ可能性もある。 
 
 クルド人の若者からは、送還に対する不安な思いが語られた。「私は2歳の時に来日し、見た目以外は一般的な日本人と変わらないが、難民申請中の身であるという点が大きく違う」と切り出した青年。この青年は、「家族が送還されたら、両親はトルコ警察に捕まり、私と弟は読み書きができない地で生活することになる」と、先の見えない現状に不安を募らせた。また、収容を一時的に解かれる「仮放免」の状態にある23際の男性は、「仮放免の状態では働くことができず、面倒を見てくれた家族や支援をしてくれた人への恩返しもできない」と、悔しさを滲ませる。 
 
 「強制送還されたらどのようなことが起こると思うか」と聞かれた際、あるクルド人男性はこう答えた。「トルコに行ったら子供たちの人生が終わる。夢が完全に終わってしまう。そして、私は刑務所に入れられる」。この男性は重ねて「子供たちの人生を壊さないでほしい」と、強い口調で訴えた。会見に参加をしていた子供達から寄せられた手紙には、「外国人は別に死んでもいいと入管は思っている。どうか、私たちを助けて下さい」と、率直な思いが綴られており、今回の改正案が在日クルド人へ与える影響の大きさを感じ取ることができる。 
 
 日本クルド文化協会は、今回の改正案について、13日に衆参両院議長あてに要望書を提出して強い懸念を示しており、その際に行われた記者会見では「(改正案が通ったら)大変なことが起こる」と、警鐘を鳴らしている。 
 
 大橋弁護士所属の全国難民弁護団連絡会議などは、本法案に反対するべく、4月22日に緊急院内集会を開催する予定でおり、その際は法務省への署名の提出も計画されている。 
 
以下詳細↓https://migrants.jp/news/event/20210419.html 


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