2021年04月24日09時41分掲載  無料記事
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医療/健康

ワクチンに感染予防効果があるどうかの議論 混同される「感染」 落合栄一郎

「感染」という言葉の意味に問題がある。感染には2段階ある。第1段は、個人AからBへと病原体が移動すること(transmission)、第2段は、その病原体がBの中で生理的反応(病気の症状)を起こす(infection)。感染問題を議論する際に、しばしば、この2つが混同されている。 
 
(1)第誼覆任蓮△泙Aが病原体をすでに持っていることが前提条件。症状がすでに出ているか、潜伏期間内かどちらか。持っていなければ、他人に送り込むことは不可能。持っているとすると、病原体はどうやってBに移動するか。それは、Aが吐き出す呼気(空中移動)をBが吸入するか、吐き出された病原体が付着している所を手で触って、手からBの体内に入るとか、Aの出す糞尿などがなんらかの仕方で、Bに入る。この過程を、Bに摂取されたワクチンが作り出す抗体が阻止することができるか。それはどう考えても不可能。すなわち、感染の第1段階にワクチンはなんらの効果はない。多くの議論は、感染という過程を厳密に考えずに、感染予防効果がある・ないと議論している。 
 
(2)第2段階、病原体がBの体内に入って、生理的現象(病状)を起こすことだが、病状を引き起こす以前に、病原体を不活性にするかどうかの問題。脊椎動物には、そういう作用(自然免疫)が備わっている。食細胞:マクロファージ、好中球など。病原体がこれらの作用を避けると、病原体の一部(抗原)に合体して病原体が悪い影響を発揮できなくしたり、食べてしまうために、抗体を造って、T−系の食細胞(キラー細胞)を造り出す機能(獲得免疫)を動物(人間)は持っている。こうして、病気に成らないで済むことが多い。ワクチンは、抗原に成るものを予め人体に入れて、抗体を造らせておく効果がある。ですから、病状がでないように、体に予め用意させておくので、症状が出るのを予防する効果がワクチンの基本的効果である。すなわち、発症予防効果である。 
 
(3)ところが、今回は人類史上初めてのワクチンで、抗原を注入するのではなく、ウイルスが病気を起こさせるために、人間の体細胞の特定部分に結合すると考えられるウイルスの突出部分(抗原とみなされるタンパク質)を造るためのウイルスの遺伝子(RNA)の一部mRNA(人工的に合成して)を入れて、人間の体内でまず、この抗原タンパクをつくらせ、そのうえで、それに結合する抗体を人間の免疫機構につくらせるという間接的なやり方である。本当に目的の(抗原になる)タンパク質ができるのか、それによって抗体ができるのか、こうした基本部分の報道はあまりない。多分、製造元では確認されているものとは思うが。 
 
 ワクチンの有効性を調べるためには、かなりの数の人にワクチンを投与(集団a)し、もう一団の同じような人びとにワクチンと見せかけたものを投与(集団b)して観察、この二つの集団でのその後の感染率の違いがあるかどうかで、効果を判断している。それだけ。この2つの集団の人びとが本当に同じ様な状態(性別,年齢、健康状態その他)、環境・条件下におかれていて、比較に意味があるのかどうか、その他、充分に検証されていない。その上、今回のワクチンは、上に述べたように、人間体内にはない遺伝子的なもの(mRNA)を入れるので、すぐには現れない変化が長期にわたって現れるかも知れないが、そうした検証はやられていない。やろうとすれば、こんな短期間でワクチン摂取を始められるわけがない。だから、現在のワクチン摂取は全人類レベルでの人体実験と言ってもよい。 
 
(4)集団免疫獲得に寄与するか:理論上は、ワクチンは集団免疫に寄与するはずである。感染の第1段階では直接的な影響はない。すなわち、病原体があちこちに散らばってそれが他の人に入る段階では影響はないが、先の例で言えば、Aと言う人物が、他人から病原体を移されたとして、ワクチンが効果を発揮して、ウイルスを消滅させれば、AさんはBさんその他の人に感染させることはない。もうウイルスが体内になくなっているのだから。こういうケースが増えると、他人に病原体を移しうる人の数が減って行く。やがては、集団の中の多くの人が、そうした免疫力をつけて、感染者が増える傾向を抑えられるであろう。 
 
(5)変異株への効果:今回のコロナウイルスは、非常に変異しやすいようである。あらゆるウイルスは、人体(動物体)内で変異することは通常起ることである。今回は、問題とされているS−タンパク質が変異することだが、実際に変化するのは、mRNAの塩基配列が、再生される際に、間違った塩基を入れてしまうことによって起る。現在使われているワクチンは、最初に武漢で検出され、遺伝子配列が決められた株の遺伝子配列(その一部でS−タンパク質のアミノ酸配列を決めるとされるmRNA)に基づいている。 
 抗体は、抗原であるタンパク質に結合することにより作用する。タンパク質の一部のアミノ酸が別なものに置き換わると、そのタンパク質の形が変わる(その程度は、どこで、どのようなアミノ酸が置き換わったなどに依存)、その結果,元のタンパク質にはうまく結合できたのに、形が変化してうまく結合できなくなる可能性がある。現在のワクチンが、変異株にも有効かどうかは、詳しい検証が必要であるし、現在そうした努力が行なわれている。なお、S−タンパク質以外の部分でも変異は起こりうるが、それがどう影響するか、まだまだ知らないことが多い。 
 変異は、現在問題になっているもの以外に今後も発生していくであろう。そうなると、新ワクチン開発が必要になってくるかも。こういうウイルスとの競争にワクチンは有効であろうか。 
 
 
(6)ではどうするか:現在は、新コロナ対策としてワクチン,ワクチン、ワクチンとのみ叫ばれていて、他の対応の仕方が忘れられている。先に論じたことの一つ(注)だが、ワクチン重要視が企業利益を反映していて、他の対応が、ニセの科学によって否定されていることがある。それは医薬品である。これは感染防止には直接的には役立たないが、発症した場合に、重症化を防ぎ、速やかに回復を促すことができる。ところが、ワクチン業界に支配されてしまっているWHOは、そうした医薬品を効果がないと宣言するばかりでなく、その使用を禁止してしまっている。 
 こうした医薬品には、マラリアの治療薬で安価なハイドロキシクロロキン(HCQ)その他がある。こうした医薬品を、WHOは禁止するのではなく、その開発を奨励すべきであるが、どうも、医薬品開発はむしろ邪魔されている気配すらある。 
 先から議論しているように、ワクチンは、ウイルスの変異によって再開発を迫られるし、それには莫大は費用・期間がかかるであろう。これは企業が真摯に向き合えばの話しだが。現実には、公機関に公認されてしまえば、企業はその効果・副作用の有無に責任を負う必要がないので、そうするかどうか。これに対して、有効な医薬品(これはウイルスの変異には無関係)の開発のほうが、こうした感染症対策にはより有効(経済的、医療的その他)ではないであろうか。 
 
(注)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202010190848431 


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