2021年06月24日15時33分掲載  無料記事
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核・原子力

関電美浜原発3号機が再稼働 老朽原発の再稼働に市民団体が抗議の声明文を発表

6月23日、関西電力が運転開始から40年以上が経過する老朽原発の美浜3号機を再稼働したことを受け、国際環境NGO FoE Japanなどは同日、老朽原発の再稼働に抗議する声明「美浜3号機の再稼働に抗議する 危険な老朽原発を動かすことは許されない」を発表した。 
 
同声明文は以下を参照。(FoE HPより) 
 
声明: 美浜3号機の再稼働に抗議する 危険な老朽原発を動かすことは許されない 
 
2021年6月23日 
国際環境NGO FoE Japan 
原子力規制を監視する市民の会 
 
本日、関西電力美浜3号機が再稼働した。私たちはこれに強く抗議する。 
美浜3号機は1976年12月に営業運転を開始した。運転開始から44年を超えている。2004年8月にはタービン建屋で点検漏れの配管が破裂する蒸気噴出事故が発生し、作業員5人が死亡、6人が重傷を負った。 
 
福島第一原発事故のとき、第一原発1号炉は運転開始40年の特別な検査に合格したばかりであった。それでも事故は起きた。材料の劣化だけでなく、設計が古く、構造的な欠陥を抱えていたことも事故を拡大させた。福島第一原発事故の教訓として2012年の原子炉等規制法の改定で原則40年の寿命が定められた。 
 
ところが規制委は、「例外中の例外」であるはずの延長運転をあたりまえのように認めている。経産省は、25億円の特別な交付金をばらまいてまで進めようとしている。エネルギー基本計画の議論でも、延長運転が前提となっている。 
 
老朽原発を動かすことは大きな危険を伴う。長期間中性子にさらされた原子炉はもろくなり、緊急時に冷却する際に破損するリスクが高くなる。配管やケーブルも劣化する。 
 
さらに、美浜原発3号炉は先ごろ、火山灰の評価の見直しが行われ、基準となる火山灰の厚みが10cmから22cmに引き上げられた。再評価により、タンクの屋根が重みで壊れてしまう可能性やフィルターの交換が間に合わず、電源喪失に至る可能性が明らかになった。 
 
対策はまだこれからだが、規制委は再稼働を先に認めてしまった。津波への対応が不十分であることを承知しながら対策を怠り、運転を続けたことが福島第一原発の事故を引き起こした。そのことを忘れてしまったのか。さらに、美浜3号炉は、特定重大事故等施設(テロ対策施設)の建設が遅れており、今年10月には止めなければならない。 
 
大阪地裁は基準地震動の過小評価により、大飯原発の設置許可を取消す判決をくだした。美浜原発3号炉について、判決に従い地震動の「ばらつき」を考慮した評価を行うと、想定すべき地震動は1,300ガルを超え、現状の基準地震動993ガルの過小評価が確認される。 
 
危険な老朽原発を何のために動かすのか。全国的に見れば、電力設備はむしろ過剰であり、たとえば九州では再エネの出力抑制により、原発4基分もの電力が送電できないまま、無駄になっている日もある。いまやるべきことは、地域間融通など、変動する分散型の再エネの調整手段の強化である。 
 
美浜原発3号炉を再稼働させてはいけない。危険な老朽炉の運転を進めることは許されない。 


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