2021年07月30日14時22分掲載  無料記事
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欧州

「グリーンパス」(ワクチンパスポート)導入で、コロナウィルス終焉へ期待する〜チャオ!イタリア通信

 7月22日に行われたドラギ首相の記者会見により、イタリアでは8月6日から「ワクチンパスポート」(ヨーロッパでは「グリーンパス」と呼ばれている)が導入されることになりました。 
 
 この「グリーンパス」は、ヨーロッパ連合国内で有効です。どういうところで使用するかというと、レストランでの飲食、コンサートやスポーツイベントの観覧、博物館や美術館、プールやスポーツジム、体育館の屋内スポーツなど、今まで屋内活動ということで禁止されていた場所で使用できます。また、ヨーロッパ連合国内の移動もPCR検査なしで移動できるので、現在バカンス期間中のヨーロッパでは旅行客の移動がどんどん盛んになると思われます。 
 
 すでに、結婚式や老人ホーム施設への訪問はワクチンを接種したことを証明すれば可能になったというニュースを聞いていましたが、他の屋内施設もこの「グリーンパス」によって使用が可能になり、私としては安全が確保され、安心感があるためうれしいニュースです。 
 
 私事ですが、私の義理の父が7月に病気で入院しました。2週間ぐらいで退院できたのですが、その際、入院患者への面会はコロナウィルスのために禁止されていました。入院に必要なものはまとめて病院の窓口に渡し、医者とのやり取りも電話で行いました。私たち家族も、毎日義理の父と電話で連絡を取りましたが、こういう場合も「グリーンパス」が使用されるという話も出ていますので、是非活用してもらいたいと思います。 
 
 イタリアのワクチン接種率は12歳以上の約60%が2回の接種を終了しています。80歳以上は90%、70歳以上は80%が2回の接種を終了しており、死亡者が400人以上だった4か月前と比較すると、死亡者は20人前後と圧倒的に減りました。このワクチン接種率は、他のヨーロッパの国と比較してもかなり高い率です。病院施設への圧迫もなくなりました。さらに、入院患者のうち、接種している人は接種していない人の10分の1という統計も出ています。ワクチン接種に一定の効果があることは現実のことです。 
 
 年齢別でみると、50歳代は2回接種終了は約67%ですが、40歳代になると53%、30歳代は39%、20歳代は34%とまだまだ低い接種率です。重症化しないということもあるかもしれませんが、働く世代でもあり、移動する確率が高い世代でもある40歳代から20歳代が「グリーンパス」導入により、接種する率が上がる可能性が出てきます。 
 
 ただ、反対する人もいるのが現実。この記者会見の後、ミラノやローマなどの大都市で「グリーンパス」に反対する集会が行われました。「グリーンパス」導入により、ワクチン接種が義務化されることや、9月から始まる学校で子どもたちにワクチン接種の義務が課せられることへの反対などが叫ばれていました。ただ、子どもへのワクチン接種義務は右派である「同盟」の議員により語られており、現在接種は12歳以上となってるため、単なる現政権への抗議という意味合いしかないと思われます。ただ、子どもの予防接種に関しては、生まれたらはしかや風疹、B型肝炎などの予防注射を4回か5回受けます。私の子ども(現在、7歳)も、13歳にはまたジフテリア‐破傷風‐百日咳の予防接種をします。私としては、今更コロナウィルスのワクチンには反対ということが理解できないです。ですが、イタリアでは時々子どもへの予防接種を嫌がる親もいて、すでに慣習となっている上記のような予防接種をしない人もいるようです。 
 
 ワクチン接種に対しては、様々な意見もあり、私の友人や知り合いでも接種しないと言っている人もいます。新しいものへの恐怖感や不安感があったり、大企業を儲けさせるだけという意見もあります。でも、コロナウィルスが始まってからの世界的な大惨事を考えると、ワクチン接種がこの暗闇から早く出る突破口であることは確実です。 


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