2021年12月08日10時25分掲載  無料記事
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市民活動

情報公開法と公文書管理法の抜本的改正を 市民団体が都内で集会開催

 臨時国会の開会日となった12月6日、奇しくも8年前の同日に強行採決で成立した特定秘密保護法の廃止を求め、市民団体が都内で集会を開催した。同集会では、特定秘密保護法を廃止に導くべく、情報公開法と公文書管理法の抜本的改正の必要性とそのための今後の取り組み等について語られた。主催は、「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」、「共謀罪NO!実行委員会」。 
 
 司会を務めた主催実行委員会事務局の中森圭子氏は、「特定秘密保護法ができた時は、本当に戦争への道を開く消極的な法律ができたと思った」と当時を振り返る。特定秘密保護法は、行政側の判断で防衛や外交などの“特定”の情報を秘匿することを定めた法律で、法律の適用範囲が曖昧で広すぎることから、「行政機関が恣意的に情報を隠すことができる」と多方面から指摘されてきた。中森氏は、安倍・菅政権下において特定秘密保護法や共謀罪などが作られたことで、「市民の自由や人権が縛られるようになった」とし、デジタル関連法でさらに市民への監視を進めようとする今の政治の姿勢に対して警鐘を鳴らした。 
 
 また、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、政府が持つ情報に市民がアクセスする権利を定めた「情報公開法」と公文書の管理方法を定めた「公文書管理法」の改正について、「政治レベルでの説明責任を求めていき、要所を押さえた技術的改正の議論を行う必要がある」と語る。政府高官になればなるほど、その動静の詳細が記録に残されていない現状に触れ、「首相や閣僚が誰と会って何を話したかということが、体系的に記録として残される仕組みになっていないから、実務面で残されてしまった行政の記録が居心地の悪いものとして扱われる」と指摘した。その上で、「官邸主導・政治主導で行われている現在の政府運営の詳細を記録として残し、政治への信頼性を高めるために情報公開の仕組みを整備していく必要がある」と訴えかけた。 
 
 情報公開法については、野党から改正案が提出されたものの、衆議院が解散となったことで廃案となっている。集会を主催する実行委員会で事務局を務める出版労連の前田能成氏は、情報公開法の改正案の中身を検討した結果を示しつつ、「選挙で投票権があるということを前提に、立法への働き掛けを改めてもう一度考えていく必要がある」と、今後の議員などへの働き掛けの必要性を示唆した。加えて、実行委員会として情報公開法と公文書管理法を「車の両輪」と位置づけ、「この二法が整備されることで,特定秘密保護法廃止への道筋が,よりはっきりとする」という方針を改めて確認した。 
 
 これまで、森友・加計学園問題や名古屋入管でのウィシュマ・サンダマリさん死亡事件など、安倍・菅政権下において発生した様々な問題について、その詳細が伏せられ、市民の知る権利が蔑ろにされた状態が続いている。官邸主導で、都合の悪い事実を隠蔽しようとする現在の政府の在り方が健全であるはずがなく、一刻も早く政治を健全なものにするためにも、情報公開法や公文書管理法の改正は急務であるといえる。今後、国会の場で政権を運営する岸田首相には、知る権利の重要性を再認識した上で、市民に説明することができる質の高い政治を行って頂きたい。 


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