2021年12月23日13時41分掲載  無料記事
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国際

チリで学費無料化闘争のリーダー(35歳)が大統領に選出される

  チリで大統領選挙があり、極右候補のホセ・アントニオ・カスト氏(55)を打ち破った左派の最年少、35歳のガブリエル・ボリッチ大統領が誕生しました。35歳というのは法律上立候補できる最年少の年齢です。CNNによるとボリッチ氏は10年前に学費無料化闘争でリーダーだった学生ですが、日刊ベリタではその当時、チリの学生運動を報じていました。以下は2010年の記事の抜粋です。 
 
「教育の機会均等を求める世界の学生たち 
 
  教育の機会均等を求める学生たちのデモが世界の様々な街角で起きている。8月18日、チリのサンチアゴで数千人の学生がデモを行った。チリでは今年、社会党政権から中道右派のビニェラ政権に代わり、教育民営化が進められている。学生たちは大学への公費助成の拡大や教育の機会均等を訴えたが、機動隊の催涙ガスを受け、逃げ惑った。国境を越えて教育民営化に抗する活動を行っている『International Student Movement』によると、デモで拘束された学生は66人に上るという。」 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201009060229111 
 先日来、スペインのエル・パイス紙やフランスのルモンド紙の報道を読むと、ボリッチ氏は「チリを新自由主義の墓にする」と公言しているそうです。1973年に左派のアジェンデ大統領の政権が極右軍人のピノチェット将軍のクーデターでつぶされた後に導入されたのがアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンが提唱する新自由主義経済で、チリはその実験場とされてしまいました。ボリッチ氏の発言の裏にはその歴史を覆すという意志が読み取れます。学費高騰への闘いはその象徴です。 
 
 では日本はどうでしょうか?学費があまりにも高騰しているのではないでしょうか。国立大学ですら年間の学費が約54万円です。とんでもない金額でしょう。元文科省事務次官の前川喜平氏は格差社会に反対の政治姿勢を取って発言していますが、まずお願いしたいのは前川氏が出世の道を歩んでいた時代に進行してしまった学費の高騰について、それがどのように進行してきたのか、というメカニズムと歴史の解明です。前川氏個人の責任ではないと思いますが、しかしその行政にトップレベルで関わっていた元行政官として責任がないとは言えません。でなかったら、元ナチスのアイヒマンの裁判の教訓は生きることがないでしょう。歴史に目を向けることなくして、未来を築くことは不可能です。 
 
 
■チリのピニエラ大統領 抗議運動を厳罰化する法案を国会に提出(2011年10月の記事) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201110101614221 
  10年前に書いた記事を今日読み返して思うのは、いかに強烈な闘争をチリの学生たちが行っていたかということです。政府による厳しい統制を10年かけて覆したのは立派と言うほかありません。その運動は今年、最年少の大統領を創り出しました。 
 
■野党共闘の伸び悩み 3  「反知性主義」批判と知の1%対99%格差 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202112050051020 


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