2021年12月30日16時50分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202112301650464

欧州

本物のロック精神を持つ詩人ヴァスコ・ロッシ〜チャオ!イタリア通信 サトウノリコ

イタリアの国民的ロック歌手、ヴァスコ・ロッシの歌がとても好きなのですが、それはまず歌詞とメロディーが簡潔であり、私のような外国人でも聞きやすく覚えやすいのと、簡潔な歌詞でありながら奥深く、まずは一人の詩人として素晴らしいと思っているからです。 
 
1952年生まれなので、ほぼ70歳なのですが、いまでも精力的に音楽活動しています。テレビにはほとんど出ないので、コンサート中心ですが、20代から同年代までファン層が幅広い印象です。時々、ラジオ番組に出ているのを聴くと、親しみやすく、有名人というおごった感じもなく、品格さえ感じさせるのは彼の人格で、この人も素朴なイタリア人の代表だなと思います。 
 
最新のヴァスコ・ロッシの歌「Siamo qui」は、まさに簡潔な歌詞に深みがあり、じっくりと歌詞を読んでみたくなる歌です。 
 
「Siamo qui」ここにいる 
 
 
Siamo qui, pieni di guai ここにいる、トラブルに満ちて 
 
A nascondere quello che sei dentro quello che hai 自分自身を自分の持っているものの中に隠して 
 
Ma com'e ma cos'e ma dov'e でも、どうやって?でも、何を?でも、どこに? 
 
Siamo qui, soli e delusi ここにいる、孤独でがっかりして 
 
A confondere quello che sei dentro quello che usi 自分自身を自分が使っているものと取り違えて 
 
Ma com'e ma cos'e でも、どうやって?でも、何を? 
 
Puoi rispondermi, puoi rispondermi 答えられる?答えられるの? 
 
O vuoi nasconderti? それとも隠れたい? 
 
O vuoi proteggerti? それとも自己防衛する? 
 
E quando non lo sai neanche perche lo fai そして、それを知らないとき、なんでそれをするのかさえ 
 
Ti basta piangere oppure ridere ただ泣くだけ、それか笑うだけ 
 
E quando non si puo quando ti dico no そして、それをできないとき、ダメだと言うとき、 
 
Ti vuoi nascondere, ti vuoi proteggere どこかに隠れたい?それとも自己防衛したい? 
 
Siamo qui, poveri eroi ここにいる、みすぼらしい英雄として 
 
A difendere quello che poi non dipende da noi自分では決められないものを守ために 
 
Ma lo sai, ma lo sai でも、それを知ってる、でも、それを知ってるんだ 
 
Puoi rispondermi, puoi rispondermi 答えられる?答えられるの? 
 
O ti preoccupi? それとも、心配する? 
 
O vuoi nasconderti? それとも、隠れたい? 
 
E quando non lo sai neanche perche lo fai そして、それを知らないとき、なんでそれをするのかさえ 
 
Ti basta ridere oppure piangereただ 泣くだけ、それか笑うだけ 
 
E quando non si puo quando ti dico no そして、それをできないとき、ダメだと言うとき、 
 
Ti vuoi nascondere, ti vuoi proteggere どこかに隠れたい?それとも自己防衛したい? 
 
Non rispondermi, no, non rispondermi 答えられないよ、答えられないよ 
 
Puoi proteggerti, puoi nasconderti 自己防衛できる?隠れることができる? 
 
(歌をYou tubeで視聴したい方はこちらから) 
   ↓   ↓   ↓ 
https://www.youtube.com/watch?v=6u6zw8aUqcE 
 
 私の訳がうまくないので、あまり内容が伝わらないかと思います。 
ヴァスコ・ロッシがこの歌を発表した時に記者会見をしているビデオを見ると、この歌詞の意味が「あ〜そうか」と納得できるので、少し説明すると、 
”自分自身を自分の持っているものの中に隠して”という歌詞は、人間の存在よりも人間が所有しているものが重要になっているということ。 
”自分自身を自分が使っているものと取り違えて”という歌詞は、人間の存在より人間が作り出した技術(自分が使っているもの)が独り立ちして、人間自身が、人類と言っていいと思うのですが、置き去りにされているということ。人類が技術を使っているのではなくて、技術が人類を利用しているという言い方をヴァスコ・ロッシはしていました。つまり、人間の怒りや暴力性を技術が搾取していると。簡潔な言葉の中に、すごく深い意味を持っている歌で、その意味を若い記者たちの前で説明しているヴァスコ・ロッシは大学教授のような感じでした。 
 
来年にはイタリア共和国の大統領選挙がありますが、私としてはヴァスコ・ロッシを推薦したいくらいです。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。